こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。
インプラント治療は、歯科治療のなかでも高額で難易度の高い治療方法の一つです。高額な治療費を出してインプラント治療を受けたなら、少しでも長く使いたいと思う方が多いでしょう。
今回は、インプラントの寿命や、寿命に影響を与える要因、インプラントを長持ちさせるための方法などを解説します。
インプラントの寿命はどれくらい?
まずは、インプラントとはどのような治療方法なのか確認しましょう。
インプラントとは、虫歯や怪我・事故などで根ごと歯を失った場合や、歯の根が割れた場合に行われる、失った歯を補う治療方法の一つです。インプラント以外に歯を補うための方法はいくつかありますが、ほかの治療方法と大きく違う点は、以下のとおりです。
・自分の歯のような噛み心地を得られる
・天然歯のような自然な見た目に仕上がる
・ほかの歯を削らない
インプラントは、インプラント体、アバットメント、人工歯の3つから成り立ちます。
インプラント治療では、まずインプラント体とよばれる人工歯根を顎の骨に埋め込みます。インプラントは歯根から再現するため、天然歯のような噛み心地を実現できるのです。一番上のパーツの人工歯は、セラミックとよばれる天然歯に近い色調・透明感を再現できる素材を使うため、自然な見た目を叶えられます。
インプラントは単独での治療が可能なので、隣の歯を削って被せ物をする必要がありません。周囲の健康な歯を守りながら治療を受けられるのです。
インプラントの平均寿命
インプラントの平均寿命は、10〜15年程度といわれています。あくまで平均なので、ケアの方法などによってはもっと長く使える場合もあるでしょう。
インプラントを長持ちさせるための方法は後述するので、ぜひ参考にしてください。
ほかの治療方法との寿命の比較
失った歯を補う治療方法は、インプラントのほかにブリッジや入れ歯などが挙げられます。インプラントとブリッジ、入れ歯の平均寿命を比較しましょう。
<インプラント・ブリッジ・入れ歯の平均寿命>
種類 | インプラント | ブリッジ | 入れ歯 |
---|---|---|---|
治療方法 | 顎の骨にインプラント体を埋め込んで人工歯を被せる | 失った歯の両隣の歯を削って橋のような被せ物をする | 失った歯の周囲の歯にバネをかけて義歯を固定する |
平均寿命 | 10〜15年程度 | 5〜8年程度 | 4〜5年程度 |
費用 | 300,000〜400,000円程度 | 20,000〜30,000円程度 | 5,000〜20,000円程度 |
インプラントの平均寿命は、ブリッジや入れ歯に比べると比較的長いことがわかります。インプラント体はチタンで作られますが、チタンは金属のなかでも丈夫で、歯に強い力がかかっても支えられるといわれています。
ブリッジや入れ歯は周囲の歯を土台として義歯を支えているため、周囲の歯に負担がかかりやすいです。噛む力が強い場合、周囲の歯に過度な負担がかかるでしょう。負担に耐えられず、再治療が必要になることがあります。
インプラントの寿命に影響を与える要因
インプラントの寿命に影響を与える要因は、以下のとおりです。
・インプラント周囲炎
・噛み合わせ
・喫煙習慣
・メンテナンス
・インプラント以外の歯のトラブル
それぞれ解説します。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病ともいわれる病気です。インプラント周辺組織が炎症を起こし、進行すると顎の骨が溶けます。インプラントを支えられなくなり、最終的にインプラントが抜け落ちるでしょう。
インプラント周囲炎の原因は、歯周病菌です。磨き残しなどが多いと口内の衛生状態が悪くなり、歯周病菌が繁殖します。
噛み合わせ
噛み合わせが高すぎることなどが原因でインプラントに強い力がかかると、インプラント体やインプラントの周りに大きな負担がかかります。人工歯が破損するなど、インプラントの寿命に影響を与えるでしょう。
天然歯には、顎の骨を衝撃から守るためのクッションの役割を果たす歯根膜という組織があります。インプラント治療をした歯には歯根膜が存在せず、衝撃がダイレクトに伝わります。そのため、強い力がかかるとインプラントの寿命に影響を与えるのです。
噛み合わせが悪いと、インプラント周辺の顎の骨に過度な負担をかけるでしょう。歯ぎしりや食いしばりの癖は、人工歯が破損する原因になります。
喫煙習慣
タバコに含まれるニコチンやタールなどの成分は、歯茎の血流を悪くさせ、免疫力を低下させる恐れがあります。免疫力が低下すると、インプラント周囲炎などの感染症リスクが高まるでしょう。
メンテナンス
インプラント治療後は、歯科医院での定期メンテナンスが欠かせません。定期メンテナンスでは、歯のクリーニングを行い、インプラントに不具合がないかなどをチェックします。
メンテナンスを受けていないと、歯ブラシでは除去できない汚れが長期間付着したままになり、インプラント周囲炎のリスクを高めます。インプラントに何かトラブルが起きたとき、発見するのも遅れるでしょう。
インプラント以外の歯のトラブル
インプラント本体には問題がなくても、インプラント以外の歯が虫歯や歯周病などで抜けると全体のバランスが崩れ、インプラント部分に大きな負担がかかることがあります。噛み合わせが崩れるなど、インプラントに過度な力がかかると寿命に影響を与えます。
インプラントを長持ちさせるための方法
インプラントの使い方によっては、平均的な寿命よりも長く使用できるかもしれません。インプラントを長持ちさせるための方法は、以下のとおりです。
・毎日のケアをしっかり行う
・禁煙する
・定期メンテナンスを受ける
・強い力がかからないように対策する
それぞれ解説します。
毎日のケアをしっかり行う
インプラントの寿命が短くなる原因は、インプラント周囲炎が多いです。インプラント周囲炎の原因となる細菌は、歯垢(プラーク)が口内にある状態を好みます。
そのため、インプラント周囲炎を予防するには毎日の丁寧なブラッシングが非常に重要です。歯間ブラシやフロスなどを使って、歯と歯の間や細かい部分まで丁寧に磨きましょう。
禁煙する
喫煙は、歯茎の血流を悪くし、細菌に対する抵抗力を弱めます。インプラントを長く使い続けたいのならば、インプラント治療前から禁煙する、もしくは喫煙本数を減らしましょう。
定期メンテナンスを受ける
毎日のブラッシングだけでは、すべての汚れを取り除くことはできません。歯科医院で使用される専用の機械であれば、細かい汚れを落とせます。
インプラントに問題が起きていないか、噛み合わせが変化していないかなどもチェックしてもらえるため、トラブルの早期発見にもつながるでしょう。
強い力がかからないように対策する
歯ぎしりや食いしばりの癖があると、インプラントの寿命を縮めます。インプラントに強い力をかける可能性がある方は、マウスピースを装着するなどして負担を軽減しましょう。
マウスピースは歯科医院で製作できるので、相談してください。
インプラントの寿命がきたら
インプラントの寿命がきたら、インプラントの再手術をするか、ブリッジや入れ歯などのほかの治療を受けるかを検討します。
インプラント体からやり直すのか、人工歯の部分だけを取り替えるのかは、症状によって異なります。「そろそろインプラントを交換したほうがいいかも」と歯科医師にアドバイスされたら、治療方法を検討しましょう。
ただし、インプラント周囲炎などの問題が起きている場合は、なるべく早く治療に取り掛かる必要があります。放置すると症状が進行するため、周囲の歯や顎の骨を守るためにも、なるべく重症化させないことが大切です。
インプラント周囲炎が進行すると、徐々に顎の骨を溶かします。顎の骨が溶けると、再度インプラント治療をすることが難しくなるでしょう。
まとめ
インプラントの寿命は、10〜15年程度です。毎日のケアを丁寧に行う、定期メンテナンスに通うなど、適切に取り扱うことで平均寿命よりも長くインプラントを使用できる場合もあるでしょう。
インプラントの寿命を縮める原因としては、インプラント周囲炎や歯に強い力がかかることなどが挙げられます。インプラントの寿命に影響を与える要因を理解して避けることで、インプラントを長く使い続けましょう。