親知らずが痛いと言って来院される方がいらっしゃいます。その方の親知らずを見ると、虫歯になっていたり、まわりの歯肉が腫れていたりすることが多いです。
このような場合、どのような治療になるのかお話します。
まず親知らずとは、口の中の一番奥に生えている歯で、上下左右に一本ずつ計4本あります。ただ必ずしも全員にあるわけではありません。もともと親知らずがない人もいますし、歯に埋まって生えていないケースもあります。
親しらずの生え方は大きく分けて3通りあります。
①完全に萌出している場合
②半分萌出している場合
③完全に骨の中に埋まっている場合
最近は顎が小さい方が多く、きれいな位置に生えている人は少なくなっています。
親知らずの治療法
親知らずの治療法はまず生え方によって異なります。
①完全に萌出している場合
ほかの歯同様に虫歯の治療、歯周病の治療を行うようにします。虫歯の初期であれば、虫歯の部分を削って、白い詰め物(レジン充填)をします。C3クラスになれば、抜髄など根管処置をすることにしています。
ただ、親知らずの場合、きれいに生えていたとしてもブラッシングが奥まで届きにくく、再度治療が必要になると考えられるケースは抜歯をお勧めしております。
また、治療を行う歯科医においても、治療器具が届かない、しっかりとした治療が行えないというケースも出てきます。このようなケースは、抜歯をお勧めしています。
なので、親知らずの治療において完全に萌出している場合、ブラッシングがしっかりとできる場合、しっかりとした治療ができる場合に限られます。ただ抜歯を強制するわけではありません。患者さんから歯を残したいという希望があれば、できるだけ抜歯せずに治療を行うようにしています。ただ、予後はあまり良くないということはしっかり説明するようにしています。
②半分萌出している場合
半分萌出している親知らずが虫歯、智歯周囲炎を起こしている場合は、治療法の第一選択は抜歯です。
図のように親知らずが虫歯になっているケース、智歯周囲炎になっているケースは放置していると隣の歯に悪影響を及ぼす可能性が大きいです。また、このようなケースで虫歯を完全に除去することは困難なため、再治療になることが予想されます。半分萌出している親知らずの虫歯は、早めに抜歯し、隣のが虫歯や歯周病にならないようにブラッシングを丁寧に行うことが大切だと思います。
③完全に骨の中に親知らずが埋まっている場合
このようなケースで痛みが出た場合は抜歯するしかありません。ただ、痛みの出る頻度がかなり低いと思われます。痛みが出ていなければ経過観察していけばよろしいと思います。
以上のように親知らずの治療法についてお話しましたが、いろいろ考えてみると抜歯になるケースが多いです。
皆さんは抜歯というとどういうイメージを持っていますか?
ほとんどの方が「痛い」「腫れる」「怖い」といったイメージを持っている方が多いと思います。ただ、親知らずの抜歯がすべて「痛い」「腫れる」わけではありません。きれいに生えている場合は、短時間で抜歯ができ痛みや腫れることなく、予後が良好なケースが多いです。
強い痛みが出て腫れるケースは、ほとんどの場合半分萌出していて斜めに生えている場合、完全に埋まっている親知らずを抜歯するケースです。このようなケースは歯肉を切開し、剥離(はくり)して、歯を分割して抜歯しなければなりません。そうなるえお抜歯に時間がかかり、腫れや痛みが出たりします。このようなケースでは、しっかりと事前に患者さんへ説明し理解していただくようにしています。
抜歯等気になることがあれば、気軽にご相談ください。