こんにちは。鳥取市東町にある山根歯科医院です。
口を開けにくいとか開けようとすると、強い痛みを感じる多くの場合、顎関節症と呼ばれる疾患になっている可能性が高いです。この顎関節症は、顎の関節や筋肉に炎症が起こると現れる疾患で、多くの人が経験する可能性がある疾患です。顎関節症になると、日常生活に大きな影響を及ぼしてしまいます。

例えば、食事をすることが困難になったり、人との会話も困難になったり、睡眠の質の低下など、たくさんの生活習慣に悪影響を及ぼすことになります。
顎関節症の症状
・開口障害
顎関節症の最も一般的な症状として、開口障害があげられます。開口障害は口が大きく開けられないことですが、正常な場合は、指3本(約4cm)程度開けることができます。顎関節症の場合、指2本(約2cm)以下しか口を開けることができません。口を大きく開けた時に、耳の前で「カリッ」とか「ジャリジャリ」と音がします。

・顎関節の痛み
顎関節症の痛みは、顎関節の痛み、頬、耳前の筋肉痛の痛みが現れてきます。さらに、めまい、頭痛、耳鳴り、肩こりといった、顎関節とは、全く関係のないところにも症状が出ることがあります。
原因
・TCH(Tooth contacting habit)
日中に無意識に行われる上下歯を接触させる週間のことをTHCと呼びます。上下歯の接触といえば、まず「食いしばり」「歯ぎしり」といったことを思い浮かべるのではないでしょうか。もちろん食いしばりや歯ぎしりのように「グッ」と強い力で上下の歯が接触する場合も問題になります。ただ、弱い力でも長時間持続的に上下の歯が接触していれば、口を閉じる筋肉に力が働いて、筋肉疲労してくるため、顎関節の痛みが出てきやすくなります。上下の歯が接触する時間は、会話や食事をする際を含めて、1日20分程度が正常だといわれています。この時間を超えるとTCHがあると考えられます。THCがあるからと言って、必ず不快症状が出るわけではありません。加齢とともに痛みが出る可能性がありますので、歯科医院でチェックしてもらって下さい。TCHの原因は、ストレスが大きく関わっています。日頃からストレスをため込まず、発散させることが大切です。

・歯並びの悪さや嚙み合わせの異常
歯並びが悪いことにより、上下顎の歯が上手にかみ合わせできていない場合は、左右のどちら一方で噛む癖がついたり、前歯が全くかみ合っていない場合、奥歯だけでかむ癖がついてしまったりすると、顎の筋肉に負担がかかってしまうか多いです。
・歯ぎしりや食いしばり
食いしばり、歯ぎしりによって、顎関節や咀嚼筋に過度な力が加わり、顎の痛み、口が開けにくい、顎関節から「ガリッ」と音がするといった症状が現れてきます。また、睡眠中の歯ぎしりは、日中の3~5倍の力が加わるといわれています。歯ぎしりを早めに治療するようにしましょう。

・ストレスや精神的緊張
ストレスや精神的緊張により、顎周りの筋肉を緊張させ、かみ合わせがアンバランスになり、無理な力が顎関節にかかり顎関節症を引き起こすことになります。
顎関節症で急に痛くなった時の対処法
・安静にすること
顎関節で急に強い痛みが出た場合は、まず、安静にすることが大切です。無理に口を開けようとしたり、硬い食べ物をカチカチと噛もうとすると、症状を悪化させる原因となります。
・患部を冷やす
顎関節の炎症が強く、痛みを伴う場合は、冷やすことで炎症を鎮めることができます。ただし、氷や保冷剤を直接あてると凍傷の原因となってしまします。濡らしたタオルを軽く絞って患部に当てるのが良いと思います。また、ずっと冷やすのではなく、15分程度冷やしたら、15分程度様子を見て、再度冷却するといったサイクルを繰り返すことが望ましいです。
・症が落ち着いたら温める
炎症が落ち着いた後は、温熱療法も効果的です。温めることで筋肉の緊張を和らげることができます。温かいタオルや温湿布で顎後の周りを温めてください。顎関節の周辺の筋肉を温めることで血行を促進し、筋肉の緊張を緩和することができます。温める時間は、15分程度が良いかと思います。
・薬物療法
痛みが強い場合は、抗生剤や鎮痛剤の服用をお勧めしています。薬物療法によって炎症を抑制し、痛みを軽減する効果が期待できます。ただし、胃腸障害、アレルギーなど副作用のリスクがあります。薬物を服用する場合は、用法や用量を守って使用してください。また、アレルギーの既往歴がある人は、必ず医師と相談してから服用してください。
・食事は柔らかいものを摂る
顎が痛いときは、なるべく硬い食べ物や歯ごたえのある食べ物は、なるべく避けるようにしてください。硬い食べ物を食べると、顎に負担がかかって痛みが強くなることがあります。食事は柔らかいものを摂取するように心がけてください。
例えば、うどん、そば、スープ、豆腐料理などが挙げられます。ただ、柔らかい食べ物ばかり食べると栄養が偏ってしまいますので、早めに歯科医院を受診してください。
・ストレスの改善
顎関節症の原因の一つにストレスが挙げられます。ストレスがかかると顎の周りの筋肉(咀嚼筋)の緊張が高くなります。十分な睡眠、規則正しい生活などを心掛けて、身体の回復を高め、緊張を和らげるようにしてください。

歯科医院での治療法
・ナイトガードの作製
顎関節症の原因として、歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖があります。この悪習癖の改善において、とても重要な治療法として、ナイトガード(マウスピース)の作製があります。ナイトガードは、歯や顎関節を保護し、咀嚼筋の緊張を緩和することができます。

・マッサージ
顎関節症のマッサージは、咬筋マッサージ、側頭筋マッサージの2種類があります。マッサージの目的は、血流を改善し、筋肉の血行を良くする、筋肉の緊張を和らげることで痛みの軽減が期待できる、顎の動きをスムーズにすることができます。マッサージは、筋肉が温まっているお風呂上がりに行うと効果的です。ただし、痛みが強い場合は、マッサージによって悪影響を及ぼすことがあります。マッサージする時は、必ず歯科医師の指導の下で行うようにしてください。

最近の顎関節症が増えている原因
最近では、スマホの使用が進んでいますが、このスマホの使用が顎関節症につながることが言われています。スマホを使用する時は、無意識のうちに前傾姿勢になり、顎の位置が前方にずれてしまうことが多いです。そうなると、上下の歯が接触しやすくなり、顎関節に負担がかかることになります。このことが、スマホ顎関節症を引き起こすことがあります。言い換えればスマホを使用することにより、顎関節の原因であるTCHになるリスクが高くなるということです。
対処法としては、スマホ使用時間を短くすることか、スマホ使用時間は背筋を伸ばして画面を目線の高さに合わせて使用するようにしてください。スマホを長時間使用後は、顔の周りのマッサージを行うことをお勧めします。

まとめ
口が開かない・痛みがあるといった症状が出た場合は、適切な対応が求められます。初期対応では、生活習慣、食生活の改善、ストレス解消、顎のマッサージなどを行う必要があります。必要に応じて歯科医院で治療が必要です。顎関節は慢性化しやすい疾患であるため、長期的に管理が必要です。また、症状は良くなったとしても、顎関節症の予防を頭に入れておかなければなりません。
生活習慣の改善・ストレスを管理し、適度な運動を取り入れること、定期的な歯科検診など、心掛けることも重要です。顎関節症になるリスクを減らし、いつまでも健康な口腔内を維持していただきたいと思います。

何か気になる症状がある方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療、医療ホワイトニングなど、幅広い診療に力を入れています。