こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。
インプラント周囲炎は、インプラントを支える骨や歯茎に炎症が起こる疾患です。歯周病の一種で、治療しなければインプラントの土台が弱まり、最悪の場合インプラントが脱落するでしょう。
インプラントは人工物なので朽ちることはありませんが、周囲の生体組織が炎症によって損傷すると、機能を保つことができなくなるのです。インプラントを入れた方なら、誰でもインプラント周囲炎のリスクがあります。対処法や予防法を知っておくことが大切です。
今回は、インプラント周囲炎の症状や原因について解説します。治療法や対策もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎とは、インプラントを支える骨や歯茎に起こる炎症です。天然歯における歯周病に似ていますが、インプラントの場合は進行が速いことが特徴でしょう。
インプラントは天然歯に比べて炎症に対する耐性が低く、感染すると迅速に骨吸収が進行するのです。インプラントが脱落するだけでなく、周囲の組織にも影響を及ぼす可能性があります。
インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎は、初期段階では目立った症状が現れません。そのため、早期発見が非常に難しい病気です。
初期のインプラント周囲炎では、炎症や痛み、出血はなく、食事も通常どおり可能です。天然歯の歯周病であれば、初期段階でも出血することがあります。頻繁に出血することで異常を感じ、歯科医院を受診して発覚することもあるでしょう。
インプラント周囲炎は気づきにくく、天然歯の歯周病に比べて10~20倍の速度で進行するため、重症化しやすいといえます。
症状が進行すると、歯茎の赤みや腫れ、排膿などの症状が現れます。最終的には、痛みやインプラントの動揺につながるでしょう。
明らかな症状が出た段階で、すでに重度の状態です。治療はより困難になるでしょう。
重度のインプラント周囲炎になった場合、インプラントの除去が必要になることもあります。インプラントが自然に抜け落ちるリスクも高まります。
そのため、インプラント治療を受けた方は、定期的に歯科検診を受け、適切なセルフケアを行うことが重要です。
インプラント周囲炎になる原因
インプラント周囲炎になる原因は、以下のとおりです。
セルフケアや定期検診を怠っている
インプラント周囲炎を予防するためには、口腔内を清潔に保つ必要があります。飲食後に歯磨きをすることはもちろん、磨き残しを避けるために丁寧なブラッシングを心がけることが大切です。
歯ブラシだけでは磨きにくい部分があるので、歯間ブラシやデンタルフロスも使用したほうがよいでしょう。
定期検診も非常に重要です。定期検診では、セルフケアでは除去できない汚れや歯石を専門家が取り除きます。インプラント周囲の健康状態を保ち、早期に問題に対応できるのです。
セルフケアや定期検診を怠った場合、口腔内の衛生環境が悪化します。細菌が増殖し、インプラント周囲炎のリスクが高まるでしょう。
喫煙している
インプラント周囲炎の発生には、血行の悪化が大きく関係します。タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血流を阻害し、歯茎の健康に悪影響を与えるでしょう。
ニコチンには血管を収縮させる作用があり、歯茎に必要な酸素や栄養素の供給を阻害します。喫煙習慣があると、歯茎の健康を維持することが困難になり、感染症や炎症に対する抵抗力が低下するのです。
一酸化炭素は血液の酸素の運搬能力を低下させるため、歯茎に十分な酸素が供給されなくなります。
そのため、喫煙している方はインプラント周囲炎のリスクが高いです。
歯周病の治療が不十分だった
インプラント治療を検討する際、すでに歯周病に罹患している場合は特に注意が必要です。歯周病の状態でインプラントを埋入すると、インプラント周囲炎のリスクが高まります。
そのため、歯周病をしっかりと治療し、口腔内環境を清潔にしてからインプラント治療を受けなければなりません。
糖尿病を患っている
糖尿病の方がインプラント治療を行う場合、内科の主治医と連携します。血糖コントロールが不適切な場合、傷の治癒過程に影響を及ぼし、インプラントの結合や回復を遅らせる可能性があるためです。
インプラントが適切に結合しない、術後の患部がなかなか回復しないなど、何らかの問題が起こると、インプラント周囲炎のリスクが高まるでしょう。
歯ぎしりや食いしばりをする
歯ぎしりや食いしばりは、顎や歯に大きな負担をかける行為です。特に、インプラントには大きな影響を与えるでしょう。
歯ぎしりや食いしばりの習慣が原因で歯周組織が損傷すると、インプラント周囲炎につながる可能性があります。
インプラント周囲炎を放置してはいけない理由とは?
インプラント周囲炎になったら、速やかに歯科医院を受診して治療を始める必要があります。定期検診を受けていない場合、初期段階のインプラント周囲炎には気づけない可能性が高いです。
そのため、出血する、痛みがあるなどの自覚症状が出てから受診するかもしれません。
しかし、自覚症状が出ている段階では、すでに症状が進行しています。
インプラント周囲炎が進行するとインプラントが不安定になり、最終的には抜け落ちる恐れがあります。インプラント周囲炎はほかの歯にも影響を及ぼすので、天然歯を失うリスクも高まるでしょう。
インプラントがグラグラすると、噛み合わせが悪化し、食事の際にストレスを感じるかもしれません。噛み合わせが悪化すると、ほかの歯にも大きな負荷がかかります。
そのため、ほかの歯が欠ける・損傷する可能性があるでしょう。
インプラントの脱落や天然歯の損傷につながるため、インプラント周囲炎になったら早急に治療する必要があるのです。
インプラント周囲炎になったらどうしたらいい?
インプラントに違和感があるときは、できる限り早めに受診して治療を受けましょう。上述したとおり、インプラント周囲炎を放置するとさまざまな問題を引き起こします。
インプラント周囲炎の治療方法を確認しましょう。
軽度な場合
骨の吸収があまり進んでおらず、軽度なインプラント周囲炎の場合、基本的な歯周病治療を行います。歯周ポケットに溜まったプラークや歯石を除去し、薬剤やレーザーで細菌を死滅させたあと、抗生物質で炎症を抑えるのが一般的です。
インプラント周囲炎を進行させないため、適切な歯磨きの方法や生活指導も行われます。指示に従って、歯磨きの方法や生活習慣を改善しましょう。
重度な場合
骨吸収が進んでいる場合は、外科的な治療が必要なことがあります。インプラント周囲を切開して直接患部を掃除し、殺菌します。
また、骨の量が足りなくなっている場合は、骨造成を行うこともあるでしょう。
外科的な治療を行ってもインプラント周囲炎の進行を止められない場合は、インプラント自体を除去しなくてはいけません。
インプラント周囲炎にならないための対策
インプラント治療にかかる費用や通院の負担を考えると、インプラント周囲炎によってインプラントを失うのは避けたいと思う方が多いでしょう。インプラント周囲炎は、初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいたときには状態が悪化していることが多いです。
しかし、インプラント周囲炎を予防できれば、インプラントは10年以上ご自身の歯のように継続して使用できます。
インプラント周囲炎にならないための対策を確認しましょう。
歯科医師の指示どおりに定期検診に通う
インプラント治療を行った歯科医院では、インプラントのメンテナンスを行っています。定期検診の時期や頻度は歯科医師から指示されるので、指示に従って通いましょう。
定期検診に通っていれば、トラブルに早期に気づけます。インプラントの脱落につながる前に治療できるでしょう。
セルフケアをしっかり行う
定期検診と合わせて、ご自宅でのセルフケアもしっかり行ってください。「やわらかめ」か「ふつう」の硬さの歯ブラシを使用して、歯茎やインプラントを傷つけないように丁寧に磨きましょう。
毛束が1本のワンタフトブラシを使用すると、インプラントを効率よく磨けます。根元のくびれ部分も個別に磨いてください。
歯間ブラシやデンタルフロスも使いましょう。歯磨き粉は、インプラントを傷つけないように研磨剤が含まれていないものを選択してください。
喫煙しない
喫煙している方は、インプラント周囲炎を発症するリスクが高いです。可能な場合は禁煙しましょう。
インプラントを長く使うためには禁煙したほうがよいので、禁煙外来も検討してください。
まとめ
長くインプラントを使い続けるために、インプラント周囲炎を予防することは非常に大切です。インプラント周囲炎は進行が速く、初期段階では気づきにくいので、定期検診は欠かさないようにしましょう。
インプラント周囲炎を予防するうえでは、セルフケアに力をいれることが重要です。インプラントを埋入したということは歯を失ったということなので、以前と同様にケアしていても、また歯を失う可能性があるでしょう。
歯科医院でブラッシング指導を受けて、ご自身に適した正しいセルフケアの方法を身につけてください。また、インプラントに違和感があるときは、すぐに歯科医院を受診しましょう。
インプラント周囲炎にお悩みの方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。