こんにちは。鳥取市東町にある山根歯科医院です。
本日は、よくご質問を受ける入れ歯安定剤について様々な観点からご説明したいと思います。

目次
入れ歯安定剤の「2つのメリット」
1.痛みの改善
入れ歯安定剤は、入れ歯の内面に塗布することで、入れ歯の硬い部分が歯ぐきに直接当たらないようにできます。このため、痛みを和らげる効果があります。
入れ歯安定剤には、以下の種類があります。
・クリームタイプ
・粉状タイプ
・シートタイプ
クリームタイプの安定剤はクッション性が高く、痛みを感じにくい傾向があります。

2.入れ歯が外れにくくなって会話がしやすい
入れ歯の内面が歯ぐきにピッタリと合っておらず過度な隙間が生じている状態では、空気が入りやすくなり外れやすくなります。入れ歯安定剤を使うと、入れ歯の内面と歯ぐきの隙間がなくなり、ピッタリとくっつくようになるため、空気が入りにくくなり、会話中に外れえてしまう心配がなくなります。粘着力が強く、入れ歯が外れにくい製品には、クリームタイプの安定剤が多いです。
入れ歯安定剤の「4つのデメリット」
1.入れ歯の手入れがしにくい
粘着性が強いタイプの安定剤は、入れ歯の内面に残りやすく、また、こびりつくことがあります。入れ歯の内面に塗った安定剤が取りきれず、不衛生になりやすくなります。安定剤が残ったまま新たな安定剤を付けてしまうと、入れ歯の内面と歯ぐきの形が合いにくくなり、食事の際、かめないと感じる可能性が高まります。

2.菌が繁殖する
入れ歯安定剤には、口の中の水分を吸収して歯ぐきに密着するタイプがあります。水分を吸収するタイプの安定剤は、ほかの安定剤よりも口の中の水分を奪いやすく、口の中の渇きを感じやすくなるほか、ドライマウスを引き起こすことがあります。
ドライマウスとは、唾液の分泌量が減少し、口の中が乾燥した状態のことです。唾液には、抗菌作用、免疫作用、希釈・洗浄作用など、様々な効果があります。唾液の分泌量が減少すると、この効果も薄れてしまいます。口の中の乾燥状態やドライマウスが長く続くと、口の中の細菌が増殖しやすく、歯周病や誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。

<誤嚥性肺炎について>
口の中に入れた食べ物は、食道を通り胃に運ばれるのが、通常の流れです。高齢になるにつれ、唾液の分泌量だけではなく、食べ物を飲み込む「嚥下(えんげ)機能」が弱っていることがあります。
食べ物が口の中に入ると、食べ物をかみ砕きながら、唾液と混ざり合い、飲み込みやすくする形(食塊:しょっかい)を作ります。
食塊形成が上手くできず、また、嚥下機能が低下していると、食塊や水分を食道へうまく送ることができません(不顕性誤嚥:ふけんせいごえん)。肺や気管支の方へ食べ物や細菌が誤って流入(誤嚥)してしまった結果、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

3.適切な噛み合わせにならない
入れ歯は、噛み合わせのバランスを考慮した設計となっています。入れ歯安定剤が適切に使用されていない場合、噛み合わせのバランスが崩れてしまう可能性があります。噛み合わせの位置が変わってしまうと、入れ歯を支えている歯や歯ぐきなどに負担がかかりすぎ、ダメージを与えてしまっているということがあります。
顎の骨の吸収
例えば、総入れ歯の場合、安定剤を痛みのある部分だけに付けたとします。痛みのある部分にだけ安定剤をつけると、その部分だけ厚みが出てしまうため、今までの噛み合わせと位置が変わり、ズレた位置で噛むことになるのです。
ズレた位置で噛むことが癖になると、一部分だけに噛む力が集中するようになり、入れ歯を支えている歯ぐきに過度な力がかかるようになります。歯ぐきの下には顎の骨があり、継続的に過度な力がかかると、骨の細胞が破壊され、吸収してなくなってしまいます。
骨が吸収されると同時に歯ぐきの位置も変わり、へこんだような形になります。見た目が悪くなることもあります。部分入れ歯の場合、残っている歯にバネをかけることで入れ歯を支えます。安定剤がバネの部分に入ると上手く装着できず、使えなくなってしまうことがあります。

顎関節症の原因になる
安定剤の継続使用による噛み合わせのズレは、顎関節症を引き起こす原因になることもあります。顎関節症とは、耳の横あたりにある関節や筋肉などに負担がかかることで、口が開けにくくなったり、痛みが出たりする症状のことです。
噛み合わせのバランスがズレた状態で負荷がかかると、耳の横あたりにある下顎を支えている関節や周辺の筋肉などが緊張した状態になり、上手く機能しなくなります。
特にクッション性の高い入れ歯安定剤を使用すると、入れ歯を作ったときの噛み合わせから変わりやすく、バランスが崩れ、どこかに負担が大きくかかるようになるのです。

4.入れ歯安定剤に依存するようになる
入れ歯安定剤を使用したら痛みが消えた、入れ歯が外れにくくなったという経験は、今まで悩まされていた症状から解放されるため、手放せないアイテムと感じます。
「入れ歯安定剤のない状態では、また痛い思いをしそう…」
「会話をしているときに外れるのが嫌だ」など、
不便な状態になるのが怖いため、このようなトラブルが起きる前から安定剤を使用するようになります。そして、一時的な使用ではなく、継続して安定剤を使用し、手放せなくなります。この結果、噛み合わせが安定しないといった口の中の変化が生じ、通院回数が増えたり、入れ歯を何回も作り直したりするといった原因になるのです。
入れ歯に安定剤は必要ない?
入れ歯が完成するまでの工程が精密であるほど、自分にあったオーダーメイドの入れ歯になり、歯ぐきに馴染みやすくなります。
口の状態にピッタリの入れ歯を作ることができれば、安定剤を使用する必要はありません。
ただし、どんなにぴったりな入れ歯が出来上がっても、これまで使用していた入れ歯との質感の違いに慣れる、口の中になじむといった時間は必要ですし、数回の調整は必要です。
入れ歯安定剤は、使えば使うほど、むしろ安定しないガタガタの入れ歯に変えてしまう恐れがあります。ガタガタになった入れ歯を使い続けると、骨や歯ぐきがどんどん痩せ、痩せていないときよりも安定した入れ歯を作るのは、難易度が高くなります。それこそ、安定剤に頼らないと入れ歯が使えないような口の状態になるのです。

まとめ
入れ歯安定剤を使う前に歯科医院へ
お盆やお正月休みといった長期の休診で受診することができない、歯科医院の予約がなかなか取れない、行く都合がなかなかつくれないといった場合、一時的な対処法として、入れ歯安定剤を使うことはやむをえないでしょう。
長期間の入れ歯安定剤の使用は、入れ歯の内面にくっついて外れにくくなることで不衛生になる、噛み合わせがガタついた入れ歯となるほか、歯ぐきや顎の骨にダメージを与えてしまう可能性があります。
本来、入れ歯安定剤は必要ありません。口の状態に合った入れ歯を使うことが前提だからです。入れ歯安定剤を使う前に1度、かかりつけの歯科医院で入れ歯の状態を診てもらうのがオススメです。
入れ歯を作ってから期間が経っているのにもかかわらず、痛みや外れやすい状態が続く場合にも、1度歯科医院で相談しましょう。

入れ歯安定剤の使いすぎにより歯ぐきや骨が痩せた状態では、口の中にピッタリ合う入れ歯を作るのは難易度が高くなります。このような状態になる前に、入れ歯が全く合わないと思ったら、なるべく早めに入れ歯の相談をすると良いでしょう。
当院は、痛みに配慮した優しい治療を心がけて診療を行っています。むし歯・歯周病治療だけでなく、矯正治療や小児歯科、インプラント治療、医療ホワイトニングなど、幅広い診療に力を入れています。

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