こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。
インプラントとブリッジは歯を補う治療法ですが、メリットやデメリット、治療内容が大きく異なります。治療法を選択する場合は、それぞれの特徴をしっかり理解することが重要です。
今回は、インプラントとブリッジの治療法や費用などの違いを徹底比較します。
インプラントとは?
インプラントとは、人工の歯根を顎の骨に直接埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療法です。主に欠損した歯の補充に用いられ、自然な噛み心地や見た目を実現します。
治療内容は、まず麻酔を行い、歯茎を切開します。インプラントを埋め込む適切な位置と角度を決定したら、顎の骨に穴を開けるのが次の手順です。開けた穴にチタンなどで作られた人工の歯根(インプラント体)を埋め込みます。インプラント体と人工歯をつなぐアバットメントを取り付けたら、その上に人工歯(被せ物)を取り付けて完成です。
ただし、インプラント体が骨と結合するまでの間(約3か月)は、一時的な被せ物(仮歯)を使用し、結合を確認できたら最終的な被せ物を取り付けます。
インプラントの大きなメリットは、周囲の健康な歯を削る必要がなく、自然な見た目と機能を実現できることです。また、ほかの歯に負担をかけることなく、食事や話すといった日常生活を快適に過ごすことができるでしょう。
しかし、治療費は高額で、手術と骨との結合期間を必要とするため、治療期間が長くなることがあります。さらに、全身の健康状態や口腔内の骨の状態によっては、インプラント治療が適用できない場合もあります。
ブリッジとは?
ブリッジは、欠損した歯の両隣の健康な歯を土台とし、その間に人工歯を連結させることで、自然な噛み心地や見た目を実現します。治療のプロセスは、以下のとおりです。
まず麻酔を行い、土台となる歯を削って形を整えます。このとき、土台となる歯を削らなければなりません。次に、削った歯の形状に合わせて、ブリッジを製作します。製作が完了したら、土台となる歯にブリッジをセメントで固定します。
ブリッジ治療のメリットは、治療期間が比較的短く、欠損部をきちんと補うことで噛み合わせを整えることができる点です。また、ブリッジは固定式のため、外れる心配がなく、自然な使用感を得ることができるでしょう。
ただし、ブリッジ治療にはデメリットもあります。健康な歯を削る必要があり、土台となる歯が虫歯の場合、痛みや知覚過敏を引き起こす可能性があります。また、ブリッジで補った部分の噛む力は、土台となる歯が負担するため、土台の歯に余計な負担がかかることもあるでしょう。
インプラントとブリッジの違いとは?
インプラントとブリッジは歯を補う治療法ですが、特徴が大きく異なります。インプラントとブリッジの特徴の違いは、以下のとおりです。
<インプラントとブリッジの特徴の違い>
項目 | インプラント | ブリッジ |
---|---|---|
歯を削るか どうか |
削る必要はない | 前後の歯を削る必要がある |
適用条件 | 骨の厚み・高さ、神経や血管の位置に影響を受ける | 欠損部分の前後に歯があれば適用可能である |
外科手術 | 外科手術が必要である
全身疾患があると治療できない場合がある |
外科手術は必要ない
全身状態から制約を受けない |
リスク | 手術中のトラブルやインプラント周囲炎などのリスクがある | 土台の歯が虫歯や歯周病になるリスクがある |
最大咬合力、 噛み砕く能力 |
最大咬合力は天然歯と同じか、それ以上である
※咀嚼能率は約80% |
最大咬合力は天然歯とほぼ同じである
※咀嚼能率は約60% |
噛む力の負担 | ほかの歯に負担が及ばない | 土台の歯に余計な負担がかかる |
違和感・使用感 | 入れ歯のような違和感なし | 入れ歯のような違和感なし |
審美性 | 被せ物の種類による | 被せ物の種類による |
平均寿命 | 10年生存率は90%以上 | 10年生存率は50~70% |
メンテナンス 方法 |
定期的なクリーニングが必要である | 定期的なクリーニングが必要である |
費用 | 保険適用外のため高額である | 保険適用内と適用外の選択が可能である |
治療期間 | 約6か月以上必要(最短で約3か月)である
骨造成を行う場合はさらに長くなる |
約2~4週間で治療が完了する |
インプラントがむいている方
ここまで、インプラントとブリッジの違いについて解説しました。
次に、インプラントがむいているのはどのような方なのかご紹介します。インプラントがむいている方は、以下のとおりです。
ほかの歯を削りたくない方
インプラント治療は、ほかの歯を極力傷つけない治療法のため、ご自身の歯を大切にしたい方に最適です。ブリッジ治療では、失われた歯の両隣の健康な歯を削ってブリッジを支える役割をさせる必要があります。
しかし、歯を削ると削った歯の強度が劣り、長期的に見ると削った歯に対する負担が増大し、削った歯自体が再治療を必要とする可能性がでてきます。
一方、インプラント治療は基本的に歯を削る必要がなく、顎の骨に直接インプラント体を埋め込むため、残った健康な歯を傷つけることなく治療を行うことが可能です。
見た目や機能性を重視したい方
インプラントは見た目や機能性に優れた治療法であり、審美性を重視する方や頻繁に歯を使う必要がある方に特に推奨されます。
インプラントは天然歯に非常に近い形状をもつため、見た目が自然で美しく、ほかの方が見ても人工の歯だと気づくことはほとんどありません。そのため、見た目が重要な業種に従事している方にとっては大きなメリットとなります。
さらに、スポーツ選手のように歯を食いしばる動作が多い方にとっても、インプラントは強度と安定性があるため理想的な治療法といえるでしょう。
また、発音に影響を与える可能性のある入れ歯や歯がない状態とは異なり、インプラントは天然歯とほぼ同等の発音を可能にします。職業上、発音が重要な方にとっても、インプラントはよい選択となるでしょう。
天然歯のような噛み心地を求める方
顎の骨と直接結合するインプラントは、自然な歯と同じように噛む力を実現できます。食感や味を損なうことなく、天然歯に近い感覚で食事を楽しむことが可能です。
一方、入れ歯やブリッジでは、噛む力が顎骨に直接伝わるわけではないため、噛み心地に違和感がある方も少なくありません。
自然な噛み心地を求めている方は、インプラント治療がむいています。
ブリッジがむいている方
次に、ブリッジがむいているのはどのような方なのかご紹介します。ブリッジがむいている方は、以下のとおりです。
費用をおさえたい方
費用をおさえたいと考えている方に対しては、ブリッジがむいています。
ブリッジは保険適用の対象となり、治療費は約2万円程度におさえることが可能です。インプラント治療は保険適用外で、1本あたり約30~40万円の費用がかかることを考えると、大きな金額の差がでます。
つまり、ブリッジ治療はインプラント治療に比べてかなりリーズナブルであり、費用をおさえたいというニーズに対応しています。
ただし、ブリッジ治療では、欠損部分を埋めるために隣接する健康な歯を削る必要があります。削られた歯の強度が低下する可能性があり、将来的に別の治療が必要な場合があります。
治療期間を短くしたい方
ブリッジ治療は基本的に手術が必要ないため、一般的なケースであれば約3~4週間で治療が完了します。抜歯を伴う場合でも、治癒期間を含めて約1か月で治療を終えることが可能です。
一方、インプラント治療は手術や骨組織への結合期間を必要とするため、治療期間は平均的に6か月以上かかります。そのため、時間的な制約がある場合や早く欠損部分を補いたいと考えている方にとっては、ブリッジが適した選択となるでしょう。
外科手術ができない方
インプラント治療は、顎の骨にインプラント体を埋め込むための外科手術が必要ですが、外科手術が困難なケースも存在します。たとえば、外科手術が怖くて受けたくない方、全身疾患や持病があるため外科手術が困難な方、特定の薬を服用していて、薬の影響で外科手術が受けられない方などが該当します。
外科手術が適用できない方は、ブリッジ治療がむいているでしょう。ブリッジ治療は、基本的に外科手術を必要とせず、欠損した歯を補充することができます。そのため、手術が困難なケースや手術に不安を抱えている方にとっては、ブリッジが適した治療法といえるでしょう。
まとめ
インプラントとブリッジは歯を補う治療法ですが、特徴や治療内容は大きく異なります。
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込むため、安定性が高く、ほかの歯を傷つけることもありません。自然な色味の被せ物を選択すれば、天然の歯と変わらない見た目になります。適切にメンテナンスを行えば、長期的に使用できるのも大きなメリットです。
一方、ブリッジは欠損部分の前後の歯を削る必要があり、また前後の歯を支えとするため健康な歯への負担が大きくなります。
しかし、インプラントと比較して、治療期間が短く費用もおさえられるのがメリットです。インプラントの治療費用は高額ですが、ブリッジと比較して平均寿命が長いため、長期的な視点で考えるとコストパフォーマンスがよい可能性があります。
ただし、インプラントは外科手術が伴い、持病があって服薬している方は適用できないこともあるため注意が必要です。
インプラントとブリッジで迷ったら、まずはそれぞれの特徴をよく理解しましょう。経済的な面も考慮して、歯科医師と相談しながら選択するのがよいでしょう。
インプラントやブリッジを検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。