こんにちは。鳥取市東町にある「山根歯科医院」です。
歯の着色や、歯の色が気になって、来院される患者様がいらっしゃいます。私たちの日常生活において、避けることは、難しいことだと思います。ある患者様から、「毎日歯磨きをしているのに、どうして歯が着色するのですか」と質問されました。本日は、歯の着色の原因と予防法についてお話します。

歯の着色には、さまざまな原因が考えられます。大きく分けて、外因性と内因性の2つに分けられます。それぞれ、詳しく説明したいと思います。
目次
外因性の着色
◎飲食物やタバコによる
外因性の着色とは、外部からのの影響による着色で、主に食べ物や飲み物、タバコなどが原因です。着色しやすい食べ物としては、コーヒー・紅茶、赤ワイン・カレー・チョコレートなどがあげられます。これらの飲食物には、歯に付着しやすい色素が含まれています。これらの色素が、歯の表面に付着し、長時間が経過すると、歯が黄ばんだり、茶色になったりしてきます。また、タバコには、ニコチンやタールが含有しています。このニコチンやタールが歯の表面に付着すると、歯の着色が起こってきます。

◎正しい歯磨きができていない
毎食後の歯磨きをしっかりとしていないと、口の中の歯垢(プラーク)や、着色・汚れが残るため、歯が着色してしまします。また、細菌の塊であるプラークは、口の中に残ってしまうと、時間の経過で硬くなり、歯石に変わっていきます。また、口の中の虫歯菌は、糖分をエサにして酸を作り出し、プラークが付着している歯の表面を溶かすので、色素が着きやすくなります。

内因性の着色
◎加齢によるもの
加齢によって、歯の摩耗や、細かなヒビがが増え、そのヒビの部分から、着色の原因となる色素が入り込んで、歯の色が変わることがあります。また、歯ぎしりや食いしばりをしている方は、歯が摩耗して歯の表面の色が、黄ばんでいる方もいらっしゃます。これは、歯の表面のエナメル質が、歯の摩耗により薄くなり、エナメル質の内部にある象牙質が、透けて見えることで、歯の色が黄ばんで見えます。

◎抗生物質(テトラサイクリン)の影響
テトラサイクリンは、昭和の時代に、小児科などで処方されていた抗生物質です。この、テトラサイクリン系の抗生物質を妊娠中や幼少期」に摂取すると、歯が灰色に変色してしまいます。テトラサイクリンで変色した歯は、第1度~第4度までの、4つに分けられます。第1度は軽度な変色で、第4度に上がるにつれて、変色の度合いが強くなってきます。近年では、妊娠中や授乳中、8歳ころまでの小児に対しては、テトラサイクリン系の抗生物質は、避けるべきとされています。
◎失活歯
むし歯や歯周病などで、神経が炎症を起こすと、根管治療を行うことになります。患者様から「神経の治療をすると、歯の色が変色してしまうのは、なぜですか。」と質問されることがあります。少し、それについてお答えします。根管治療を行った際、血液の成分が毛細血管に入り込み、その成分が変性し、歯の色が、黒ずんでいきます。もちろん、根管治療を行っていなくても、神経が死んでしまった時にも、歯の色は変色します。それは、歯の神経が、ボロボロになったもので、血液中の鉄分が、毛細血管に入り込むためです。歯の色が黒ずんできたら、歯の神経が腐ってしまった、あるいは、失活歯の可能性が高いと考えられます。
着色の予防法
着色の予防法としては、まず、第一に日常的に行われるブラッシングだと思います。
◎歯磨き
歯磨きは、歯の着色の予防としては、最も大切な方法です。歯の表面に付着したプラークを、しっかり除去することで、歯の白さを保つことができます。例えば、飲食物などの色素が、歯に定着する前に、正しい歯磨きをすることで、除去することができます。ただし、歯を磨く時は、注意するポイントがいくつかあります。

・ゴシゴシ 磨かない
歯の汚れを除去しようと、「強い力でゴシゴシと歯を磨く」 これは、逆に歯の着色の原因となってしまいます。強い力で歯を磨と、歯の表面に傷がついてしまいます。その傷から、歯の着色の原因となる色素が入り込む可能性があるからです。歯磨きをする時は、歯の表面を傷つけないように、優しく磨く必要があります。
・1本ずつ丁寧に磨く
患者様の中には、なんとなく、歯を磨いている方がいらっしゃいます。しかし、口の中をチェックすると、プラークや汚れが残っていることがあります。なんとなく磨いている人は、歯ブラシの毛先が当たっている部分は、磨けているのですが、当たっていない部分が出てきます。歯を磨く時は、1本ずつ丁寧に磨くようにしてください。
・着色を除去する効果のある歯磨き粉を使用する
歯磨き粉には、着色を除去するのに有効な成分が、含まれているものがあります。その有効な成分として代表的なものとして、ピロリン酸ナトリウム 、ポリリン酸ナトリウム 、ハイドロキシアパタイトです。 歯の着色が気になる方は、ピロリン酸ナトリウム 、ポリリン酸ナトリウム 、ハイドロキシアパタイト を含有する、歯磨き粉の使用をおすすめします。

食事習慣の改善
歯の着色を防ぐには 食生活の工夫はとても重要です。
・着色しやすい飲食物の摂取を減らす
歯に着色しやすい飲食 飲食物としては、コーヒー、紅茶、カレー 、赤ワインなどがあげられます。これらの飲食物を摂取した場合は、すぐに口をゆすぐか、歯磨きを行うことで、歯の着色を防ぐことができます。

・よく噛んで食べる
よく噛んで食べると、唾液が多く分泌されます。唾液には、自浄作用があるので、食後に歯の表面についたプラークを洗い流してくれます。早食いを避けて、よく噛んで食事するようにしてください。
・着色しやすい飲料水は、ストローを使う
アイスティーや アイスコーヒーなど、着色しやすい飲み物は、ストローを使用することをおすすめします。ホットドリンクでは、使用することはできませんが、ストローを使用すると直接的に歯に着色する色素が触れにくいので、歯の着色予防には効果的です。
・食後に水を飲む
食後に水を飲むことも、歯の着色の予防には、効果的です。 食事中に、付着したプラークは、水を飲むことによって、洗い流すことができます。特に、カレーなどを食べた後は、水で口をゆすぐこと、水を飲むことを習慣にするようおすすめします。

生活習慣の改善
◎口呼吸をしない
口呼吸をする人は、口の中が、乾燥状態になります。口の中が、乾燥状態になると歯が、着色しやすい状態になります。できるだけ、鼻呼吸を意識し水分補給は、まめにして口の中が、乾燥状態にならないように心がけてください。
・タバコやアルコールを控える
タバコは、歯に悪影響を及ぼすだけでなく、着色を起こす原因になります。タバコには、ニコチンやタールが、含まれておりこれらは、歯に色素として、付着し着色してしまいます。また、アルコールは、利尿作用があるため体内の水分量が、減少し口の中が、乾燥状態になってしまいます。アルコールの過剰摂取は、極力控えることが望ましいです。

・ストレスを感じない生活習慣
ストレスは、歯の健康にも悪影響を及ぼしてしまいます。ストレスを感じると、自律神経のバランスが崩れて唾液の分泌量が減少し、虫歯や歯周病になるリスクが高まります。また、口の中が、乾燥状態になりやすく、歯の着色のリスクが高くなります。ストレスは、食いしばりや 歯ぎしりの原因となり、歯が摩耗し、歯の表面が傷つき、色素がつきやすくなります。しっかり睡眠時間を取り、適度な運動をしながら規則正しい生活をしていただくことが大切です。
歯科医院出て定期的な クリーニング
歯の着色を防ぐには、歯科医院での定期的な クリーニングは、欠かすことができません。歯の着色を落とすクリーニングとしては PMTCと呼ばれる処置です。PMTCとは、専用の器具や薬剤を使用し、歯の表面を研磨しながら、歯垢やステインを除去する歯面清掃のことを言います。歯の表面に付着したステインは、通常の歯磨きでは、除去することは困難です。当院では、3ヶ月に1度の定期的な クリーニングをする際には、PMTCも行うようにしています。

まとめ
歯の着色を防ぐには、日常の歯磨きや、食生活習慣に気をつけなければなりません。また、歯科医院での定期的なクリーニングも必要です。歯の着色の予防といえば、審美的に改善することが真っ先に頭に浮かぶのではないでしょうか。しかし、歯の着色の予防は、見た目の美しさだけでなく、むし歯や歯周病の予防にもつながります。日々の口腔ケアをしっかりと行い、長期的に美しい歯を保ち、そして口腔内の健康を維持していただきたいと思います。

当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療、ホワイトニングなど、幅広い診療に力を入れています。