歯の病気と言えば虫歯と歯周病がすぐに思い浮かぶと思います。
しかし「歯が欠ける」「被せ物が外れる」「被せ物が壊れる」といったことが時々起こると思います。このようなことが起こった時は、虫歯や歯周病が原因ではなく歯ぎしりが原因の可能性があります。
歯ぎしりは一般的に寝ている間に無意識のうちに行っています。ほとんどの場合、寝ている間に上下顎をスライドさせ、ギリギリと音を立てて歯をすり合わせるのが歯ぎしりです。この時の力はかなり強く、被せ物が壊れたり、天然歯が欠けたりする原因になります。
目次
歯ぎしりの種類
①グラインティング
歯ぎしりの中で最も多いのがグラインティングです。
上下の歯を擦り合わせる運動で、すごく強い力で運動するのでギリギリと音を立てることが多いです。一般的には寝ている間に行うのですが、稀に起きている時も行う方もいます。
➁クレンチング
クレンチングは食いしばりとも言います。
上下顎の歯を「ギュっ」と強い力で食いしばりを行うので、歯が破折したり、被せ物が壊れたりすることがあります。
クレンチングは起きている時にすることが多く、特に力仕事をしている方やスポーツ選手などに多く見られます。
③タッピング
上下の歯を運動させ、「カチカチ」と嚙合わせることです。頻度的には比較的少ない歯ぎしりです。
歯ぎしりが口腔内に及ぼす影響
①歯の被せ物への影響
歯ぎしりは強い力で行われるので、被せ物が壊れたり、外れたりします。特にブリッジの場合は上下の歯の接触面積が大きいため、歯ぎしりの影響を受けやすくなります。また天然歯の場合だと歯が欠けたり、割れたりすることがあります。
➁天然歯における歯の破折
天然歯においては、歯が破折するケースがあります。歯冠部の破折の場合は破折したところを充填、あるいは被せ物をすることによって修復できますが、歯根部が破折している場合は抜歯になるケースが多いです。
歯ぎしりの治療法
①マウスピースの使用
当院では、マウスピースを使用した治療法を行っています。個人個人の歯の形に合ったマウスピースを作製し、咬み合わせを調整することによって歯ぎしりの防止に役立てています。
➁矯正治療
歯列不正によって咬み合わせが悪くなると歯ぎしりを起こしやすくなります。
このような場合は矯正治療を行うことで、正常な咬み合わせになり歯ぎしりの防止に役立ちます。
③被せ物の種類を考慮
歯ぎしりをしている方は被せ物が破折するケースが多いです。当院では歯ぎしりをしている患者さんにおいて、耐久性のよい補綴物をお勧めしています。レジン系の被せ物だと割れてしまうことがあるので、強度のあるジルコニアをお勧めしています。ジルコニアは強くて割れにくいだけではなく、色調を隣在歯と合わせやすく前歯部には最適です。
自宅でできる歯ぎしりの予防法
歯ぎしりは、眠りが浅いと起こりやすいと言われています。質の良い睡眠をする必要があります。そのためにはまず、過度のアルコール摂取を避けることです。アルコールを摂取すると睡眠が浅くなります。次にストレスを発散することです。ストレスが多い方は不眠症になる傾向があります。
ストレス解消法は人によって異なりますが、軽い運動や自分の趣味の時間(音楽鑑賞や読書等)を作ってストレスを解消していくことが大切です。そして睡眠時間をしっかりとることが大切です。
まとめ
最近では歯ぎしりなどによる咬合外傷によって歯を失うケースが増加傾向にあります。
かかりつけ歯医者に定期検診を行い、虫歯、歯周病のチェックだけでなく咬み合わせのチェックもすることが大切です。
以上のことで気になることがあれば気軽にご相談ください。