インビザライン・コンプリヘンシブ

透明なマウスピースを用いて歯並びを整えるインビザライン矯正の中で、最も適応範囲が広く、包括的な全顎矯正を行える最上位プランが「インビザライン・コンプリヘンシブ(Comprehensive)」(旧称:インビザライン・フル)です。
- アライナー(マウスピース)作製枚数:無制限(必要な枚数を何枚でも作製可能)
- 治療期間(保証期間):治療開始から最大5年間
- 追加アライナー(リファインメント):保証期間内であれば回数無制限で再作製・微調整が可能
- 適応範囲:前歯の軽微な乱れから、奥歯を含む全体の噛み合わせ改善、抜歯を伴う重度の不正咬合まで対応
部分矯正向けのプラン(ライトやモデレートなど)はマウスピースの枚数や治療期間に上限が定められています。一方、コンプリヘンシブは「歯が理想の位置にしっかりと並びきるまで」枚数の制限なくマウスピースを追加できるため、難症例であっても妥協のないゴールを目指すことができます。
インビザライン主要パッケージの比較表
ご自身の歯並びの状態や希望するゴールに応じて最適なプランを選択できるよう、各パッケージのスペックを比較しています。
| プラン名 | アライナー枚数 | 保証期間 | 主な適応症例 | 特徴・治療の自由度 |
|---|---|---|---|---|
| エクスプレス (Express) | 最大7枚 | 約1年 | 軽微なズレ・わずかな後戻り | 前歯1〜2本の微調整に特化 |
| ライト (Lite) | 最大14枚 | 約2年(追加1回) | 軽度の前歯叢生・すきっ歯 | 前歯中心の部分矯正 |
| Go | 最大20枚 | 約2年(追加1回) | 中等度の叢生・空隙歯列 | 前歯〜小臼歯の改善、軽度の噛み合わせ調整 |
| コンプリヘンシブ (Comprehensive) | 無制限 | 5年間(無制限) | 重度叢生・出っ歯・受け口・抜歯症例・全顎咬合 | 奥歯を含めた全顎矯正、難症例の確実な仕上げ |
インビザライン・コンプリヘンシブが適している症例
コンプリヘンシブは、単に前歯の見た目を整えるだけでなく、奥歯の噛み合わせの高さや位置、上下の顎の関係性を考慮したトータルな咬合再構築が可能です。
① 抜歯が必要な重度の叢生(乱杭歯・八重歯・ガチャ歯)
顎の骨に対して歯が大きく、重なり合って生えている場合、小臼歯(前から4〜5番目の歯)を抜歯して大きな移動スペースを作ることがあります。コンプリヘンシブなら、抜歯後の大きな隙間を閉鎖しながら歯列全体をきれいに整えられます。
② 出っ歯(上顎前突)
上の前歯が大きく前方に突出しているケースです。前歯を後方に下げるために奥歯全体を後方に移動(遠心移動)させたり、抜歯スペースを利用して口元全体の突出感(Eライン)を引っ込める治療を行います。
③ 受け口・反対咬合(下顎前突)
下の前歯が上の前歯よりも前に出ている噛み合わせです。歯の傾斜の修正に加え、歯列全体の前後的な位置関係を正しく補正します。
④ 開咬(オープンバイト)
奥歯をしっかり噛み合わせても、前歯が噛み合わず隙間が空いてしまう状態です。前歯で食べ物を噛み切れないだけでなく、奥歯に過度な負担がかかります。奥歯を骨の中に沈める「圧下」の動きを組み込み、前歯が正常に噛み合うように改善します。
⑤ 過蓋咬合(ディープバイト)
上の前歯が下の前歯に深く被さり、下の前歯がほとんど見えない深い噛み合わせです。顎関節症や前歯の早期摩耗リスクを防ぐため、前歯の圧下や奥歯の挺出を行い、正しい噛み合わせの深さを構築します。
難症例・全顎矯正を成功に導く歯科医学的アプローチ
コンプリヘンシブプランでは、高度な歯の移動を正確にコントロールするために、インビザライン独自のテクノロジーと歯科矯正の補助装置を併用します。


スマートフォース(SmartForce)と最適アタッチメント
歯の表面に歯と同色の樹脂(レジン)を取り付けます。アライナーから歯にかかる力の向きと大きさを3次元的に最適化し、歯根を平行に移動させる「歯体移動」や「回転・挺出」を高い精度で実現します。
歯科矯正用アンカースクリュー(TADs)の併用
歯ぐきの骨に小さな生体親和性チタン製スクリューを一時的に埋入し、強固な固定源として使用します。従来のマウスピース単独では難しかった「奥歯の大きな後方移動」や「前歯の大幅な後退」が可能になります。
顎間エラスティック(顎間ゴム)
上下のマウスピースにボタンやスリットを設け、医療用ゴムをかけることで、上下の噛み合わせのズレ(前後・上下・左右)を効率よく引き締めます。
IPR(歯間離開・ストリッピング)
歯のエナメル質の安全な範囲(0.2〜0.5mm程度)をわずかに研磨し、歯を並べるスペースを作ります。非抜歯での治療可能性を広げるために重要な処置です。
クリンチェック(3D治療計画ソフトウェア)による精密設計
CTデータや3D口腔内スキャンデータを統合し、歯根の位置・歯槽骨の厚みを考慮した無理のない段階的移動シミュレーションを歯科医師が緻密に設計します。
ワイヤー矯正とインビザライン・コンプリヘンシブの比較
「全顎矯正や抜歯矯正はワイヤーでしか治らない」と言われていたのは過去の話です。近年の材料工学とシミュレーション技術の進化により、コンプリヘンシブであれば多くの症例をマウスピースで治療できるようになっています。
| 比較項目 | インビザライン・コンプリヘンシブ | 表側ワイヤー矯正 | 裏側(舌側)ワイヤー矯正 |
|---|---|---|---|
| 審美性(見た目) | ◎(透明でほぼ気づかれない) | △(金属・セラミックが見える) | ◎(歯の裏側で見えない) |
| 対応症例 | ◎(軽度〜重度・抜歯症例対応) | ◎(あらゆる難症例に対応) | ○(難易度が高く適応制限あり) |
| 取り外しの可否 | 可能(食事・歯磨き時) | 不可(固定式) | 不可(固定式) |
| 痛み・粘膜刺激 | 少ない(段階的移動・滑らか) | 強い(装置が唇や頬に擦れる) | 強い(舌が当たって口内炎) |
| 通院頻度 | 1〜2ヶ月に1回 | 3〜4週間に1回 | 3〜4週間に1回 |
| 清掃性・虫歯リスク | ◎(普段通りフロスが可能) | △(食べかすが詰まりやすい) | △(歯磨きが極めて難しい) |
| 装置脱落トラブル | 少ない(破損時は次へ進む等) | ブラケット脱落・ワイヤー刺さり | ブラケット脱落のリスクあり |
インビザライン・コンプリヘンシブの治療ステップ
初診相談・カウンセリング
歯並びや噛み合わせのお悩み、口元のバランス(口ゴボ・Eライン等)のご希望を伺い、大まかな治療方針や費用・期間を丁寧にご説明します。
精密検査(3D光学スキャナー「iTero」・歯科用CT・セファロ・顔貌写真)
3D光学スキャナーでお口の中を高精度にデジタルスキャンします。従来の粘土のような型取り材は不要です。骨格と歯根の状態を把握するため、CTや矯正用レントゲン撮影も行います。
クリンチェック(3D治療計画)の立案と共有
収集したデータを基に、歯がどのように動いていくかをコンピュータ上でシミュレーションします。患者様と一緒に画面を見ながらゴールの歯並びと噛み合わせを確認し、ご納得いただいてからマウスピースを発注します。
アライナーの装着開始・取り扱い指導
アライナーが届いたら、アタッチメントの装着や歯の研磨(必要な場合)を行い、マウスピースをお渡しします。着脱の練習や、1日20〜22時間以上の装着ルールについて詳しくご案内します。
定期的なチェックとアライナー交換(約1〜2ヶ月ごと)
シミュレーション通りに歯が動いているか、アタッチメントの外れがないか、虫歯や歯周病が発生していないかを確認します。問題がなければ次のステージのアライナーをお渡しします。
動的治療完了・保定(リテーナー)期間
理想の歯並びと噛み合わせが完成したら、後戻りを防ぐために保定装置(リテーナー)へ移行します。骨がしっかりと安定するまで定期検診を継続します。
治療期間・通院間隔・費用について
治療期間の目安
- 全体矯正(非抜歯):約1年半〜2年
- 全体矯正(抜歯症例・骨格的不正):約2年〜3年
※通院間隔は1〜2ヶ月に1回程度です。
費用目安(自由診療)
コンプリヘンシブ基本治療費:約858,000円(税込)〜
※精密検査料、抜歯費用、アンカースクリュー使用料、保定装置代、調整料の取り扱いは医院の料金体系に準じます。
※デンタルローンによる分割払いやクレジットカード決済に対応しています。
医療費控除の対象について
噛み合わせの改善を目的とした大人の矯正治療、および成長期のお子様の矯正治療は、税制上の「医療費控除」の対象となります。確定申告を行うことで、所得税の還付や住民税の減額を受けられ、実質的な自己負担額を軽減することが可能です。
治療結果を最大限に高めるための重要なポイント
1日20〜22時間の装着時間を徹底する
マウスピース矯正の成否は装着時間に大きく左右されます。外している時間が長くなると、歯が予定の位置まで動かず、マウスピースの浮きや治療計画の遅延につながります。
アライナーチューイーをしっかり使用する
アライナーを歯列に完全に密着させるため、装着時には毎回ロール状のゴム(チューイー)を前歯から奥歯までしっかり噛み込みます。
口腔衛生の維持
マウスピースを装着している間は唾液の自浄作用が働きにくいため、食後は必ず歯磨きとフロスを行ってから再装着します。
リテーナー(保定装置)の継続装着
矯正治療終了直後の歯は動きやすく、元の位置に戻ろうとする力が働きます。美しい歯並びを一生涯保つために、歯科医師の指示通りにリテーナーを使い続けることが不可欠です。
医療広告ガイドラインに基づくリスク・副作用
- 治療開始時や新しいアライナーへの交換時に、締め付け感や鈍痛が生じることがあります(通常数日で治まります)。
- 装着時間の不足や誤った取り扱いにより、計画通りに歯が動かず治療期間が延長する場合があります。
- 歯の移動に伴い、歯根吸収や歯肉退縮(歯ぐきが下がる現象)、ブラックトライアングル(歯と歯の間の三角形の隙間)が生じるリスクがあります。
- 矯正治療中は口腔内の清掃不良があると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
- 骨格の不調和が非常に大きい重度の骨格性反対咬合などの場合、マウスピース単独ではなく外科矯正(顎の手術)が必要となるケースがあります。
全顎マウスピース矯正のご相談・精密3Dシミュレーション
「他院でマウスピース矯正は無理だと断られた」「抜歯が必要と言われたが目立たない装置で治したい」「出っ歯や噛み合わせの深い悩みを根本から治したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、高精度3D光学スキャナー(iTero)によるシミュレーションを通じて、骨格・歯根・噛み合わせのすべてを考慮した最適なコンプリヘンシブ治療をご提案いたします。


