
こんにちは。鳥取市東町にある山根歯科医院です。
歯と口の健康を守るには、歯科医院での定期的な検診を通じた「プロフェッショナルケア」と、歯科医師や歯科衛生士の指導に基づき自分自身で行う「セルフケア」の予防歯科がとても重要です。
治療やメンテナンスは歯科医院の役割ですが、治療後の歯とお口の健康を守っていくためには患者様のセルフケアが欠かせません。
しかし、日頃から熱心にセルフケアに取り組まれている方の中でも、虫歯や歯周病になりやすい方がいます。そこで注目したいのが唾液検査です。歯とお口の健康を守るには、ひとりひとりに合ったケアが大切です。
当院では唾液検査システム(SMT)を導入しています。唾液検査を行うことで、自分の歯やお口の健康状態を確認することができます。毎日のケアを、より効果的なものにしていくためにも唾液検査でお口の中の状態を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
今回は、その唾液検査システムSMTについて説明します。
SMT唾液検査とは?
SMTとは、「多項目・短時間唾液検査システム Salivary Multi Test 」の略です。
歯や歯茎に生じた変化は見た目での確認が可能ですが、「お口の健康状態」は見た目だけでは分かりません。この唾液検査(SMT)では、歯の健康、歯茎の健康、口腔清潔度に関する6項目がチャートで表示されるため口腔内の状況が一目でわかります。
これらの情報からお口の健康状態を総合的に知ることができます。また検査結果をもとにお一人お一人に適したセルフケアをご提案することが可能になります。
SMT唾液検査は少量の水で口をゆすぐだけの簡単な検査で、5分で測定結果が出ます。口をゆすぐだけでできる簡単な検査で、痛みを伴わないため、高齢者の方から小さなお子様まで検査可能です。
SMTで測定できる6項目

歯の健康について
①虫歯菌
虫歯のなりやすさを決めるのは、お口の中にいる虫歯菌の数と種類です。お口の中は温かく湿っているので、細菌が繁殖しやすい環境になっています。お口の中の細菌の数は300種類以上もいるといわれ、そのうち虫歯菌と呼ばれるものは約10種類です。
虫歯菌が多いと、歯の表面に歯垢(プラーク)が付着しやすく、歯の健康を損ないます。
SMTでは、う蝕原性菌数との関連性が認められているグラム陽性菌群によるレサズリンの還元能を検出しています。
②酸性度
通常、お口の中のpHは6.8〜7.0の中性です。食べ物を食べたり飲んだりすることで、食物飲料の酸や口腔内細菌が出す酸により、お口の中が酸性に傾きます。
酸性に傾いている時に虫歯が進行してしまう危険性が高くなってしまいます。とくにpHが5.5を下回ると脱灰(歯の表面のエナメル質が溶け出すこと)が起こり始めます。
SMTでは、pH指示薬の呈色変化から水素イオン量を検出しています。
③緩衝能
唾液には、むし歯菌や食物由来の酸を中和する機能(緩衝能)がありますが、その働きが弱いと、エナメル質などの歯質が溶解(脱灰)しやすくなります。
唾液中の緩衝能を評価することで、むし歯や歯周病のリスクを予測することができます。
SMTでは、一定量の酸存在下の複合pH指示薬の呈色変化から、酸に対する唾液の中和力を検出しています。
歯茎の健康について
④白血球
歯周病は、磨き残しなどが原因で口内に蓄積したプラーク(歯垢)や歯石に、細菌が多く繁殖して発生する病気です。細菌の感染により歯茎が炎症を起こし、進行すると歯を失ってしまうこともあります。
口の中に炎症があると、身体の防御システムが働くことにより、白血球が活発に活動します。その為、白血球が多いということは歯周病が進行しているおそれがあります。
SMTでは、尿検査に用いられている試験紙の技術を応用し、白血球エステラーゼ活性を検出しています。
⑤タンパク質
口腔内細菌や、歯と歯ぐきの間にあるバイオフィルム(プラーク)の影響により、唾液中のタンパク質が多くなることが知られています。
SMTでは、尿検査に用いられている試験紙の技術を応用し、色素結合法により総タンパク質量を測定しています。
口腔清潔度について
⑥アンモニア
口腔内の細菌総数が多いと、唾液中のアンモニアが多くなります。アンモニアが多くなると口臭の原因となるガスが多く産生されているおそれがあります。
SMTでは、血液検査で用いられている試験紙の技術を応用し、酵素サイクリング法によりアンモニアを検出しています
金額について
唾液検査は自由診療となっており、当院での唾液検査費用は1回1,650円となります。
SMTの検査の流れ
Step1 : 採取
来院されましたら、スタッフが唾液の採取を行います。
SMTの測定には、洗口吐出液を用います。検査キット付属の洗口用水(3ml)を口に含み、口腔内全体にいき渡るように10秒間口をゆすぐだけで唾液の採取が完了します。
Step2 : 測定
スタッフが洗口吐出液を試験紙に点着して専用機器にセットすれば、測定がスタートします。測定時間はわずか5分です。
Step3 : 結果の共有
検査結果は、検査当日にお渡しいたします。
結果シートは、わかりやすいグラフで表記してあります。結果をもとに、ブラッシング指導や食生活のアドバイスを行い、お一人お一人に適したセルフケアの提案を行います。
※SMTの注意事項
唾液の状態は、お口の中の環境や体調によって変化します。できるだけ安定した状態の唾液を測定するために、検査前2時間以内は、飲食、洗口・うがい、歯磨きはお控えください。
まとめ

SMT(唾液検査)は、口腔内の状態を把握し、適切な虫歯や歯周病の予防方法を把握するために優れた検査です。これまでさまざまな予防を行っているにも関わらず、あまり効果が無かったという方には特におススメです。検査を受けることで、予防効果を発揮しなかった理由も判明するかもしれません。
虫歯や歯周病を効果的に予防したい方は、一度検査を受けてみてはいかがでしょうか。唾液検査で歯やお口の健康状態を確認して、私たちと一緒に歯とお口の健康について考えていきましょう。