こんにちは。鳥取市の歯医者さん「山根歯科医院」です。
みなさんは舌に痛みを感じたことはありますか。
「舌が痛む」と言っても色々な症状があると思います。例えば、舌がヒリヒリする、ピリピリと痛む、赤くなって痛いなどがあります。
舌が痛む代表的な原因
●口内炎
●カンジダ症
●ドライマウス
●舌癌
などがあげられます。
しかし、こられの可能性をすべて検査しても原因がわからなく、特定の病気が見つからないときに舌痛症と診断されます。本日は「舌痛症」についてお話します。
目次
舌痛症とはどんな症状?
舌に痛みが出た場合、舌や歯肉に炎症や腫れ、傷などが現れることが多いのですが、この場合、舌痛症とは診断されません。舌痛症では舌の痛みが唯一の症状です。
舌痛症の特徴
●中高年の50~70歳代の女性に多く発症
●舌の先端や側面に痛みが出ることが多い
●原因不明で舌の痛みが慢性的。長期間続くことが多い
●痛みの種類はヒリヒリ感、チクチク感といった痛み。多くの場合、食事ができなくなるほどの痛みが出ることは少ない。
●食事や会話、趣味など何かに集中している時はあまり症状は出ない。
●症状は起きている時に出ることが多く、寝ている時は、ほとんど症状は出ない。
●ボルタレンやロキソニンなど歯科治療後などに使用する鎮痛剤では、ほとんど効果がない
舌痛症の原因
ストレス
舌痛症の原因として、一番可能性が高いと言われているのが、ストレスです。最近では、ストレスによって多くの全身疾患が引き起こされていますが、口腔疾患も例外ではありません。私生活において、ストレスが溜まって不安やうつ症状がある人は、舌痛症を多く発症しています。
ホルモンの異常
舌痛症は、更年期以降の女性の方に多い傾向があります。これは、女性ホルモンなどの内分泌機能の低下が舌痛症に関与しているのではないかと言われています。しかし、これが舌痛症にどう結びつくのかはまだ解明されていません。
栄養不足
ビタミンB₂、鉄、亜鉛などが欠乏すると、舌に炎症が起きて、舌が荒れたり、発赤ができたりします。それにより舌に痛みが生じることになります。対処法としては、欠乏している物質を与えていくと良くなることがあります。ただ、全く改善が見られない場合は心因性(ストレス)が原因ではないかと考えられます。
舌痛症の対処法
舌の先や側面が歯に当たっって痛みがある場合は、当たっている歯を丸めたり、削ったりすることがあります。しかし舌痛症の場合は、ストレスなどによる心因性が原因のことも多いので、歯科治療では改善されないこともあります。歯を削ったり、丸めたりするとその歯は、元に戻らないので、そこは慎重に経過を見ながら対処する必要があります。
口腔保湿剤を使用
舌痛症は口腔乾燥症も原因の一つと言われています。口腔乾燥症が改善されれば必ず治るとは限りませんが、口腔保湿剤を舌に塗ることによって、舌痛症が改善された方もいます。一度試してみるといいかもしれません。
抗うつ剤・抗てんかん剤を投与
舌痛症の患者さんに抗うつ剤、抗てんかん剤を投与することがあります。これは服用ホルモンの働きの低下を改善することによって、舌痛症の改善に効果が期待される為です。また、舌痛症が心因性が原因と判断した場合は柴胡剤という漢方薬を使用すると痛みが軽減することがあります。
カウンセリングと生活指導(生活改善)
舌痛症の場合、薬の投薬だけでは治らないことも多いです。当院ではカウンセリングを行っております。舌痛症の説明をし、患者さんに納得していただくことに努めています。説明を受けた患者さんの中には、不安感が軽減され、痛みが軽くなった方もいらっしゃいます。また、生活改善をすることも大事です。十分な睡眠、バランスの良い食事、気分転換に散歩をする等の適度な運動をするなど規則正しい生活をすることが大切です。
舌痛症に対する歯科治療
口腔内の清掃
舌の疾患は口腔粘膜の疾患なので、口腔内を清潔にすることが大切です。細菌感染によって舌に発赤、びらんができないように口腔内を清潔にしておかなければなりません。
舌に刺激を与えない被せの装着
歯に被せを装着する時(特に下顎)は舌に刺激や不快感がないように、被せの表面を滑らかにするように心掛けています。舌に当たって痛みが出たり、場合によっては、発音障害を起こすことがあります。
マウスピースの作製
ストレスが原因で舌痛症になったと判断した時、食いしばりや歯ぎしりをしている方がいらっしゃいます。そのような方にはマウスピースをつけることをお勧めしています。また、マウスピースの装着と同時にリラクゼーション法なども行うことがあります。当院ではリラクゼーション法としてお口のストレッチなどを取り入れています。
マッサージなどによる血行の改善
舌痛症などで舌が痛い場合はマッサージなどで肩や首など全身の血行を良くすることをお勧めしています。血行を良くすることで、舌の痛みが改善することがあります。
舌のケア
歯磨きなどで歯を磨く習慣が出来ている人は多いと思います。しかし、舌のケアをしている人は少ないのではないのでしょうか。舌には舌苔(ぜったい)と呼ばれる白い苔状のものが付いている方がいます。この舌苔が多く付着していると細菌の数が多く存在し下の発赤、びらんなど炎症が起こるリスクが高まります。さらに口臭の原因にもつながります。舌苔が付着していない場合は舌の清掃は必要がありません。しかし、舌苔が多く付着している人は、特に歯磨きを行うと同時に、舌ブラシで舌の汚れを清掃する必要があります。当院では、舌ブラシ使用方法の指導も行っております。
食事療法
舌痛症の原因として栄養不足が考えられることがあります。代表的な栄養素として亜鉛、ビタミンB₂、ビタミンB₆などが不足すると舌痛症を引き起こす原因となります。そのためにこれらを多く含む食品を摂取することをお勧めします。
亜鉛を多く含む食べ物:牛肉、卵黄
ビタミンB₂を多く含む食べ物:レバー、納豆、牛乳、うなぎ
ビタミンB₆を多く含む食べ物:サンマ、マグロ
これらを食事に取り入れましょう。
まとめ
舌が痛む病気には口内炎、カンジタ症、ドライマウス、舌癌などいろいろあります。これらの病気は視診して検査したり、レントゲンを撮影して分かることが多いですが、舌痛症は検査しても異常がないことが多く、肉眼では分からないことが多いです。原因は不明なので舌が痛い場合は、舌痛症の可能性も考えなければなりません。舌痛症は心因性のものが多く、ストレスによって起こることが多いです。そのため、ストレスを解消し、規則正しい生活を心掛けましょう。また、生活習慣を変えることによって舌の痛みが改善することがあります。長期間舌の痛みで悩んでいる方がいれば、お気軽にご相談ください。