最近抜歯後の痛みや腫れはどれくらい続くのでしょうか?という問い合わせがあります。
本日は抜歯後の症状と対処方法についてお話します。
まず歯を抜歯する場合、麻酔をします。
麻酔が効いていることを確認してから抜歯していきます。基本的には麻酔が効いていれば術中は痛むことはありません。もし痛んだ場合、麻酔が足りていない場合が多く、その場合は麻酔を追加して抜歯していきますのでご心配いりません。
ただ、麻酔が切れた後には痛みは出てきます。
多くの場合は2~3日後にはほとんど痛みは消失していきます。ただ場合によって抜歯したところが感染して炎症を起こして、腫れたり、痛みが続くことがあります。その場合は1~2週間くらい痛みや腫れが続くことがあります。
抜歯後1~2週間経っても痛みが続く場合
まずはドライソケットが考えられます。
ドライソケットとは、「ドライ=乾いた」「ソケット=抜歯窩」という意味で抜歯した部位に通常は血餅が出てきます。それがかさぶたとなり、のちに歯肉になって抜歯窩をふさいでいきます。血餅ができずに抜歯窩の骨が剝き出しのままとなり、そこに細菌感染が起こることでドライソケットになります。
抜歯窩から変な匂いがするとか痛みが長く続いてしまいます。
ドライソケットの予防
①抜歯後何度もうがいをしない
何回もうがいをすると血餅が剝がれてしまい、できなくなってしまいます。
②お酒や運動、長風呂を避ける
お酒や運動、長風呂をすることによって、血の巡りがよくなり、出血しやすくなります。そうなると、口の中が不快に感じて、何度もうがいをしてしまいます。ドライソケットの原因にもなります。
③喫煙
喫煙されている人は、血の巡りが悪くなり、血餅が出来にくくなります。ドライソケットになりやすい傾向があります。
④抜歯窩を必要以上に触る
抜歯したところが気になり、舌や指で触りたくなる傾向があります。そうなると、せっかくできた血餅が剥がれてしまい、ドライソケットの原因になります。
ドライソケットの治療法
①抗生剤や鎮痛剤を投与
抜歯窩から最近感染していることを想定して、抗生剤や鎮痛剤を飲んでください。
②抜歯窩の再掻把(さいそうは)
抗生剤や鎮痛剤を投与しても痛みが続いている場合は、抜歯窩に再度麻酔をして、しっかりと汚れを取り、再度出血をさせ新しく抜歯窩に血餅を作らせる処置を行います。
③ペリオフィール軟膏を塗布
抜歯窩にペリオフィール軟膏を塗布し、サージカルパックでふたをすると、意外に早く痛みが改善します。
抜歯後3~4日経っても痛みが続いて、一向に良くならない場合は、早めに歯科医院へ受診してください。よく抜歯したら、原因の歯をしたので時間が経てば治るという考えの方が多いと思います。ただ、ドライソケットになったら、適切な処置をしなければなかなか治りません。早めに治療を行うようにしてください。
最後に下顎の親知らずの抜歯後後遺症についてお話します。
下顎の親知らずの場合は、根っこの先が下顎管(神経が通っている管)に近い場合があります。
このような状態で下顎の親知らずを抜歯をすると、神経を圧迫したり、傷つけたりしてしまうことがあります。そうなると一時的に(下唇・頬)にしびれが起こったり、麻痺が起こったりすることがあります。症状がでた場合、ビタミン剤を服用していただくことになりますが、治癒するまでに何カ月もかかることがあります。当院では、事前にパノラマレントゲン、CT撮影を行い、下顎管の位置を確認し、神経を傷つける可能性がある場合は抜歯を避けるか、抜歯が必要な場合は口腔外科のある専門機関で抜歯を行っていただくよう紹介しております。
どんな抜歯でも十分な診査、診断を行い、患者さんに説明し十分に理解していただくことがとても大切だと思います。
またなにか気になる点があれば気軽にご相談ください。