本日は子どもの歯並びが悪くなる原因についてお話します。
今から20~30年前までは子どもの歯の治療と言えば、虫歯の治療でした。
これは子どもだけでなく、成人から高齢者の方にも同じことが言えると思います。今では学校の歯科検診、ブラッシング指導の普及によって平成20年代から令和の時代にかけて年々虫歯のある子どもの数が減少してきています。毎年5月に中学校で歯科検診に出向するのですが、虫歯になっている人は少なく、虫歯になっている人がいても虫歯の進行度としては軽いものでC1~C2程度、C3~C4になっている人はほんのわずかです。ただ歯並びの問題は年々増えてきているように実感します。
では、どうして歯並びが悪くなる子どもが多くなっているのでしょうか。
その原因は、最近の子どもは顎が小さくなっていることだと考えられます。顎が小さくなっている原因は、食生活が大きく影響しています。食べ物としてアイスクリーム、カレーライス、シチュー、ヨーグルト、ケーキなど食べやすくやわらかい食べ物が多いということです。そのためよく噛んで食べるということが少なくなり、嚙む回数、噛む力が減少し、顎の発達に影響していると思います。
幼稚園、小学生の頃までは噛み応えのあるものを与えてあげると、噛む回数が増え。顎の発達につながります。またおやつにはナッツやリンゴなど噛み応えのあるものを与えるといいのかもしれません。
二つ目の原因として指しゃぶり、口呼吸の悪習癖が考えられます。
まず口呼吸ですが、ずっと口呼吸をしていると唇や頬の筋肉による力がかからないため、出っ歯や反対咬合の原因になってしまいます。また、口呼吸を長くしていると、口の中が乾燥していくため唾液の出る量が少なくなり、虫歯や歯周病の原因になります。
指しゃぶりの癖があると、指で前歯を前方に力が加わるため開口の状態になります。前歯の永久歯が生え変わる時期(6歳ころ)まで指しゃぶりをしている場合は要注意です。指しゃぶりを辞めるようにしましょう。
舌癖は口呼吸をする人が多いです。口呼吸をすると、舌が低い位置にくることが多く、物を「ごくっ」と飲み込む際に舌を前に出す癖が出てきやすいです。そうなると出っ歯になってしまいます。このような場合は、舌のトレーニングをすることが望ましいです。ただ、どうしても治らない場合、舌を前に出さないようにするため矯正装置(タングクリブ)で治すこともあります。
三つ目に下唇を噛む癖があると、上の前歯が前方に力が加わり、上顎前突になってしまいます。また、上唇を嚙む癖があると下顎の前歯が前方に傾斜して反対咬合になってしまいます。前歯の永久歯の萌出時期までにはやめさせるようにしてください。
子どもの歯並びを悪くさせない予防法
①顎の発育を促進するため、よく噛んで食べるという習慣をつける
②悪習癖はできるだけ早めにやめさせるようにする
③かかりつけ歯医者へ定期検診
虫歯や歯肉炎の予防はもちろんのこと子どもの歯並びにおいても適切なアドバイスを受けるようにしてください。特に悪習癖がある場合、どうしてもやめさせることが困難な場合は矯正装置を用いて悪習癖を止めさせる必要があります。これからは、虫歯、歯肉炎だけでなく、歯並びの予防を行うことによっていつまでも自分の歯で噛めるようにしたいですね。
何か気になる点があれば、いつでもご相談ください。