こんにちは。鳥取市東町にある 山根歯科医院です。当院に来院される患者様で「歯を白くしたい」と言われる方がいらっしゃいます。歯を白くする方法と言えば、真っ先に浮かぶのはホワイトニング治療です。ホワイトニングを希望される患者様のお口の中を観察すると、歯が、着色・変色している方が多く感じられます。本日は、ホワイトニング治療についてお話します。
まず、歯が着色する原因は何でしょうか。歯の着色の原因には多きく分けて、外部由来のものと、内部由来のものに分けられます。
目次
歯の着色の原因
外部由来
1.飲食物による着色
コーヒーややお茶、ワインなどのタンニン系化合物を摂取すると着色しやすいです。
2.喫煙による着色
タバコを吸うことにより、ヤニが歯の表面に付着し着色してしまいます。
3.虫歯の進行による変色
虫歯により、脱灰した歯質に飲食物が浸透し歯の表面が着色してしまいます。
内部由来
1.加齢による歯の変色
加齢により、エナメル質が薄くなると象牙質の色が濃くなったり、また象牙質自体の歯質保護のため第二象牙質を作り厚みを増していきます。そのため象牙質の黄色い色が透けて見えてきます。
2.失活歯
虫歯治療で神経を処置した歯や強い衝撃を受けて、神経が死んでしまった歯は、褐色に変色してしまいます。
3.テトラサイクリン歯
歯の形成期である0~6歳くらいにテトラサイクリン系の抗生物質を投与されている場合、グレー系で黒色の強い変色がおこることがあります。変色は、左右対称に発現するのが特徴です。紫外線が当たると次第に色が濃くなって、より目立つように性質があります。過去には、テトラサイクリン系抗生物質を使用されることが多くありましたが、歯の変色の原因となることがわかり最近では、12歳ころまではテトラサイクリン系の抗生物質は使用されなくなりました。
4.遺伝性疾患
エナメル質形成不全やエナメル減形成などによるもので、エナメル質形成不全とは、歯ができてくる過程で、歯の表面のエナメル質が上手く形成できず、薄くなったりもろくなったりしている状態を言います。エナメル質形成不全症は多くの場合、すべての歯が形成不全になることが多いです。この場合は、遺伝性疾患の原因の可能性があります。ただ、1~数本の場合は、後天性の原因と考えられます。エナメル質形成不全症では、歯が黄色や茶色に変色していることが特徴です。
ホワイトニングのメカニズム
ホワイトニングで使用されている薬剤は、過酸化水素と過酸化尿素です。多くは、オフィスホワイトニングで使用されて過酸化水素、ホームホワイトニングで使用されているのが過酸化尿素です。この使用されている薬剤は医薬品の為、歯科医院でしか使用できません。
メカニズムは?
ホワイトニング剤に含まれている過酸化水素や過酸化尿素は、血液などによるカタラーゼで分解され、フリーラジカルが発生します。このフリーラジカルが歯の着色の原因となっている着色物質を分解し、無色の物質になることにより、歯が白くなります。フリーラジカルは酸性では発生しにくく、アルカリ性では発生しやすい特徴があります。
どうして白くできるか?
歯の表面にホワイトニング剤を塗布することにより、ホワイトニング剤の成分が歯に浸透して、歯の着色や原因となっている、着色物質を分解して、歯が白くなるのです。
ホワイトニングの種類
ホワイトニングには3つ種類があります。オフィスホワイトニング・ホームホワイトニング・デュアルホワイトニングの3つです。
★オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、歯科医院で行われるホワイトニング法です。ホワイトニングの特徴は、即効性が高いということです。通常、1回の治療時間は1時間程度ですが、1回の治療でかなりの効果が見られます。白さを安定させるために当院では、2回施術を行うことをお勧めしております。最近では、結婚式のためにホワイトニングしたいと来院される女性の方もいらっしゃいました。このようなかたは、即効性が高いオフィスホワイトニング法がお勧めです。ただ、ホームホワイトニングと比べて持続性が短いので、定期的なケアはとても重要になってきます。
★ホームホワイトニング
ホームホワイトニングは、自宅で行うホワイトニング法です。歯科医院で自分に合ったマウスピースを作製していただき、そのマウスピースとホワイトニング剤を使い、1~2ヶ月程度かけて徐々に白くしていく方法です。オフィスホワイトニングと比べ、自宅で行えることや、低濃度の薬剤を使用しているため知覚過敏症などが起こるリスクが少ないと言えます。また、ゆっくりと白くしていきますので、オフィスホワイトニングと比べると長期効果があり、色の後戻りが少ないのも特徴です。ただ、オフィスホワイトニングのように即効性は高くないので時間がかかることは、デメリットちお言えます。
★デュアルホワイトニング
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニング法とホームホワイトニング法の両方を併用した方法です。つまり、歯科医院と自宅の両方でホワイトニングを行います。デュアルホワイトニング法は、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングのメリット両方を併せ持つ方法です。当院では、デュアルホワイトニングをお勧めしています。デメリットといては、費用が高額になることです。
ホワイトニング法には、以上の3種類の方法があります。ご自分に適した方法を選択していただきたいと思います。
ホワイトニングの注意点
ホワイトニング後は注意点があります。この注意点を守っていただくことは、歯の白さをキープするにはとても重要です。歯は、通常ぺリクルという薄い膜で覆われています。ホワイトニング治療後はこのペリクルが剝がされた状態になり、歯は着色しやすくなります。食べ物によっては、変色してしまうことになります。ホワイトニング後のお食事には注意が必要です。
ホワイトニング後に控えていただきたい飲み物・食べ物
コーヒー、赤ワイン、カレー、チョコレート、キムチなど
食べても良いもの
白ごはん、食パン、牛乳、うどんなどの麵類
ホワイトニング後の痛みの予防法と対処法
予防法
①虫歯はホワイトニング前に治療しておく
②象牙質知覚過敏症の歯磨き粉を使用する
③楔状欠損などで象牙質が露出している場合は、CR充填などを行う
対処法
①象牙質知覚過敏症の歯磨き粉を使用する
②痛み止めを服用する
③歯科医院で知覚過敏用の薬剤を塗布する
ホワイトニング後の痛みは、数日で落ち着くことが多いので、様子をみられても良いかもしれません。ただ、1週間以上痛みが続いたり、強い痛みがある場合は早めに歯科医院を受診してください。
ホワイトニングの禁忌症
①無カタラーゼ症 (絶対的禁忌)
過酸化水素を分解する酵素「カタラーゼ」を生まれつき持たない無カタラーゼ症の方
②妊娠中・授乳中の方(相対的禁忌)
妊娠中・授乳中にホワイトニングを行って問題が生じたという報告はありませんが、当院では、万が一のトラブルに備えてホワイトニングは、お控えていただいております。
③18歳未満の小児(相対的禁忌)
歯の根が未完成のため、ホワイトニングは控えることが望ましいです。当院では、小児ホワイトニングを行う場合は、保護者の方の同意をいただくようにしております。
まとめ
ホワイトニングで、歯を白くすることで、歯の美しさや笑顔に自信が持てるようになります。ただ、ホワイトニングの注意事項などしっかりと理解した上で行わなければなりません。ホワイトニングを行う際は歯科医師と相談し、ご自身に合ったホワイトニング方法を選択してください。