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インプラント治療のデメリットと注意点!治療を受けられない人とは?

2023年7月7日

こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。

インプラントの模型を使って患者に説明する

インプラント治療の主なデメリットとして、費用が高額であることや、治療期間が長いことが挙げられます。治療後は、インプラント周囲炎という感染症のリスクがあることも忘れてはいけません。

今回は、インプラント治療のデメリットや注意点、治療を受けられない人を解説します。

インプラント治療とは

顎に手を当てて考える白い服の女性

インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法です。

歯を失った部分にインプラントを設置するので、自然な見た目と噛み心地を再現でき、食事や話すなどの日常的な動作を自然に行うことができるようになります。

インプラントは、チタンやジルコニアなどの生体適合性の高い素材で作られます。顎の骨と結合しやすく、体内での拒絶反応を最小限に抑えることが可能です。

インプラント治療は、大きく2段階に分かれます。まず、顎の骨にインプラント体を埋め込む手術が行われ、数か月間インプラント体と顎の骨が結合するのを待ちます。結合を確認したあと、人工歯を取り付ける手術が行われるのです。

インプラント治療のメリット・デメリット

黄色い背景に置かれたMERITとDEMERITの札

インプラント治療は自然な見た目と噛み心地を実現できる一方で、費用が高額であることや治療期間が長いことが主なデメリットとして挙げられます。

インプラント治療のメリット

インプラント治療のメリットは、以下のとおりです。

自然な見た目が手に入る

インプラント治療は、見た目が自然で美しいメリットがあります。

入れ歯やブリッジで失った歯を補うと、色味が不自然になる、笑ったときに金具が見えるなどのデメリットがありますが、インプラント治療では、人工歯にセラミックやジルコニアなどの材料が使われることが多いです。天然の歯とほとんど変わらない、自然で美しい歯を手に入れることができます。

噛み心地がよい

入れ歯の場合、安定性が劣るため、違和感をおぼえる方や食べ物が入れ歯に挟まって不快感をおぼえる方がいます。違和感や不快感が原因で、しっかりと噛めないという悩みを抱える人も少なくありません。

インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に直接埋め込むので、高い安定性を実現します。違和感や不快感が少ないため、自然な歯と同じような感覚で噛むことが可能です。

インプラント体の材料として多く用いられるチタンは、骨と結合しやすく耐久性に優れています。インプラントが骨にしっかりと固定されるため、強く噛む力にも耐えられるのです。

ほかの歯を傷つけるリスクが低い

ブリッジや入れ歯では、失った歯を補うために周囲の健康な歯を削って土台を作る必要があります。健康な歯に負担をかけることに抵抗を感じる人も多いでしょう。

インプラント治療では、ほかの健康な歯に影響を与えることなく治療を受けられます。周囲の健康な歯を保護しつつ、安定した噛み心地と自然な見た目を得られるのです。

骨が瘦せることを防止できる

歯を失った部分の顎の骨には、噛む際の刺激が伝わりません。そのため、骨が次第に痩せて、萎縮します。骨が痩せるのは、特に入れ歯治療を行った場合に多いです。

インプラント治療では、歯を失った部分の顎の骨に直接インプラント体を埋め込むので、咀嚼時の刺激が骨に伝わります。天然の歯が存在したときと同様の力が骨に伝わるため、骨が痩せることを防げるのです。

インプラント治療のデメリット

インプラント治療のデメリットは、以下のとおりです。

費用が高額になる

一般的に、インプラント治療は保険が適用されないため自費治療となります。保険適用内のほかの歯科治療と比較すると、治療費が高額になるでしょう。インプラント治療の費用相場は、1本あたり300,000〜400,000円程度です。

また、インプラント治療は人工歯を装着すれば終わるわけではありません。長期的にインプラントを維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスでは、インプラント周囲の組織の健康状態を確認し、口腔内のクリーニングなどを行います。

治療後の通院の際にかかる費用は、治療費とは別で必要です。初期治療費だけでなく、継続的な治療費も考慮しなければなりません。

治療期間が長い

通常の歯科治療と比較して、インプラント治療は多くの時間と通院回数を必要とします。カウンセリングや手術、経過観察など、少なくとも5回以上の通院が必要でしょう。

治療期間は口腔内の状態によって異なりますが、平均的に6か月程度かかるとされています。インプラント治療の成功率を高めるには、埋入したインプラント体を顎の骨としっかり結合させなければなりません。インプラント体と顎の骨が結合するまでには、少なくとも3か月程度の時間が必要といわれています。

身体への負担が大きい

インプラント治療は、歯茎を切開して顎の骨に穴をあける外科手術が必要です。麻酔によって手術時の痛みは軽減されますが、手術の負担がないわけではありません。

持病を抱えている人や薬を服用している人、妊娠中の人は、手術や術後の回復過程に影響を及ぼす可能性があります。インプラント治療は、入れ歯などの歯科治療と違い、誰でも受けられるわけではないのです。持病や服用中の薬などは、治療前に必ず歯科医師に申告しましょう。

治療後もメンテナンスが必要である

インプラントが正しく機能し続けるには、治療終了後も定期的に歯科医師によるチェックやメンテナンスを受ける必要があります。インプラントの定着状態、人工歯の状態、噛み合わせの具合などを確認し、必要に応じて調整や処置を行うでしょう。

治療後の通院は、3~6か月に1回の頻度で受けることが推奨されています。インプラントだけでなく、全体的な口腔の健康を維持するためにも、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。

インプラント治療のリスク

机の上にRISKの木の文字を並べる手元

インプラント治療には、上顎洞にインプラントが落ちたり神経を傷つけたりすることで、痺れや麻痺が生じるなどのリスクがあります。手術に関するリスクは、事前のCTでしっかりと位置関係を確認することで防ぐことが可能です。

上顎洞へのインプラント体の落下

上顎のインプラント治療において起こりうるリスクです。

上顎洞は、口腔の上部に存在する空洞のことを指します。上顎は特に骨が薄い方が多く、インプラント体が上顎洞へ落ちるリスクがあるのです。

CTスキャンを用いて骨の厚みや骨質を詳細に理解し、安全に埋入できる位置を確定することで、インプラント体が上顎洞へ落下するリスクを大幅に低減できるでしょう。

口元の麻痺や痺れ

神経損傷は、下顎のインプラント治療において起こりうるリスクです。

下顎には、大きな神経がある下顎管が通っています。インプラントを埋め込む際に神経に触れると、唇や舌、歯茎などに一時的な麻痺や痺れを引き起こす可能性があります。

神経損傷のリスクを減らすには、CTスキャンを用いて下顎管の正確な位置を把握することが重要です。

インプラントの脱落

インプラントの脱落は、顎の骨とインプラントの結合が不十分な場合や感染症が起きた場合に発生します。

喫煙習慣のある患者さまや口腔内の清掃が不十分な患者さまは、感染リスクが高く、インプラントの脱落の一因となります。また、歯科医院での手術の際に滅菌処理などの衛生管理が不十分な場合、手術時の感染リスクが高まり、インプラントが抜け落ちるリスクが高まるでしょう。

治療前に禁煙し、口腔ケアの指導を受けることで、インプラントが脱落するリスクを低減できます。衛生管理を徹底している歯科医院を選ぶことも重要です。

金属アレルギーの発症

インプラント治療には、金属アレルギーのリスクが伴います。

インプラントの人工歯根に使用されるチタンは、人工関節などでも広く用いられている素材です。チタンは、生体親和性が高く、一般的にはアレルギー反応を起こしにくいとされています。

しかし、近年の研究ではチタンが金属アレルギーの原因となる可能性が指摘されています。インプラントによる金属アレルギーを予防するには、事前にチタンに対するアレルギーがないか、パッチテストを受けるとよいでしょう。

インプラント周囲炎の発症

インプラント治療後は、インプラントの歯周病といわれるインプラント周囲炎を発症するリスクがあります。人工歯根の周りの顎の骨が溶ける病気で、進行するとインプラントの除去が必要です。

インプラント周囲炎を経験する患者さまは、治療前から歯周病を抱えている可能性が高いです。歯周病は、日々の口腔ケアが不適切なことが原因で発症することが多いので、口腔ケアの方法を見直しましょう。インプラント治療を受ける場合は、適切な歯磨きと3~6か月に一度の歯科検診を受けることが重要です。

インプラント治療を受けられない人

体の前でばつ印を作る女性

インプラント治療は、歯根膜が失われるため感染症にかかりやすくなります。口腔ケアが適切に行えない人や定期的に通院できない人は、治療を控えたほうがよいでしょう。

強い歯ぎしりや食いしばりがある人

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度の負担をかけます。人工歯の破損やインプラントの脱落につながるかもしれません。

禁煙できない人

喫煙は、口腔内の血流を悪化させ治癒能力を低下させます。インプラントが顎の骨に結合するのを妨げ、インプラントの失敗につながる可能性があります。

歯磨きやメンテナンスなどを適切に行えない人

インプラントは、定期的なメンテナンスが必要です。歯磨きやクリーニングを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まり、インプラントが脱落する可能性があるのです。

重度の糖尿病がある人

糖尿病は、身体の治癒能力を低下させ、感染症のリスクを高めます。インプラントが骨に適切に結合するのを妨げ、インプラント治療の成功率を低下させるおそれがあるでしょう。

骨粗鬆症の人

骨粗鬆症は、骨の質と密度が低下する病気です。骨量が不十分な場合、インプラントをしっかりと固定することが難しい可能性があります。

インプラント治療を受ける際の注意点

机の上に置かれた!マークが書かれた木のブロック

インプラント治療を受ける際の注意点は、以下のとおりです。

・手術前日は十分な睡眠をとる

・鎮静法で手術を受ける場合、帰宅時に車両の運転を避ける

・手術当日は強いうがいをしない

・抗生物質は指示どおりに飲み切る

・上顎の手術後は強く鼻をかまない

・喫煙を控える

・手術後は飲酒や激しい運動、入浴を避ける

・手術部位を舌や指で触らない

・食事の際に治療を行った部分で噛まない

・インプラント治療後は定期的にメンテナンスを受ける

・帰宅後に異常を感じた場合は、すぐに歯科医院に連絡する

上記を守ることで、インプラント治療のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

まとめ

インプラントを入れた歯を見せて笑う女性の口元

インプラント治療の主なデメリットは、費用が高額であり、治療期間が長いことです。また、インプラント治療後は、歯根膜が失われるため感染症にかかりやすいです。

治療後は歯磨きを丁寧に行いましょう。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスを使って、歯と歯の間もきれいに清掃してください。さらに、歯科医院でクリーニングを受けることも重要です。歯科医院で実施されるクリーニングは、専用の器具を使って通常の歯磨きでは落とせない汚れも除去します。クリーニングだけでなく、インプラントや口腔内の状態もチェックしてくれるので、異常があった際も早期発見・治療が可能です。

インプラントは、適切に管理すれば10~15年以上と非常に長持ちする人工歯です。デメリットやリスクを理解し、治療後の定期的に通院が可能な人は、検討してみてはいかがでしょうか。

インプラント治療を検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。