なんらかの原因で歯を失ってしまった場合、歯医者さんから部分入れ歯を勧められることがあるかもしれません。反対側で噛めるからだいじょうぶ!、とそのまま放置されたり、ちゃんと噛めるかな?、見た目は大丈夫かな?と不安を感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に若い方は、周りに相談するのも抵抗感があり悩まれることが多いようです。
そもそも、
部分入れ歯ってどういうもの?
部分入れ歯はインプラントやブリッジと何が違うの?
見た目は自然なの?
など、気になることは多いと思います。
部分入れ歯とは、歯を失ったスペースを埋めて歯の機能を補う装置のことです。口腔内の状況に合った部分入れ歯を装着することで、食べ物をしっかり咀嚼したり、飲み込むことができます。また、歯を失う前と同じように発音が可能になるので会話も不自由なくできるようになります。そして歯が欠損している部分を補うことで見た目の審美面も補うことができます。
今回は、部分入れ歯を選ぶメリットや、部分入れ歯の特徴をご紹介します。
目次
部分入れ歯の構造
人工歯・・・歯の部分は硬質レジンでできていて、歯の大きさや色は選択可能です
義歯床・・・歯茎部分で、ピンク色の歯茎の色になっています
クラスプ・・・入れ歯を残存歯に固定するためのパーツです
レスト・・・部分入れ歯の沈下を防止するための維持装置です
部分入れ歯のメリット・デメリット
メリット
・インプラントやブリッジに比べて短時間で治療が出来る
・インプラント治療のような外科的手術の必要がない
・適用範囲が広い
・歯を削る量が少ない
デメリット
・食べたものが粘膜と床の間に入って詰まりやすい
・咬合力がインプラント、ブリッジに比べて劣る
・クラスプが見えて見た目が悪い
・寿命が約4年と短い
・違和感がある
・クラスプがかかっている歯に負担がかかる
制作手順
➀削合
レスト、クラスプがかかる歯の形態を修正するため削合します
➁印象採得
口の中の型を取ります
➂咬合採得
咬み合わせを取ります(多数歯欠損の場合は2~3回咬合採得を行うこともあります)
④人工歯排列
義歯床に人工歯を排列し、上下の咬み合わせをみて正しい位置にあるかを確認します
➄部分入れ歯の完成
再度人工歯の排列、上下の咬み合わせにズレが無いかを確認し、場合によっては微調整を行うことがあります
⑥義歯調整
強く当たっている部分の調整を行います
新製したばかりの部分入れ歯は強く粘膜に当たって、傷ができて痛みが出ることがあります。痛みが出ていなくても噛み合わせや装着感をチェックする必要がありますので、義歯の完成後は少なくとも一回は来院してください。
部分入れ歯の種類
保険適用の入れ歯
義歯床の材質はプラスチック、人工歯は硬質レジン歯、クラスプは金属のバネです。保険適用なので安価ではありますが、いろいろな欠点があります。まず、義歯床はプラスチックでできているため、破折しやすいです。人工歯は硬質レジンでできていて、長期間使用していると摩耗してきます。そうなると咬みあわせが悪くなります。またクラスプ(留め金)は金属でできているため審美面での問題があります。
自費の入れ歯
➀ノンクラスプデンチャー
金属のクラスプ(留め金)を使用していない義歯です。歯茎の部分も本物の色に近いため審美的に優れた義歯です。保険の入れ歯に比べて強度や柔軟性があるのでかなり薄く作ることができるため、違和感が少なくなります。また、金属を使用していないため金属アレルギーの心配がありません。
➁金属床
保険の入れ歯に比べて強度があります。そのため、破折することが少ないです。また、強度があり保険の入れ歯に比べて薄く作ることができるので、ノンクラスプデンチャーと同様に違和感が少ないです。金属床のメリットは熱伝導性あるため、温度感を感じながら食事ができます。保険の入れ歯の場合は味が変わったという声を時々耳にしますが、金属床の場合はほとんどありません。保険適用の入れ歯でお困りの方は、自費の入れ歯を考えてみてもいいかもしれません。
部分入れ歯の取り扱いについて
部分入れ歯の場合、食事の後は水洗いをしっかりして綺麗にしておくことが大切です。それと同時に残っている自分の歯をしっかりとブラッシングしましょう。自宅で入れ歯を洗うときは義歯用ブラシで丁寧に洗ってください。汚れがついていると、菌が付着し、入れ歯の変形の原因になります。また入れ歯を外しているときは水につけておいてください。乾燥状態にすると、入れ歯が変形して合わなくなります。入れ歯洗浄剤を使用することもお勧めします。
長い人生、できるだけ多く自分自身の歯を残すことはとても大切です。不便な歯や、歯が抜けてしまったところをそのままにせず、きちんと治療をして口腔内の機能を改善することで日々のストレスも軽減されるかもしれません。そのひとつの方法として、このブログが部分入れ歯をご検討いただく機会になればうれしく思います。
部分入れ歯のことで何か気になることがあればお気軽にお問い合わせください。