SMT(Salivary Multi Test)は、短時間でお口の健康状態を知ることができる、新しい唾液検査のことです。
一度の検査で、「歯の健康」「歯ぐきの健康」「口腔清潔度」に関する6項目を測定することができます。SMTでわかったデータに基づいて、虫歯の予防方法や歯科医院でのメンテナンスで必要なことをお話しすることができます。
当院では、虫歯や歯周病を予防したいと思われている方に唾液検査をお勧めしています。この検査は痛みを感じることなく10分程度で終わりますので、お子さんにも安心して行っていただけます。
最近、お子さん2人を連れてこられた親御さんから、「2人とも食生活、歯ブラシも同じようにしているのに一方は良く虫歯になり、もう一方は全然虫歯にならないのはどうしてでしょうか?」という質問をいただきました。
実は、虫歯になりやすい人となりにくい人がいます。
その判断は、虫歯の原因である細菌・歯質・糖分・時間の4つの観点からすることができます。
細菌・・・口腔内にある虫歯の原因菌(ミュータンス菌)の数
歯質・・・歯の虫歯に対する強さ、虫歯の構造や唾液の量・質
糖分・・・糖分の摂取量
時間・・・プラークなどの虫歯になりやすい状態になった時間
唾液検査をすることで口の中の状態を詳しくデータ化し、虫歯になりやすいかどうかを判断します。測定結果は分かりやすくグラフにして患者さんにお渡しし、今後の予防歯科にお役立ていただけるようにしています。
唾液検査はどのような手順で行い、どのようなことがわかるのでしょうか?
唾液検査の手順
1 少量の水でお口全体を10秒間軽くゆすぎ紙コップに吐き出す
2 測定する(主に6項目を測定)
➀虫歯面の数・・・虫歯菌(ミュータンス菌)が多いと虫歯になりやすい
➁酸性度・・・唾液の酸性度が高いと虫歯の表面のエナメル質が脱灰されやすい
➂緩衡能・・・唾液は食べ物などの酸を中和する働き(緩衝能)が弱いとエナメル質が脱灰されやすい
➃白血球・・・歯と歯茎の細菌が増加すると唾液中の白血球が増加する
➄タンパク質・・・口腔内細菌や歯と歯の間にプラークが付くと唾液中のタンパク質が増加する
⑥アンモニア・・・唾液中のアンモニアが多くなると口臭の原因となる
➀➁➂は歯の健康、➃➄は歯茎の健康、⑥は口の中の清潔度が分かります。
見た目だけでは分からないことも唾液検査をしてデータ化することによって分かってきます。虫歯になりやすい人は唾液検査をすると虫歯菌の数、酸性度、緩衝能の数値が高いです。
唾液の分泌量が少ない方は要注意
唾液は口腔内において雑菌作用や自浄作用をする働きがあります。ですので、唾液の分泌量が少ない方は口の中の虫歯菌が増えたりプラークなどが虫歯に付着しやすくなったりと歯周病のリスクが高くなります。さらに口臭の原因にもなります。
今回は唾液検査についてお話ししましたが、一番大切なことは患者さん一人一人が自分の口腔内状況を把握し、それに対して適切な予防歯科を行うことです。自己流のブラッシング法ではなく歯科衛生士が指導するブラッシング法をマスターすることや、プラークを付着しにくくするためにPMTC(プロによる機械的歯面清掃)なども大切です。定期的にフッ素塗布を行っていただき歯の表面のエナメル質を強化していただく必要があります。唾液の分泌量が少ない方は唾液腺マッサージなどを行うことも必要です。
予防の方法はみんな一緒ではなく個人にあったものを実践しましょう。毎日のケアをより効果的なものにすると、お口の健康を高めることができます。
唾液検査(唾液検査システム SMT)についてご不明な点等ございましたら、お気軽にお尋ねください。