日本は高齢者の人口が増えています。
その中で、「8020運動」のスローガンのおかげで高齢者になっても多数の歯が残っていて、80歳になっても20本以上歯が残っている人の割合は50%以上に上昇しています。
ただ高齢者の虫歯は増加傾向にあります。
それは、「根面カリエス」が増えているからです。
根面カリエスとは、歯根の部分に虫歯ができた状態をいいます。年代的に高齢者に多い虫歯です。
目次
根面カリエスの原因
歯根の部分は、エナメル質の部分がなく、象牙質でできています。象牙質はエナメル質に比べて、酸に弱く、象牙質が酸に溶けてしまい虫歯になることが原因です。
予防法としては、歯肉退縮が原因で歯根部が露出してくることが原因なので、まずは歯肉退縮を防ぐことが必要です。
では、歯肉退縮を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、まず基本となるのがプラーク(細菌の塊)をしっかりと除去することです。特に冠が入っている場合、歯の根元と冠の境目は要注意です。その部分に隙間があるとプラークが付きやすく、虫歯になったり歯周病の原因になってしまいます。歯と歯ぐきの境目はしっかりと磨くことが虫歯や歯周病の予防となり、また歯肉退縮を防ぐことにつながります。
そして、ブラッシングは大切なことですが、過度なブラッシング圧で磨くと歯肉退縮が起こり、歯根面が露出してきます。正しいブラッシング法をマスターしてください。
歯根が露出してきたときに有効な予防法はフッ素です。フッ素は歯の再硬化を促進し、虫歯の予防に大きく貢献します。ホームケアとして歯磨き粉をフッ素入りのものにしたりすることも大切です。また、フッ素洗口液でうがいをしていくことも良い方法です。かかりつけの歯医者でフッ素塗布を行い、歯質の強化を行うようにしてください。それと同時にプロフェッショナルケアを受けていただくことも大切です。
根面カリエスの特徴
まず根面カリエスは、通常のカリエス(虫歯)とどう違うのでしょうか。
①まず自覚症状が通常のカリエスに比べてあまり出にくいです。
通常カリエスだと「冷たいもの、熱いものがしみる」とか、「何もしないでもズキズキいた、む」という症状を経験した人も多いと思いますが、根面カリエスの場合はそのような症状がでることは少ないです。なので気づいたときにはかなりのカリエスが進行して、場合によっては歯を失うことがあります。
②確認しにくい部分にできるカリエス
根面カリエスは歯の根元にできるカリエスなので、すぐに発見しずらいです。
よく定期検診で気づくことも多くあります。
③プラークコントロールが困難
歯の根元なので歯ブラシの毛先がなかなか磨きにくい場所にあるので、根面カリエスになると通常カリエスと比べて進行が遅いです。
④治療が困難
歯根面のカリエスは、虫歯を除去すると歯髄に近いところにあるので、すぐに歯髄処置をするケースが多くなり、場合によっては歯が折れたりすることがあります。歯髄処置または歯冠部が折れた場合、治療を終えたとしても予後があまりよくありません。つまり、歯の寿命が短くなってしまいます。
根面カリエスは発見しにくく、進行も早いのでぜひ定期検診を受けるようにしてください。
そして、歯科衛生士さんにしっかりとブラッシング指導をしてもらうようにしてください。
また気になることがあれば気軽にご相談ください。