こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。
ワイヤー矯正は、歯並びや噛み合わせを整えるための、一般的な矯正方法です。
しかし、ワイヤー矯正の仕組みや治療期間については、詳しく知られていないことも多いのではないでしょうか。「治療期間が長引くケースは?」など、疑問をお持ちの方もいるでしょう。
本記事では、ワイヤー矯正の基本的な仕組みや平均的な治療期間、治療が長引く原因とその対策について解説します。これから矯正を始める方や検討中の方は、治療をスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ワイヤー矯正の歯を動かす仕組み
ワイヤー矯正は、歯の表面に装着したブラケットにワイヤーを通して歯に力を加え、少しずつ移動させて理想的な歯並びに整えていく方法です。
矯正装置が歯に一定の力をかけることで、歯と歯槽骨の間にある歯根膜という薄い膜の力がかかる側は圧縮され、破骨細胞によって骨が溶けます。反対側では歯根膜が引っ張られることで骨芽細胞が新しい骨を作ります。
この過程を繰り返すことで歯が少しずつ動き、目標の位置に近づいていくのです。
ワイヤー治療では定期的に通院し、ワイヤーを調整しながら歯に適切な圧力をかけ歯並びを段階的に整えていきます。そのため、歯科医師に指示されたタイミングでの通院が重要です。
ワイヤー矯正の平均的な期間
ワイヤー矯正の治療期間は、一般的に1年から3年程度が目安です。
ただし、治療内容や患者様の口腔状態によって変動します。例えば、部分的な矯正の場合は、全体矯正と比べて歯を動かす距離が短いため、短期間で完了する傾向があり、2ヶ月から1年半程度が目安です。
奥歯を含めた全体的な歯並びを整える場合は、治療期間が長くなる傾向にあり、1年から3年程度が目安とされています。
また、抜歯の有無も治療期間に影響します。抜歯を行う場合は歯の移動距離が増えるため、治療期間が長引く可能性が高いでしょう。
ワイヤー矯正の期間が長い理由
ワイヤー矯正には数年の時間を要することが多いです。その理由は、歯を安全かつ確実に動かすための仕組みにあります。
歯は少しずつしか動かせないから
先述したとおり、歯の移動には歯を支える骨である歯槽骨と歯の間にある、歯根膜という組織の性質を利用します。歯根膜が伸縮・引き延ばされ、周囲の歯槽骨が吸収・再生するプロセスを繰り返すことで、歯が徐々に動くのです。
しかし、ワイヤー矯正で1ヶ月に動かせる距離は0.5mmから1mm程度のため、歯並びを整えるには長い期間が必要となります。
歯を早く動かそうと強い力をかけると、歯茎や神経が損傷したり歯根が溶けたりするリスクがあるため、矯正では適度な力を継続的に加える必要があります。トラブルを避けるためにも、歯への負担を最小限に抑えつつ、安全に歯を動かしていくことが重要です。
保定期間が必要
矯正治療が終わった後には、保定期間と呼ばれる期間が設けられます。保定期間では、動かした歯が新しい位置で安定するよう、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着して維持しなくてはいけません。
保定期間は矯正治療にかかった期間と同程度必要とされるため、全体の治療期間がさらに延びるのです。保定装置の装着時間は1日20時間以上とされていますが、一般的には徐々に時間を減らしていきます。
ワイヤー矯正の期間が長引くケース
ワイヤー矯正は、美しい歯並びを実現するために効果的な治療法ですが、治療期間が予定よりも長くなるケースも少なくありません。治療が長引く原因には、さまざまな要因が関係しています。
ワイヤー矯正の期間が長引くケースは、以下のとおりです。
重度の症例の場合
歯並びや噛み合わせが著しく乱れているケースは、治療期間が長くなる傾向にあります。特に、歯と歯が重なり合う叢生と呼ばれる状態が重度の場合は抜歯を伴うケースが多く、歯を移動させる距離が増えて治療期間が延びることがあります。
また、出っ歯や受け口など骨格的な問題がある場合は、外科手術が必要になることもあります。これにより、治療がさらに複雑化して期間が長引く要因となるのです。
悪習癖がある場合
舌で前歯を押す癖や頬杖をつく癖などがある場合、歯に余分な力が加わり治療計画通りに歯が動かなくなる可能性があります。矯正治療をスムーズに進めるためには、治療中にこのような悪癖を改善することが重要です。
定期通院を怠った場合
ワイヤー矯正では、通常1~2ヶ月ごとに調整が必要です。この定期検診を怠ると、歯の移動が計画通りに進まなくなり、治療期間が延びるリスクが高まります。
また、虫歯や歯周病になると、矯正治療を中断して歯科治療が優先的に行われます。重度であるほど治療に時間がかかって中断している期間も長くなるため、定期検診で初期段階に発見・治療することが重要です。
歯の動きが遅い場合
歯の動く速度には個人差があります。一般的には代謝が良い若い人ほど歯が動きやすいとされていますが、若いからといって必ずしも治療がスムーズに進むわけではありません。
予想以上に歯が動かない場合は、治療期間が延長する可能性があります。
医師の技術や経験が不足している場合
歯科医師の経験や技術が不十分な場合、治療が計画通りに進まず治療期間が長引くケースがあります。そのため、矯正治療を始める際には、経験と知識が豊富な歯科医師を選ぶことが重要です。
予約が取りにくい場合
治療中の定期検診が予約しにくい場合、矯正装置の調整が滞って治療期間が延びる可能性があります。特に、患者数に対して十分な人員が確保できていないクリニックでは、予約が取りにくいことがあります。
矯正治療を円滑に進めるためには、予約が取りやすいクリニックを選ぶこともポイントです。
ワイヤー矯正の期間を長引かせないためにできること
ワイヤー矯正の治療期間を予定どおりに終わらせるためには、食事に注意したり歯科医師の指示を守ったりすることが重要です。以下に、矯正治療を長引かせず、スムーズに進めるためのポイントを紹介します。
丁寧な口腔ケアを心がける
虫歯や歯周病などの口内トラブルが発生すると、矯正治療を中断して歯科治療を優先することが多いです。矯正治療を中断するとその分治療が長引くため、丁寧な口腔ケアを徹底してトラブルを起こさないよう心がける必要があります。
歯磨きをする際は、歯ブラシ以外にも歯間ブラシやタフトブラシを活用して、ブラケットやワイヤーの隙間の汚れもしっかり取り除きましょう。また、歯科医院で歯磨き指導を受けることで、セルフケアの質を向上できます。
食べ物の選び方に注意する
硬い食べ物や粘着性の高い食べ物は、矯正装置を破損させる原因になります。装置が破損すると、新しい装置を装着するまで治療が滞り長引くでしょう。
また、治療が遅れるだけでなく、口腔内を傷つけるリスクもあるため注意が必要です。
矯正期間中は、装置に負担をかけないように食材を小さく切るなどの工夫をしましょう。もし装置が外れた場合には、早めに歯科医院を受診してください。
リテーナーを適切に使用する
矯正装置が外れた後も、リテーナーを使用して歯並びを維持することが大切です。リテーナーの装着を怠ると、歯が元の位置に戻る可能性があり、再治療が必要になることがあります。
そのため、歯科医師に指示された期間、しっかり装着するよう心がけてください。
まとめ
ワイヤー矯正は、美しい歯並びを実現するために効果的な治療法です。
しかし、様々な原因によって治療期間が長くなる可能性があるのを、知っておくことが重要です。治療が長引く原因を知ることで、治療中のトラブルを回避しやすくなります。
また、日常生活での口腔ケアや定期検診の徹底、医師選びなど、ご自身でできる対策を実践することで、治療期間を長引くのを防げるでしょう。
ワイヤー矯正を検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療など、幅広い診療に力を入れています。