日常生活を送る中で、これまでに次のような症状を経験したことはありませんか?
・口を開こうとすると顎関節や顎を動かす筋肉が痛い
・大きく口を開けられない
・口を開け閉めすると顎関節から音がする
これらは、「顎関節症の3大症状」と言われるものです。
上記にあげられた症状は、顎の関節を構成する骨・筋肉(咬筋・側頭筋など)、関節円板や靭帯などの異常によって生じます。そのため、大きな食べ物が食べにくかったり、硬い食べ物が噛めなかったり、顎を動かすと音がする症状が現れることがあります。関節円板の転位、咬み合わせや不正咬合、普段の生活習慣、頬杖、うつぶせ寝、食いしばり、歯ぎしり、精神的なストレスなど、発症は様々な原因が考えられます。これらのことにより、頭痛や肩こり、耳鳴り、不眠症を引き起こすこともあると言われています。
関節雑音(口を開けたり閉めたりした時に音がする)、開口障害、運動異常(口が開きにくい)、顎の痛み(口を開けたり閉めたりした時に、顎の周りや耳の前などに痛みが生じる)という症状のなかでひとつでも当てはまり、他に症状を引き起こす病気がない場合に「顎関節症」と診断されます。
「顎関節症」の主な治療方法…
症状によって異なりますが、以下の方法があります。
➀薬物療法:顎の痛みを薬で抑えます
②理学療法:電流を流したり、マッサージをしたりして、顎の周辺の筋肉の緊張を改善します。筋肉をほぐして血流を改善し、痛みを軽減します。
➂運動療法(リハビリテーション):ずれてしまった関節円板をもとに戻るような運動を行ったり、顎の周りの筋肉のストレッチを行い、口を開けられる量を増やしていきます
➃スプリント療法:マウスピースを使用します
➄心身医学療法:ストレスは食いしばりや歯ぎしりの原因となるため、取り除く必要があります。その根本の原因へのアプローチをしていきます。
今回は、当院で行っている「スプリント療法」についてお話しします。
「スプリント療法」とは…
顎関節症治療に最も多く用いられている方法です。マウスピース型の装置を口腔内にはめて、顎関節症の原因となっている口腔習癖や左右の顎のアンバランスを改善します。
スプリント療法の治療期間としては、顎関節症の症状が改善され関節の状態が安定するまで、3ヶ月ほど継続して使用することとなります。しかし、短期間の使用の場合、再度顎関節症の症状が現れてくることもあるため、スプリント療法の治療期間としては、口腔内の状態に合わせて、半年前から1年ほどかかる場合もあります。
マウスピースを装着することによって、寝ている間に無意識に行っていた歯ぎしりや食いしばり等によってかかっていた圧力を軽減し、顎をリラックスさせた状態にすることができます。顎の関節にかかっていた過剰な負担を軽減することで、顎関節症の症状自体を改善していきます。マウスピース装着は就寝時だけなので、日常生活の影響も少なく取り組みやすい治療法と言えるでしょう。
顎関節症の治療に装着するマウスピースは、透明な樹脂で作られ大抵の場合、上の歯に装着します。ご使用になる方それぞれの歯型に合った形態でお作りしますので装着も簡単です。多くの場合、保険適用となりますのでご負担も少なく、3割負担で5千円前後が相場となっています。
スプリント治療の効果をより良くするために、普段の生活の上で意識してできることをいくつかご紹介します。
・顎関節に負担を与えている噛みしめや食いしばりなどの習癖を意識的に減らしていく
・頬杖をつくことは顎関節に強い圧力がかかるため控える
・硬いものを食べたり、必要以上に大きく口を開けたりする行為は避ける
・顎関節周囲の筋肉をマッサージする
自分では判断が難しい場合も、気になる症状がございましたらお気軽にご相談ください。