以前は多くの人が虫歯にかかっていました。しかし、最近では歯の大切さを理解している人がだんだん増えたこともあり、虫歯を経験する人が減少傾向にあります。
しかし、虫歯になる人が減少してきたとはいっても、たくさんの歯が虫歯になっている人もいます。これには様々な原因が考えられます。
本日は虫歯になりやすい人の特徴と予防法についてお話します。
目次
虫歯になりやすい人の特徴
歯磨きが適切にできていない
みなさんが虫歯の原因で第一に頭に浮かぶのが『歯磨きが上手にできていない』ことではないでしょうか。もちろん歯磨きが正しくい行われていないと虫歯になってしまいます。では、歯磨きが上手にできていないとどうなるのでしょうか。
歯磨きが上手にできていないと口の中に磨き残しが多くなり、歯の表面にプラークや歯垢が多く付着することになります。このプラークや歯垢には、虫歯菌(ミュータンス菌)が存在し、この虫歯菌が酸を出し、歯の表面を溶かして穴が空いていきます。これが虫歯の原因です。
また、虫歯菌は糖分を栄養源として、どんどん増殖していきますので、糖分の多い食べ物が口の中に多く付着していると虫歯のリスクが大きくなります。
ですので、虫歯菌を減少させるためには日常の歯磨きを正しく、しっかり行うことが大切です。
唾液の分泌量が少ない人
唾液は口腔内を洗浄し細菌を洗い流す役割をしています。唾液の分泌量が少なければ、細菌が口の中に停滞してしまうため虫歯になりやすくなります。
また、唾液の分泌量は歯周病にも関係があります。唾液は虫歯菌だけでなく、歯周病の原因菌も洗い流す役割をしているため、唾液の分泌量が多いと歯周病にもなりにくいと言えます。
【唾液の分泌量を多くする方法】
●よく噛んで食事をする
●こまめに水分補給をする
●口呼吸をできるだけせず、鼻呼吸を行う
●唾液腺のマッサージをする
唾液腺は口の周りにある、唾液を分泌する組織です。この唾液腺を刺激することで唾液の分泌量が多くなります。唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つがあります。この3つの唾液腺のマッサージを行い、刺激を与えることで唾液の分泌量が多くなります。
食生活(糖分の摂取量が多い)
糖分の多い食べ物を多く摂取すると虫歯になるリスクが高くなります。
例えばキャラメルやチョコレート、炭酸飲料などを頻繁に摂取すると口腔内に存在する虫歯菌(ミュータンス菌)が糖分を栄養源として、活発に増殖していきます。そして虫歯になるリスクが高くなります。
特にキャラメルのように歯にくっつきやすい食べ物は、口の中に長時間、食物残渣として残りやすく、虫歯菌が増殖して虫歯になりやすくなりますので気を付けましょう。
歯並びが悪い(歯列不正)
歯並びが悪いと虫歯になりやすくなります。特に歯が重なりあっている部分は歯ブラシの毛先が届きにくく、プラークを完全に除去することが困難になります。
遺伝的要因
虫歯になりやすい人は遺伝も考えられる理由の一つです。
遺伝的要因で考えられる要素として、唾液の量や質、歯のエナメル質の状態、口の中の虫歯菌の量が関与しています。
例えば、歯の表面のエナメル質が弱い人は虫歯になりやすいです。例えば、エナメル質形成不全症などの人は虫歯になりやすいと言えます。
生活習慣が不規則
不規則な生活習慣は虫歯になるリスクが高くなります。
代表的なこととしては夜更かしが挙げられます。夜更かしが続くと、全身の機能に乱れが生じ、唾液の分泌量にも影響を及ぼすと言われています。
また不規則な食生活を送ると虫歯になるリスクが高くなります。『だらだら食べ』や間食の回数が多い、あるいは朝食を食べず昼食・夕食の2食だけの食生活や、夜食を頻繁に行うことは虫歯になりやすいです。
朝食を食べずに夜遅く食事をするようになると、口の中の唾液の分泌量が減少し、口の中が乾燥状態になり虫歯になりやすくなります。
夜食を頻繁に行うこともあまりよくありません。夜間は全身のバイオリズムが乱れ唾液の分泌量が減少します。また、夜勉強している方はつい寝てしまい、歯磨きするのを忘れてしまうこともあるかもしれません。
規則正しい生活を送ることはとても大切なことです。当院では遅くても寝る1時間前までに食事をすることをお勧めしています。そして寝る前は必ず歯磨きをするようにしましょう。
虫歯の予防法
適切な歯磨きを行う
虫歯の予防法で大切なのはまず正しい歯磨きを行うことです。
歯磨きは1日3回食後に行うようにしましょう。1日3回、歯磨きはしているけど夜食を食べてそのまま寝てしまう人がいます。歯磨きをする時間帯で一番大切な時間は夜寝る前です。寝る前は必ず歯磨きを行うようにしましょう。
また、歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間には歯間ブラシやデンタルフロスなど使用することをお勧めします。
食生活の改善
糖分の多い食べ物を頻繁に摂取するのではなく、バランスの良い食事をすることを心掛けてください。カルシウム、ビタミンA、ビタミンCを多く含む食品は歯を強くしてくれる食品です。
代表的な食べ物としてひじき、わかめ、チーズ、ヨーグルト、にんじん、パセリなどがあります。ただ糖分の多い食べ物を絶対に食べてはいけないということではありません。食べた後はしっかりと歯磨きを行いましょう。
唾液の分泌量を促進
唾液は口腔内の洗浄や酸の中和の働きがあり虫歯の予防に大きく貢献しています。よく噛んで食事するなどして唾液の分泌を促進する習慣に身につける必要があります。
正しい生活習慣
正しい生活習慣を行うことは全身の健康状態を維持することに必要なことですが、口の中の健康においてもとても重要なことです。
また、規則正しい生活習慣を送ることで、ストレスなどが減少し快適な私生活を送ることができます。早寝早起き、規則正しい食習慣を行うことが大切です。
定期的な歯科検診
虫歯にかかわらず、口の中の疾患において早期発見・早期治療がとても重要です。特に虫歯は、1度進行して放置してしまうとどんどん進行していきます。虫歯は軽度な時に治療を行うことが大切です。
当院では3~4カ月に1度の検診をお勧めしています。検診で来院される患者様には歯石除去やプロフェッショナルケア(PMTC)を行っています。
スケーリングやPMTCを行うことによって虫歯になるリスクが減少します。定期健診はぜひ受けるようにしましょう。
まとめ
虫歯にはなりやすい人となりにくい人がいます。よく一生懸命、歯磨きしているのに虫歯になってしまうと悩んでいる人がいらっしゃいます。しかし虫歯の予防は歯磨きだけではありません。
生活習慣、口腔ケアの方法、食生活の改善などを行うことで虫歯のリスクは低下します。口腔ケアにおいては歯磨きの方法はもちろんのこと、歯磨き粉の選択、歯間清掃器具の使用方法、電動歯ブラシの使用など患者さん1人1人に合った指導を行っています。
歯科医院に定期健診で受診された際には、歯科医師に相談してみるのも良いかと思います。そして今後虫歯になるリスクを減らし、いつまでもお口の中の健康を維持していただきたいと思います。
当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療など、幅広い診療に力を入れています。