みなさんは、どんな時に歯医者さんに行かれますか。
最近では、予防のため、定期検診に行かれる方も増えていますが、多くは歯の痛みや悩みを解消するために診察に行かれると思います。
痛み・悩みと言ってもいろいろあります。
本日は、どのような歯の痛み・悩みにおいて、どんな歯科治療をおこなっているか、お話ししたいと思います。
~痛みの種類~
*冷水痛・・・冷たい物を食べたり、飲んだ時にしみる
*温熱痛・・・温かい食べ物を食べたり、飲んだ時にしみる
*甘味痛・・・甘いものを食べた時にしみる
*咬合痛・・・物を咬んだ時に痛む、歯に物が当たると痛む
*自発痛・・・普段から何もしなくてもズキズキ痛む
このような、それぞれの痛みは、どのように歯科治療を行うのでしょうか。
【冷水痛】
冷水痛があって、他の痛みがない場合は、虫歯C1~C2、象牙質知覚過敏症、軽度な歯周病などがあげられます。
虫歯が原因の場合は、C₁~C₂の進行度で、歯の表面のエナメル質が溶けて、象牙質まで虫歯が進行している状態です。この場合は、虫歯の部分を除去して、詰め物をしていくことになります。
象牙質過敏症の場合、一番多く考えられる原因は、強い力でのブラッシングによるものです。
強い力でブラッシングを行うとエナメル質が摩耗し象牙質が表面に露出してきます。そのことにより、冷水痛が起こってきます。
また、歯ぎしりなどでも起こることもあります。
治療法としては、象牙質が露出している部分に、CR充填(詰め物)をしたり、知覚過敏症にたいしては、薬液塗布などします。また、ブラッシング方法も気をつけなければなりません。歯科医院で歯科衛生士から正しいブラッシング指導を受ける必要性があります。
歯周病が原因の場合は、歯を支えている歯槽骨が吸収して歯根部分が露出した場合に考えられます。これ以上進行しないように、正しいブラッシング方法をマスターすることや歯根が露出した部分をコーティングすることによって、冷水痛を軽減させることができます。
【甘味痛】
冷水痛と同様に虫歯と知覚過敏症が原因と考えられます。
冷水痛のある場合と同様の治療をおこないます。
甘味痛の場合は、冷水痛の時よりも、虫歯や知覚過敏症が進行している可能性が高いです。
早めに歯科医院に行って治療を行うことが必要です。
【温熱痛】
歯髄炎、根尖性歯周組織炎が考えられます。
歯髄に炎症が起きていなければ、冷たいものに反応し、冷水痛が起こることはありますが、熱い物にはあまり反応することはありません。よって、虫歯がC₁~C₂程度や象牙質知覚過敏症などでは原因が起こりにくい症状です。
このような場合は根管治療が必要なことが多いです。
【咬合痛】
物を咬んだ時に痛みのある咬合痛の原因としては、虫歯が進行して歯髄に到達して歯髄炎を起こしたこと、他には歯根膜炎を起こしたことなど考えられます。
歯根膜炎とは、歯の根(歯根)の周りにある膜のことで、咬む力を分散し歯や骨に和らげるクッションのような働きをしています。この歯根膜に虫歯菌や歯周病菌が感染して起こる症状です。このような場合、感染した歯髄を取り除く処置(根管治療)が必要です。
歯周病が原因の場合は、歯垢や歯石を除去することや歯周ポケット内をしっかりと消毒していきます。
歯根膜炎は、虫歯や歯周病だけでなく、歯ぎしりや食いしばりが原因となる場合もあります。
歯ぎしりや食いしばりのある場合は、就寝中に装着するナイトガードをお勧めしています。
【自発痛】
ほとんどの場合、炎症が歯髄に到達しています。
治療法は、神経処置(根管治療)が必要です。
根尖性歯周組織炎や歯根嚢胞なども考えられます。歯髄感染し歯根の先に膿が溜まっている時は、何もしなくてもズキズキすることがあります。
このような場合は、根管治療だけでなく、切開し膿を取り除いて、消毒していかなくてはなりません。予後が悪い場合は、抜歯することもあります。
まとめ
冷水痛、甘味痛だけで、時々、症状が出る場合は、虫歯の進行も軽いことが多いので、治療も神経処置をせずに、薬液塗布や詰めるだけで、すむことになるケースもあります。だだ、温熱痛、咬合痛、自発痛の症状が出てくるようになると、根管治療が必要となり、治療期間も長くなり、患者様の負担も大きくなります。早期治療することで、治りも早くなることも多いです。
また、歯の健康を保つためにも、定期検診もお勧めしております。
気になること等ございましたら、お気軽にご相談ください。