こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。
インビザライン・ファーストは、6歳から10歳ごろの子どもを対象としたマウスピース矯正です。永久歯が生え揃う前の混合歯列期に治療を行うことで、歯並びや顎の成長をサポートし、将来的な矯正治療をスムーズに進めることが期待できます。
では、インビザライン・ファーストではどのような歯並びを改善できるのでしょうか。また、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
この記事では、インビザライン・ファーストで治療できる症例やメリット・デメリットについて解説します。お子さんの歯並びにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
インビザライン・ファーストとは
インビザライン・ファーストとは、マウスピース型矯正治療の一種です。乳歯と永久歯が混合する6歳から10歳の子どもが対象とされており、この時期に治療を受けることで、顎の成長を促しながら歯並びを整えることができます。
使用する装置は透明で目立ちにくく、取り外しができるため、子どもへのストレスが少ない矯正方法です。
インビザライン・ファーストで治療できる症例
ここでは、インビザライン・ファーストで治療できる代表的な症例について解説します。
出っ歯(上顎前突)
上の前歯が前方に突出している出っ歯は、インビザライン・ファーストで改善が期待できます。マウスピースを装着することで上の歯を後方に移動させ、噛み合わせを整えます。唇や口腔筋のバランスも調整され、口元の突出感が改善することがあります。
受け口(反対咬合)
下の前歯が上の前歯より前に出ている受け口にも対応可能です。インビザライン・ファーストで顎の成長をコントロールして、正しい噛み合わせに導きます。早期に治療を開始することで、将来的な外科的矯正のリスクを軽減できます。
叢生
叢生とは、歯が重なり合っていたりデコボコしていたりする歯並びのことです。インビザライン・ファーストでは叢生の改善も期待できます。顎の成長をサポートすることで、永久歯が適切な位置に生えるように促します。軽度から中度の叢生に効果があるとされています。
開咬(オープンバイト)
開咬とは、奥歯を噛み合わせたときに上下の前歯に隙間ができる歯並びのことです。上下の前歯が噛み合わないため、食べ物を噛み切ることが難しくなります。
マウスピースによる矯正とともに、舌の正しい位置や飲み込み方を訓練し、前歯の隙間を改善します。口腔筋機能のバランスを整えることが重要です。
すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間に隙間があるすきっ歯も、インビザライン・ファーストで治療できる症例のひとつです。歯と歯の間に隙間があると、食べかすが挟まりやすかったり、空気が漏れて発音しにくくなったりします。特に、前歯の隙間が気になるケースに効果的です。
交叉咬合(クロスバイト)
交叉咬合とは、上下の歯が正しく噛み合わず交叉している歯並びのことです。マウスピースを装着して歯を正しい位置に誘導し、噛み合わせを改善します。早期治療により、顎の非対称な成長を防ぐ効果が期待できます。
インビザライン・ファーストのメリットとデメリット
インビザライン・ファーストは歯並びや顎の成長を整える効果が期待できますが、すべての症例に対応できるわけではありません。ここでは、インビザライン・ファーストのメリットとデメリットについて解説します。
インビザライン・ファーストのメリット
インビザライン・ファーストのメリットは、以下のとおりです。
装置が透明で目立ちにくい
インビザライン・ファーストでは透明なマウスピースを使用するため、目立ちにくいのがメリットです。学校や日常生活において見た目を気にせずに済むため、ストレスを感じることなく治療を進められるでしょう。
取り外しが可能
装置の取り外しができるのもインビザライン・ファーストのメリットです。そのため、普段通りに食事を楽しめます。歯磨きも通常通りできるので、虫歯や歯周病のリスクを抑えられます。
痛みや違和感が少ない
インビザライン・ファーストでは柔軟性のあるマウスピースを装着して少しずつ歯を動かすため、ワイヤー矯正に比べて痛みや違和感が少ないのもメリットです。口内を傷つけるリスクも低いため、小さなお子さんでも嫌がることなく装着を続けられるでしょう。
抜歯を回避できる場合がある
インビザライン・ファーストでは、顎の成長を促しながら、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースを確保します。そのため、将来的に矯正治療が必要になった場合でも、抜歯を回避できる可能性があるのです。
健康な歯を抜歯することに抵抗がある方にとっては、大きなメリットといえるでしょう。
治療計画がデジタルで可視化できる
3Dスキャンによるデジタルシミュレーションで、治療前に歯の動きや仕上がりを確認できる点もメリットです。保護者の方やお子さん自身がどのように歯並びが整っていくのかイメージしやすいため、モチベーションの維持にもつながるでしょう。
インビザライン・ファーストのデメリット
インビザライン・ファーストのデメリットは、以下のとおりです。
装着時間の管理が必要
治療で使用する装置は1日20~22時間装着する必要があります。装着時間が短いと効果が現れにくく、治療期間が延びる可能性もあります。マウスピースの装着時間をお子さんが管理することは難しいため、保護者の方のサポートが必要になるでしょう。
紛失・破損する可能性がある
治療に使用する装置は取り外しが可能なため、しっかりと管理ができていないと紛失・破損するリスクがあります。装置を紛失・破損して作り直しが必要になると、治療期間が延びる可能性があります。
対応できない症例がある
インビザライン・ファーストはすべての症例に対応できるわけではありません。重度の叢生や顎の骨格に問題がある症例には対応が難しい場合があるのです。こうしたケースでは、ワイヤー矯正や外科的治療が必要になる場合があります。
費用が高い
インビザライン・ファーストは保険適用外のため、費用は30万円~60万円程度と高額です。マウスピースを紛失・破損して作り直しが必要になると追加で費用がかかることもあります。
インビザライン・ファーストの治療期間
インビザライン・ファーストの治療期間は子どもの成長するスピードや歯並びの状態によって異なりますが、一般的には1年〜1年半程度が目安です。軽度な歯並びの乱れであれば、1年ほどで治療が完了することが多いでしょう。
複数の問題がある場合や、出っ歯・受け口・叢生が重なる症例では、長くかかることもあります。症例の複雑さによって、治療期間が延びる可能性があるため、事前に歯科医師に確認することが大切です。
インビザライン・ファーストの費用
インビザライン・ファーストは保険が適用されません。自費診療であるため、治療費はクリニックによって異なりますが、30万円〜60万円程度が相場です。大人向けのインビザライン矯正よりは低価格ですが、小児矯正としては高額かもしれません。
費用の内訳
費用の内訳を以下にご紹介します。
初診・カウンセリングの費用
治療開始前に行う初診やカウンセリングの費用は、3,000円〜5,000円程度です。歯並びの状態を確認して、インビザライン・ファーストで治療できるかを判断します。
精密検査費用
レントゲン撮影や口腔内の型取り、3Dスキャンによる検査・診断費用は、2万円〜5万円程度です。この検査の結果をもとに、歯科医師が治療計画を立てます。
装置代
インビザライン・ファーストの治療で使用するマウスピースは、オーダーメイドで作製されます。マウスピースの作製にかかる費用は、30万円〜60万円程度です。
通院費
矯正治療中は1〜2か月に1回ほどの頻度で歯科医院に通院し、計画どおりに歯が動いているか、虫歯などのトラブルは起こっていないかを確認してもらう必要があります。費用は1回あたり3,000円〜5,000円程度です。
この費用が治療費に含まれている歯科医院もあるため、事前に確認しましょう。
保定期間中の通院費
治療後も定期的に歯科医院を受診して後戻りは起こっていないかなどを確認してもらう必要があります。保定期間中の通院にかかる費用は3,000円〜5,000円程度です。
インビザライン・ファーストとほかの小児矯正の違い
では、インビザライン・ファーストと、ほかの小児矯正とでは何が違うのでしょうか。以下に、インビザライン・ファーストとほかの小児矯正の違いについて解説します。
装置の見た目と装着感
インビザライン・ファーストで使用する装置は透明のため目立ちにくいです。また、マウスピースを装着・交換しながら、少しずつ歯を移動させるため痛みが少なく、滑らかな素材のマウスピースを使用するため装着時の違和感が少ないのも特徴です。
一方で小児矯正の2期治療ではワイヤー矯正が選択されることがあります。ワイヤー矯正の場合は、歯の表面にブラケットを装着し、そこにワイヤーを通して歯並びを整えていきます。
歯の表側にブラケットなどの矯正器具を装着する場合、口をあけたときに目立つことがあります。また、ワイヤーを調整し、力を加えることで歯を動かすため、痛みを感じることもあるでしょう。
食事や歯磨きのしやすさ
インビザライン・ファーストで使用する装置は取り外しができるため、普段通りに食事と歯磨きができます。
一方、小児矯正で使用する装置のなかには固定式のものもあります。固定式の矯正装置の場合は、食事や歯磨きのときに取り外すことができません。そのため、装置の周辺に食べ物が挟まることがあります。
また、矯正器具が邪魔になって歯磨きが難しく、食べかすなどの汚れが溜まった状態が続くと虫歯や歯周病になるリスクが高まるでしょう。
治療の目的
小児矯正の1期治療では、子どもの顎の成長を利用して、歯が並ぶスペースを確保することを目的とした治療が行われます。そのため、1期治療だけでは歯並びが整わず、2期治療に移行するケースもあります。
一方で、インビザライン・ファーストでは、顎の成長をコントロールしながら歯を並べるスペースを確保することと同時に、歯並びも整えることができるのです。
まとめ
インビザライン・ファーストは、6歳から10歳ごろの子どもを対象としたマウスピース型矯正治療です。永久歯が正しく生えるためのスペースを確保し、歯並びや噛み合わせを整えます。
使用する装置は透明で目立ちにくく、取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすい点が特徴です。治療できる症例には、出っ歯や受け口、叢生などがあり、早期に治療を始めることで将来的に矯正治療が必要になった場合の負担を軽減できます。
ただし、装着時間を守る必要がある点や重度の症例には対応できない点はデメリットといえます。お子さまの歯並びがインビザライン・ファーストの適応となるか気になる方は、カウンセリングを受けるとよいでしょう。
小児矯正を検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療など、幅広い診療に力を入れています。