こんにちは!鳥取市東町にある「山根歯科医院」です。
「毎日歯磨きをしているのに虫歯になってしまう」「自分が虫歯で苦労したから、子どもにはむしばになってほしくない」と、思っている保護者の方もいらしゃるのではないでしょうか。大人の歯に比べると、子どもの歯は、虫歯になりやすく進行も早いと言われています。今回は、子どもが虫歯になりやすい理由や虫歯を予防する方法を解説します。子どもの虫歯を予防したい保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.虫歯ができるまで
歯の表面のプラーク(歯垢)の中には、細菌が、存在しています。細菌は、飲食物の中の糖分を摂取 分解して酸を出します。この酸により歯は、溶かされます(脱灰)。食事をすると口の中は、酸性となって歯は溶け出しますが、唾液がその溶けた歯を修復し、再石灰化と呼ばれる状態になります。頻繁な間食は、口の中が酸性になっている時間が長くなり、歯が溶けやすい状態が続きます。脱灰を繰り返し、再石灰化が追いつかなければ、虫歯 へと進行します。

2.子どもの虫歯の特徴
・白っぽい色
虫歯と聞くと、黒くなる状態を思い浮かべるかもしれませんが、 乳歯における初期虫歯は、白く濁るのが特徴です。
・進行に気付きにくい
子どもは、まだ痛みの感覚が発達しておらず、痛みやしみるなど の自覚症状を感じにくく、虫歯が進行してしまうことが多いです。
・虫歯になりやすい場所
※1~2歳では上の前歯
※3~4歳で奥歯が出始めると、咬む面面
※4~5歳以降は、歯と歯の間
※6歳臼歯の咬む面
6歳臼歯は、生え始めに手前の歯より低くなっているので、ハブラシが当たりづらいです。また、咬み合わせの溝が複雑で溝も深くなっているので、 汚れがたまりやすく、かつ汚れを取り除きにくいです。

3.子どもが虫歯になりやすい理由
1.乳歯のエナメル質は薄い
エナメル質とは、歯の表面を覆う硬い層です。 乳歯は永久歯に比べて歯質が弱く、エナメル質の厚さは、約半分です。また、エナメル質の内側にある象牙質も粉程しかないため、虫歯になりやすく進行も早いです。また、生えてきたばかりの永久歯は、幼若(ようじゃく)永久歯といって歯質が、弱く虫歯への抵抗性も弱いです。2~3年かけて成熟し、硬く強い歯になっていきます。
2.間食の回数が多い、ダラダラ食べてしまう
食事や間食をすると、口の中が酸性に傾き、元に戻るのに40分以上 かかるといわれています。1日に頻繁に飲食すると、酸性に傾く時間 が長くなり、歯が溶け出す時間も長くなります。ただ、フッ素を使用することにより、歯が溶け始める酸性度がPH5.5から PH4.5まで、下がるとされているので、脱灰が減り、再石灰化が増えます。

3. 歯磨きが正しくできていない
お子様が自分の力で正しい歯磨きをするのは難しく、磨き 残しが多くなりやすいです。磨き残しを最小限に抑えるため にも、保護者による仕上げ磨きが大切です。お子様だけに任せずに、できれば10歳頃まで継続しましょう。

4.大人から子どもに虫歯菌が感染する
一生の虫歯リスクが2歳半までに決まってしまうことを知っていま すか?生まれたばかりの赤ちゃんには、虫歯菌はいません。歯が、生え始める生後6ヶ月頃から虫歯菌に気をつけなければ なりません。特に1歳半~2歳半くらいが感染のリスクが高 まります。口の中には、たくさんの細菌が生息していますが、虫歯菌が、その中でどのくらいの割合を占めるかは大体2歳半までに決まります。虫歯菌にうつるのが、遅いほど虫歯になりにくいのです。
スウェーデンのイエテボリ大学の研究結果では、
※2歳までに虫歯菌の感染がなかった子ども→4歳の時の虫歯 0.3本
※2歳までに虫歯菌の感染があったなども→4歳の時の虫歯、5本
なんと16倍の差がでたそうです!
箸やスプーンの共有、熱い食べ物 を息で冷ます、などをさけることや、保護者の方の歯科検診や虫歯治療も大切です。
4 子どもの虫歯を予防するには
1.食生活の工夫
間食回数が、多いほど虫歯の数も増えやすいので、頻度を少なく するか、食後にお菓子を食べるようにして、口の中が酸性に傾く時間を短くする。
2.正しい歯磨きを行う
🦷ハブラシは小核みに動かす
カー杯大きな動きで磨くのではなく、歯1~2本分を目安に 小さな動きを意識しましょう。
🦷フロスを使用する
歯と歯の間は、ハブラシが届かない為、持に虫歯になりやすいです。 出来るだけ毎日、1回でもフロスを通すことをおすすめします!
🦷フッ素入りの歯磨き粉又はジェルを使う

歯磨き粉には、研磨剤や発泡剤が含まれており、 ジェルは含まれていないものが多いですが、歯に密着しなく隙間まで届きやすいです。うがいが上手くできない3歳までのお子様にジェルタイプ、 うがいができるようになった3歳頃から歯磨き粉を使う のがおすすめです。フッ素の効果は次の項で説明します。
4.定期的に歯科検診を受ける
(3ヶ月に1回が目安)
🦷専門的なチェックで、虫歯の早期発見につながる
🦷専門的なクリーニングで、セルフケアでは落とせない汚れを除去する
🦷歯磨き指導により正しいセルフケアを習慣化する
🦷フッ素塗布や必要に応じてシーラント(虫歯になりやすい奥歯の溝 にレジンをつめる)の予防処置を受ける

5.フッ素の効果と年齢に合った使用量、濃度
4-1の効果・エナメル質の強化:酸に溶けにくくし、虫歯のリスクを 減らす
🦷歯垢による酸の生成を抑える→虫歯菌の働きを抑える
🦷再石灰化を促す→初期段階の虫歯を修復する
☆歯科医院でのフッ素塗布は、1歳半頃から始めて(乳歯の前歯が、上下4本ずつ生えそろう頃)定期的に行うことが、おすすめです。また、生え始めの永久歯は、フッ素を取り込みやすいので、高い虫歯予防効果があります。

・安全性
フッ素と聞くと「危険じゃないの?」と心配される方も いるかもしれません。歯磨き粉や歯科医院で使われているのは、フッ素と別の物質とがくっついて安定した形の『フッ化物』なので安全性 が高いです。身体に害の悪い食物や薬でも、適正な量を越えれば 身体に何らかの支障をきたす場合があります。フッ素も 同じで一度に過剰は量を摂取してしまうと、嘔吐や 腹痛などを起こす可能性がありますが、正しく使用されていれば問題ありません。
・フッ素の使用量と濃度
2023年1月から歯磨き粉のフッ素濃度の推奨基準が変更されました。
🦷歯が生えてから2歳・・・米粒程度(1~2mm程度)、1000ppmF
🦷3~5歳・・・グリーンピース大程度(5m程度)、1000ppmF
🦷6歳~成人・・・歯ブラシ全体(1.5~2cm程度)、1500ppmF
となっています。
5.まとめ
子どもの歯は虫歯になりやすいうえ、進行が早いことから、気付いた時には、穴があいていたり、大きく進行しているかもしれません。
食生活の見直しやフッ素の活用、小さいお子様には保護者の方が、注意深く見てあけるなどして、虫歯を予防していきましょう。何も症状がなくても、定期的に歯科検診を受けてより健康的な歯を保っていきましょう。

当院では、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療など、幅広い診療に力を入れています。