歯周病は、男性より女性の方がなりやすい要因があると言われています。
その主な要因は、女性ホルモンに関係があります。
年代別の様々なホルモンの変化からも歯周病の要因となります。また女性は唾液が少ない人が多く、口の中が酸性に傾くのを防ぐ働きが男性よりも弱いため、口の中の環境が悪化しやすいと言われています。
*女性ホルモンと歯周病の関係
歯周病の原因菌のなかには、女性ホルモンを特に好んで繁殖する種類があります。女性ホルモンは、歯茎と歯の間から少しずつ染み出しています。月経の前がいちばんホルモンの変動を受けやすく、歯肉がむずむずしたり、腫れたりとの経験を持つ人も多いことと思います。これは女性ホルモンの増加に伴って、毛細血管が影響されることと、炎症反応が過度になるからです。
*歯周病は早産に影響する
妊娠中に歯周病になると、早産で低体重児が生まれるリスクは7倍にあがるというデータがあります。妊娠性歯肉炎や妊娠性エプーリスなど歯茎が敏感で、腫れやすくなります。また産後も育児に手がかかり、自分の歯磨きをおろそかにしがちで、出産を期に歯周病になってしまうケースが多いので要注意です。虫歯や歯周病の治療は妊娠する前にすませておき、歯と歯肉・舌の上などを清潔に保ちましょう。
*更年期の歯周病
更年期を迎えると、女性ホルモンが減ることから骨密度が低くなり、骨粗しょう症になりやすくなるのはよく知られていますが、歯を支えている顎の骨も弱くなります。歯茎が痩せてしまうことや、口が乾きやすくなったりすることも歯周病のもととなります。
※(日本臨床歯周病学会 SINCE 1983 JACP NPO法人日本臨床歯周病学会 より引用)
更年期障害と言えば、ホットフラッシュや火照りなどの症状がよく挙がります。しかし、更年期を迎えた女性は、口内トラブルを抱えている人も意外に多いようです。初期の段階では自覚症状がないまま進んでしまうことも多く、進行してくるうちに現れる症状はさまざまです。
・歯磨きをしているときに歯茎から血が出る
・口臭がきつくなった気がする
・口の中がネバネバする
・歯茎が痩せて歯が長くなった気がする
・冷たいものや熱いものが食べるとしみる
更年期を迎えて以降、こうした症状を感じるようになったら、更年期に伴う歯周病の可能性大があります。
~更年期にどうして歯周病になるのでしょうか~
更年期になると、女性ホルモン(エストロゲン)が減少していくというのはよく知られています。女性ホルモンは「女性らしさ」を作るホルモンとして、子宮に作用したり、骨量を増やす、体に潤いを与えるといった働きも持っています。その役割のある女性ホルモンが減少すると、体は乾燥しやすくなります。口の中も同様です。
乾燥して唾液の分泌が低下することによって、口の中は汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。こうしたことが、歯周病の原因になっていると言われます。一見何の関係もないように思える更年期と歯周病だけど、実はとても大きな結び付きがあるのです。
~歯周病の原因は更年期だけではない~
しかし、更年期を迎えた人が必ず歯周病になるというわけではありません。
要因には、生活習慣も大きく関わっています。
・食べ物はあまり噛まずに飲み込む
・常にお菓子が手元にある
・慢性的に寝不足
・たばこを吸っている
・猫背
心当たりがある人は、歯周病予備軍ともいえるので注意が必要です。
~歯周病の予防と対策~
歯周病を予防するためには、毎日の歯磨きが大切です。歯の根元に溜まりやすい歯垢(プラーク)は細菌の塊なので、歯と歯茎の境目は念入りにブラッシングしましょう。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯と歯の間までしっかり汚れを落としたいですね。
そして歯科医院での定期的な歯石除去やクリーニングをお勧めします。
歯周病は、症状がひどくなると歯を失いかねない病気です。しかし、適切なケアと日頃の心掛けによって、歯周病になりにくくすることはできるので早いうちからケアしていきましょう。