こんにちは。鳥取市東町にある「山根歯科医院」です。
皆さんは、歯科医院に行かれると「口の中に歯垢や歯石がついていますね 。しっかりと歯磨きをして歯垢や歯石を除去しましょう。」と言われた経験はありませんか?

患者様に歯石や歯垢について聞いてみると、歯石と歯垢を正確に理解している人が少なく、中には同じようなものと考えている方もいらっしゃいます。歯石や歯垢は口の中の健康には悪影響を及ぼすことはありますが、成分、形成過程、除去の方法なども大きな違いがあります。
目次
歯垢(プラーク)の成分
歯垢は、別名プラークとも呼ばれています。歯垢は歯の表面に付着する柔らかい粘着性の細菌の塊です。成分としては、食物残渣+細菌+細胞の残骸+唾液由来のタンパク質などが主成分です。

歯垢(プラーク)の形成過程
食べ物の残りや唾液成分に細菌が付着することによって、歯垢が形成されます。形成は、数時間で始まり、24~48時間で成熟した状態になります。これが、歯周病や虫歯の原因となる細菌の温床となります。私はよく、「細菌のマンション 」という表現を使います。細菌にとって非常に居心地が良い場所になります。1日歯を磨かないと歯の表面がぬるぬるするのは、歯垢が歯を覆っていることが原因です。初め、見た目は白色をしていますが 時間が経つと だんだん黄白色に変わり、付着範囲も大きくなっていきます。この歯垢は、水や洗口剤でうがいをしても、なかなか除去することは困難です。歯垢を除去するには、適切な歯磨きが必要となってきます。また、歯垢は付着場所によって「歯肉縁上プラーク」と「歯肉縁下プラーク」とに分けられます。


歯肉縁上プラーク
歯肉縁上プラークとは、歯茎より上に付着した歯垢のことです。歯と歯茎の境目あたりに付着することが多いので、鏡で見ると気づくこともあると思います。歯と歯茎の境目などにたまったプラークは、歯周病や虫歯の原因となります。
歯肉縁下プラーク
歯肉縁下プラークとは、歯茎より下に付着したプラークのことです。歯周ポケットの内部に付着しているため、鏡で見ても目視することは難しいです。歯肉縁下プラークは、歯周病が進行してできる歯周ポケットの内部に付着するため、このプラークは歯周病の進行に大きな関係があります。また、歯肉縁下 プラークが長期間 残っていると、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶けて、歯が動揺し場合によっては、歯が抜けてしまう原因になります。


バイオフィルムと歯垢(プラーク)
以前は、歯垢のことをプラークと呼んでいました。ただ、最近では、歯垢とバイオフィルムは同じものと考えられています。バイオフィルムは微生物が集合してできたヌルヌルとした膜のことです。歯に付着する歯垢(プラーク)がこれにあたります。

歯肉縁上プラークの除去
歯肉縁上プラークの除去には、毎日の適切な歯磨き、歯間ブラシやデンタルフロスなど歯間清掃補助器具の使用が大切です。それに加えて定期的に歯科医院を受診し、スケーリング や PMTCを行っていただくことが重要です。

歯肉縁下プラークの除去
歯肉縁下プラークの除去においては、毎日の口腔ケアだけでは限界があり、完全に除去することは困難です。歯肉縁下プラークの除去においては、歯科医院での専門的な治療が不可欠になってきます。歯科医院での主な治療法としては以下のことがあげられます。


スケーリング(歯石除去)
超音波スケーラーを使用し、歯肉縁下の歯垢(プラーク)をしっかりと除去していきます。

歯石について
歯石は、歯垢(プラーク)が石灰化して硬くなったものを言います。歯石は、歯垢の中の最近の代謝産物で唾液中のカルシウムやリン酸が結合することによって形成されます。
歯石ができる過程
歯石の形成には、時間がかかります。歯垢は、一般的に24時間~72時間ぐらいで石灰化が始まるとされています。石灰化が進むと、柔らかい状態から硬い歯石になっていきます。一般的には 、プラーク形成から歯石に変化するまでには、2日~14日程度かかると言われています。歯石ができると歯磨きでは除去が困難になり、歯科医院での専用器具(スケーラー)で除去しなければなりません。
歯石の成分
歯石には、有機成分と無機成分の2つからできています。
有機成分
細菌の残骸 、バイオフィルムのマトリクス、唾液タンパク質などがあげられます。
無機成分
カルシウムとリン酸が結晶化してできた沈着物などが主成分です。歯石の付着部位における分類では、歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石の2種類があります。
スケーリング(歯石除去)
超音波スケーラーを使用し、歯肉縁下の歯垢(プラーク)をしっかりと除去していきます。
歯肉縁上歯石
歯肉縁上歯石とは、歯茎の上にある歯石のことです。歯肉縁上歯石の特徴は、白っぽい色または、黄白色をしています。また 歯肉縁下歯石に比べて 柔らかく形成されるのが早いことが特徴です。
歯肉縁下歯石
歯肉縁下歯石は、歯と歯茎の間の溝の中にでき、黒褐色をしています。 血液成分などともも結合しているため歯肉縁上歯石に比べて硬く除去しにくいのが特徴です。歯石は、一度形成されると日常 歯磨きでは除去することは困難です。歯科医院で専門的な クリーニングが必要となってきます。

口の中の健康への影響
歯垢(プラーク)は、虫歯や歯周病の直接的な原因となります。歯垢(プラーク)内にある細菌が酸を産生することにより虫歯が発生したり、歯の周りの歯肉組織に炎症を起こし、歯周病を引き起こすことになります。

それに対して歯石の場合は、生きた細菌を含まないため、直接的な病原性は低いとされています。ただ、歯石の表面は粗造なので、新しい歯垢が付着しやすく、虫歯や歯周病になるリスクが向上します。つまり、歯石の存在は歯垢(プラーク)が付着しやすくなり、結果として歯周病の進行が促進されることになるわけです。
まとめ
歯垢(プラーク)と歯石では、どちらもお口の中の健康に悪影響を及ぼす原因となります。その成分や性質、治療法においては、大きな違いがあります。歯垢(プラーク)は、毎日の適切なケアで除去することが可能ですが、歯石は歯科医院での専門的なケア(スケーリングなど)が必要となってきます。当院では、口腔内のケアや虫歯・歯周病予防などにおいて、日常の適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケア(スケーリング やPMTC )の2つの仕組み 組み合わせにより、お口の中の健康を維持することが可能になると考えています。この2つの取り組みを継続的に行い、長期的に口腔内の健康を維持していただきたいと思います。

お口の中の健康を維持のためにも、気になる点がございましたら、鳥取市東町にある山根歯科医院にご相談ください。
当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療など、幅広い診療に力を入れています。



