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インプラントの寿命はどれくらい?長く安心して使うためのポイント!

2023年10月6日

こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。

インプラント治療をされた顎の骨のイメージ

インプラント治療は、歯科治療のなかでも高額で難易度の高い治療方法の一つです。高額な治療費を出してインプラント治療を受けたなら、少しでも長く使いたいと思う方が多いでしょう。

今回は、インプラントの寿命や、寿命に影響を与える要因、インプラントを長持ちさせるための方法などを解説します。

インプラントの寿命はどれくらい?

顎に手を当てて考える女性

まずは、インプラントとはどのような治療方法なのか確認しましょう。

インプラントとは、虫歯や怪我・事故などで根ごと歯を失った場合や、歯の根が割れた場合に行われる、失った歯を補う治療方法の一つです。インプラント以外に歯を補うための方法はいくつかありますが、ほかの治療方法と大きく違う点は、以下のとおりです。

・自分の歯のような噛み心地を得られる

・天然歯のような自然な見た目に仕上がる

・ほかの歯を削らない

インプラントは、インプラント体、アバットメント、人工歯の3つから成り立ちます。

インプラント治療では、まずインプラント体とよばれる人工歯根を顎の骨に埋め込みます。インプラントは歯根から再現するため、天然歯のような噛み心地を実現できるのです。一番上のパーツの人工歯は、セラミックとよばれる天然歯に近い色調・透明感を再現できる素材を使うため、自然な見た目を叶えられます。

インプラントは単独での治療が可能なので、隣の歯を削って被せ物をする必要がありません。周囲の健康な歯を守りながら治療を受けられるのです。

インプラントの平均寿命

インプラントの平均寿命は、10〜15年程度といわれています。あくまで平均なので、ケアの方法などによってはもっと長く使える場合もあるでしょう。

インプラントを長持ちさせるための方法は後述するので、ぜひ参考にしてください。

ほかの治療方法との寿命の比較

失った歯を補う治療方法は、インプラントのほかにブリッジや入れ歯などが挙げられます。インプラントとブリッジ、入れ歯の平均寿命を比較しましょう。

<インプラント・ブリッジ・入れ歯の平均寿命>

種類 インプラント ブリッジ 入れ歯
治療方法 顎の骨にインプラント体を埋め込んで人工歯を被せる 失った歯の両隣の歯を削って橋のような被せ物をする 失った歯の周囲の歯にバネをかけて義歯を固定する
平均寿命 10〜15年程度 5〜8年程度 4〜5年程度
費用 300,000〜400,000円程度 20,000〜30,000円程度 5,000〜20,000円程度

インプラントの平均寿命は、ブリッジや入れ歯に比べると比較的長いことがわかります。インプラント体はチタンで作られますが、チタンは金属のなかでも丈夫で、歯に強い力がかかっても支えられるといわれています。

ブリッジや入れ歯は周囲の歯を土台として義歯を支えているため、周囲の歯に負担がかかりやすいです。噛む力が強い場合、周囲の歯に過度な負担がかかるでしょう。負担に耐えられず、再治療が必要になることがあります。

インプラントの寿命に影響を与える要因

歯科医院でカウンセリングを受ける女性

インプラントの寿命に影響を与える要因は、以下のとおりです。

・インプラント周囲炎

・噛み合わせ

・喫煙習慣

・メンテナンス

・インプラント以外の歯のトラブル

それぞれ解説します。

インプラント周囲炎

インプラント周囲炎とは、インプラントの歯周病ともいわれる病気です。インプラント周辺組織が炎症を起こし、進行すると顎の骨が溶けます。インプラントを支えられなくなり、最終的にインプラントが抜け落ちるでしょう。

インプラント周囲炎の原因は、歯周病菌です。磨き残しなどが多いと口内の衛生状態が悪くなり、歯周病菌が繁殖します。

噛み合わせ

噛み合わせが高すぎることなどが原因でインプラントに強い力がかかると、インプラント体やインプラントの周りに大きな負担がかかります。人工歯が破損するなど、インプラントの寿命に影響を与えるでしょう。

天然歯には、顎の骨を衝撃から守るためのクッションの役割を果たす歯根膜という組織があります。インプラント治療をした歯には歯根膜が存在せず、衝撃がダイレクトに伝わります。そのため、強い力がかかるとインプラントの寿命に影響を与えるのです。

噛み合わせが悪いと、インプラント周辺の顎の骨に過度な負担をかけるでしょう。歯ぎしりや食いしばりの癖は、人工歯が破損する原因になります。

喫煙習慣

タバコに含まれるニコチンやタールなどの成分は、歯茎の血流を悪くさせ、免疫力を低下させる恐れがあります。免疫力が低下すると、インプラント周囲炎などの感染症リスクが高まるでしょう。

メンテナンス

インプラント治療後は、歯科医院での定期メンテナンスが欠かせません。定期メンテナンスでは、歯のクリーニングを行い、インプラントに不具合がないかなどをチェックします。

メンテナンスを受けていないと、歯ブラシでは除去できない汚れが長期間付着したままになり、インプラント周囲炎のリスクを高めます。インプラントに何かトラブルが起きたとき、発見するのも遅れるでしょう。

インプラント以外の歯のトラブル

インプラント本体には問題がなくても、インプラント以外の歯が虫歯や歯周病などで抜けると全体のバランスが崩れ、インプラント部分に大きな負担がかかることがあります。噛み合わせが崩れるなど、インプラントに過度な力がかかると寿命に影響を与えます。

インプラントを長持ちさせるための方法

体の横を指さして笑う女性

インプラントの使い方によっては、平均的な寿命よりも長く使用できるかもしれません。インプラントを長持ちさせるための方法は、以下のとおりです。

・毎日のケアをしっかり行う

・禁煙する

・定期メンテナンスを受ける

・強い力がかからないように対策する

それぞれ解説します。

毎日のケアをしっかり行う

インプラントの寿命が短くなる原因は、インプラント周囲炎が多いです。インプラント周囲炎の原因となる細菌は、歯垢(プラーク)が口内にある状態を好みます。

そのため、インプラント周囲炎を予防するには毎日の丁寧なブラッシングが非常に重要です。歯間ブラシやフロスなどを使って、歯と歯の間や細かい部分まで丁寧に磨きましょう。

禁煙する

喫煙は、歯茎の血流を悪くし、細菌に対する抵抗力を弱めます。インプラントを長く使い続けたいのならば、インプラント治療前から禁煙する、もしくは喫煙本数を減らしましょう。

定期メンテナンスを受ける

毎日のブラッシングだけでは、すべての汚れを取り除くことはできません。歯科医院で使用される専用の機械であれば、細かい汚れを落とせます。

インプラントに問題が起きていないか、噛み合わせが変化していないかなどもチェックしてもらえるため、トラブルの早期発見にもつながるでしょう。

強い力がかからないように対策する

歯ぎしりや食いしばりの癖があると、インプラントの寿命を縮めます。インプラントに強い力をかける可能性がある方は、マウスピースを装着するなどして負担を軽減しましょう。

マウスピースは歯科医院で製作できるので、相談してください。

インプラントの寿命がきたら

歯科医院で治療を受ける女性患者

インプラントの寿命がきたら、インプラントの再手術をするか、ブリッジや入れ歯などのほかの治療を受けるかを検討します。

インプラント体からやり直すのか、人工歯の部分だけを取り替えるのかは、症状によって異なります。「そろそろインプラントを交換したほうがいいかも」と歯科医師にアドバイスされたら、治療方法を検討しましょう。

ただし、インプラント周囲炎などの問題が起きている場合は、なるべく早く治療に取り掛かる必要があります。放置すると症状が進行するため、周囲の歯や顎の骨を守るためにも、なるべく重症化させないことが大切です。

インプラント周囲炎が進行すると、徐々に顎の骨を溶かします。顎の骨が溶けると、再度インプラント治療をすることが難しくなるでしょう。

まとめ

インプラントの模型を持って説明する人

インプラントの寿命は、10〜15年程度です。毎日のケアを丁寧に行う、定期メンテナンスに通うなど、適切に取り扱うことで平均寿命よりも長くインプラントを使用できる場合もあるでしょう。

インプラントの寿命を縮める原因としては、インプラント周囲炎や歯に強い力がかかることなどが挙げられます。インプラントの寿命に影響を与える要因を理解して避けることで、インプラントを長く使い続けましょう。

インプラント手術中・手術後の痛みは?手術後の過ごし方と対処法!

2023年9月19日

こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。

インプラントの模型を使って説明する女性

インプラントは、高い機能性と審美性を兼ね備えているため非常に人気の治療法です。

しかし、歯茎の切開など外科手術が必要となり、痛みや腫れが伴います。インプラント治療を検討する際、手術の痛みに不安を覚える方も少なくないでしょう。

今回は、インプラント手術における痛みや術後の過ごし方、痛みの対処法について詳しく解説します。インプラント治療を受けようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

インプラント手術中は痛みを感じる?

インプラント手術を行う女性医師

インプラント手術では、手術前に局所麻酔を行います。手術の最中に痛みを感じることはありません。

ただし、局所麻酔はインプラントを埋入する部位のみに麻酔が効いている状態です。意識はある状態なので、機械音や骨を削るときの振動は感じられます。不安や恐怖感が増大する可能性はあるでしょう。

不安や緊張は、急な血圧の上昇やショック状態を引き起こすリスクがあります。手術中の体調の変化が起こりやすい方の特徴は、以下のとおりです。

・歯科治療への不安が強い方

・過去に歯科治療中に具合が悪くなったことのある方

・ふだんから血圧が高い方

上記のような方は、事前に歯科医師に相談しましょう。

痛みやストレスを軽減する方法

痛みへの不安が強い方は、事前に歯科医師に相談することで対応してもらえます。

麻酔の注射に対して、苦手意識や恐怖感を抱く方もいるでしょう。できるだけ細い針を使用する、麻酔薬を常温にするなど、麻酔注入時の痛みを軽減する方法があります。

歯科治療への不安が強い方の場合、鎮静剤を使用することがあるでしょう。寝付く前のようなウトウトした状態で治療を受けられるため、不安や緊張を軽減できます。

鎮静剤は静脈内に入れるため、全身管理が必要です。すべての歯科医院で対応できるわけではないので、あらかじめ確認しましょう。

インプラント手術後に痛み・腫れはある?

歯の痛みを耐えて顎を抑える女性

インプラント手術では、歯茎を切開して顎の骨を削るため、術後に痛みや腫れが生じます。痛みの程度は個人差があるものの、術後4~5日程度で落ち着く場合が多いです。

麻酔が切れた頃から痛み始め、徐々に回復するのが一般的です。術後は処方された痛み止めを服用して、痛みをコントロールしましょう。

手術した部分の腫れは、早い人なら2~3日程度で落ち着きます。長くても1~2週間で落ち着くでしょう。痛みが悪化する場合や、長く続く場合は何らかの問題が起きている可能性があるので、歯科医師に相談しましょう。

手術による内出血で、顔の一部が紫色になることがあります。次第に治るので、基本的には心配いりません。

インプラント手術後に痛み・腫れが出やすいケースは、以下のとおりです。

・インプラントの埋入本数が多い

・埋入と同時に骨移植を行った

・埋入と同時に歯茎の移植を行った

・抜歯直後にインプラントの埋入を行った

大きく腫れて、本当に落ち着くのか不安になることもあるかもしれません。特に問題がなければ腫れは徐々に引いていくので、過度に心配する必要はないでしょう。

術後、時間が経過してから痛みが出ることもある

術後の痛みは徐々に落ち着くのが一般的ですが、あとから痛み出すケースがあります。

人工歯を入れてから痛む

インプラントの上部構造(人工歯)を入れてから、痛むことがあります。噛み合わせの高さや隣の歯に干渉していることで痛む場合が多いです。

人工歯のサイズや高さを調整することで、改善できるでしょう。

術後数年経ってから痛む

術後数年経ってから、インプラント部分が痛むことがあります。インプラント周囲炎になっている可能性が高いです。

インプラント周囲炎とは、インプラントを支える歯周組織が炎症を起こしている状態を指します。インプラントの歯周病ともいわれます。

インプラントは天然歯に比べて抵抗力が低いため、術後の定期的なメンテナンスや丁寧なセルフケアを怠ると、リスクが高まるでしょう。軽度の場合は歯科医院で歯周病の治療を受ければ改善できます。重度の場合は、インプラントを残すことが難しくなるかもしれません。

インプラント手術後はどのように過ごす?

治療後に鏡で自分の歯を確認する女性

インプラント手術後の過ごし方は、以下のとおりです。

薬を指示どおりに服用する

術後は、痛み止めと抗生物質(化膿止め)が処方されます。それぞれ歯科医師の指示どおりに服用しましょう。

特に抗生物質は、術後の傷の治りに影響します。必ず指示どおりに飲み切ってください。

血行がよくなる行為を控える

血行がよくなると、出血や痛みの原因になります。術後は、激しい運動や飲酒を控えましょう。血行がよくなると傷の治りが遅くなり、インプラントと骨の結合が遅くなることにもつながります。

術後2~3日は湯船に浸からずシャワーで済ませる、術後1週間程度は激しい運動と飲酒を控えるなど、注意して過ごさなければいけません。

手術した部分で噛まない

術後1か月は、手術した部分とは反対側の歯で噛みましょう。インプラントと骨が結合するには1か月程度かかるため、この間に不必要な負荷をかけないことが大切です。

セルフケアを徹底する

口内が不潔になると、手術部位が細菌感染を起こす可能性があります。細菌に感染すると、インプラントがうまく結合できないでしょう。

手術部位を直接歯ブラシで磨くのは避けたほうがよいですが、ほかの歯はしっかりと磨いてください。フロスや歯間ブラシなども併用して、清潔に保ちましょう。

喫煙しない

喫煙は、インプラントの成功を妨げる大きな原因になります。可能であれば、術後は禁煙しましょう。

喫煙すると血行が悪くなるため、傷の治りが遅くなります。化膿する、インプラントと骨がうまく結合しないなど、トラブルにつながるかもしれません。

インプラント手術後の痛み・腫れへの対処法

歯科医院でタブレットを用いて説明する男性

インプラント手術後の痛み・腫れへの対処法は、以下のとおりです。

安静に過ごす

インプラントの手術後は、口内をケガしたような状態です。まずは、安静に過ごしましょう。

激しい運動や熱い湯船に浸かる、飲酒するなど、血行をよくする行為は避けてください。痛みや出血を悪化させる可能性があります。

患部を冷やす

腫れがひどい場合、頬から冷やすことが有効です。氷などを使って冷やしすぎるのは、傷の治りを悪くするので避けてください。冷えピタや、水で濡らしたタオルで冷やしましょう。

腫れは傷が治る過程で発生する正常な反応なので、過度に心配する必要はありません。

歯科医師に相談する

痛みや腫れが強い・長引くときは、歯科医師に相談しましょう。手術部位の感染や、ほかの歯の影響で痛む・腫れる症状が出ている可能性があります。

抜糸後も痛みが続く場合や、痛み止めを飲んでも我慢できないほどの痛みがある場合、術後24時間以上出血が止まらない場合などは、何らかの問題が起きているかもしれません。早急に対応する必要があるので、歯科医院を受診して相談してください。

まとめ

レントゲン写真を指して説明する男性歯科医師

インプラントの手術中は、麻酔が効いているためほとんど痛みを感じません。術後1週間程度は、痛みや腫れがあるでしょう。

痛みや腫れは、薬の服用である程度コントロールできます。術後は激しい運動や飲酒を控えるなど、気をつけて過ごしましょう。

インプラント治療に伴う痛みが心配な方は、あらかじめ歯科医師に相談してください。細い針で麻酔を行う、鎮静剤を使用するなど、適切に対応してもらえます。

インプラント治療を検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。

インプラント治療の流れと治療後の注意点について詳しく解説!

2023年9月5日

こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。

机に置かれたインプラントの模型と歯科用器具

インプラント治療は、一度の処置では終わりません。インプラント体とアバットメント、被せ物、それぞれを装着する際に処置を行います。そのため、インプラントは治療工程が多いといえるでしょう。

今回は、インプラント治療の流れと治療後の注意点について詳しく解説します。

インプラントとは

インプラントの模型を出して説明する男性

インプラントとは、歯を失った部分に人工歯根を挿入して、歯を取り戻す方法です。

歯を失った際の治療としては、ブリッジや入れ歯が一般的でした。近年、インプラント治療の理解が広がり、希望する人が増加しています。

歯は、口の中で見える部分と、下に隠れている歯根から構成されています。歯を失うと、支えとなる歯根も同時に失われるでしょう。インプラントは、歯根が完全にない状態の治療方法として選択されます。

インプラントの治療期間

机に置かれたカレンダーとファイル

インプラント治療は、一般的なブリッジや入れ歯とは違い、治療が完了するまでに3か月~1年かかるのが一般的です。

治療期間が長い理由として、歯茎の回復やインプラントが骨としっかりと結合するまでに時間がかかることが挙げられます。順調に進んだとしても治療の全行程が完了するまでに3か月は必要で、手術の内容や採用する処置によっては、半年~1年ほどの期間がかかることもあります。

インプラントの治療期間は、患者さまの骨の状態などにも左右されるでしょう。

インプラント治療の流れ

STEPと書かれた木のブロックを登る木の人形

インプラント治療の流れは、以下のとおりです。

カウンセリング

カウンセリングは、インプラント治療に対する不安や疑問を解消する場として設けられています。インプラントの基本的な情報、メリットとデメリット、インプラント以外の選択肢などを詳しく伝えます。

インプラントに関する不安や質問があれば、遠慮せずに相談しましょう。

検査・診察

インプラント治療前に、口腔内に問題がないか検査や診察を行います。まず、歯周病の検査を行い、歯型の採取や噛み合わせの確認をします。CTスキャンを活用して、顎の骨の密度や量など、詳細な検査も実施されるでしょう。

検査結果や患者さまの健康状態、被せ物の材質・形状・色などの具体的な希望をもとに、最適な治療計画を立てます。計画が確定したら、患者さまに内容を説明し、十分に理解・納得してもらったうえでインプラント治療を開始するのです。

インプラントの埋入

歯根の役割を果たすインプラント体を、患者さまの顎の骨にしっかりと固定します。具体的な手順としては、まず歯茎を開き、インプラントを固定するための穴をあけます。インプラント体を穴に埋め込み、開いた歯茎を縫合するのです。

一般的に、1本のインプラントを埋め込む際にかかる時間は15分程度ですが、治療する部分やインプラントの本数などによって変動します。抜歯や再生治療が必要な場合は、所要時間が延びるでしょう。

抜糸・仮歯の装着

手術後約2週間が経過したら、抜糸します。患者さまの状態や希望に応じて、仮歯を装着することもあるでしょう。

仮歯は、インプラントが完全に固定されるまでの待機期間中に、日常生活での食事や会話などに不都合や不快感が生じないように装着されます。

待機

インプラントを埋め込んだあと、インプラント体が顎の骨としっかりと結合し、一体化するまで待ちます。一体化を待つ期間は待機期間とよばれ、治療を受けた部位や骨の健康状態により異なりますが、約2~3か月の時間を要することが多いです。

トラブルや問題がない限り、基本的に待機期間中の来院は必要ありません。患者さまは、日常生活を過ごしながら自然にインプラントが骨と結びつくのを待ちます。

アバットメントの装着

インプラント治療の待機期間が終了したら、再度歯茎を開いてインプラントの結合状態を確認します。解析装置を使用して磁気をインプラントに当て、顎の骨とインプラントがしっかりと一体化しているかを確認するのです。

骨とインプラントが正常に定着していることが確認できたら、インプラントと人工歯を繋ぐアバットメントを取り付けます。アバットメントの装着後、歯茎の形状が自然に整うのを1〜2週間ほど待つのが一般的です。

人工歯の型取り

アバットメントに取り付ける人工歯の型取りを行います。患者さまの口腔内にフィットするように、専用の器具を使用して型取りを行い、被せ物が作成去れます。

被せ物の装着

被せ物が完成したら、アバットメントに人工歯を取り付けて治療完了です。

治療が完了したからといって、サポートが終わるわけではありません。完成後の歯の噛み合わせや被せ物の形状に不都合がある場合は、必要な修正を行います。

メンテナンス

インプラントを長期的に維持するには適切なメンテナンスが欠かせません。インプラントや口腔内の健康状態を確認するために、3~6か月に一度の頻度で定期検診を受けましょう。

インプラントには、インプラント周囲炎という感染症のリスクが存在します。インプラント周囲炎を発症すると、最悪の場合インプラントを抜くことになります。インプラントを長く使うために、口腔内は清潔に保ちましょう。

インプラント治療後の注意点

黄色い机に置かれた!マーク

手術が終わったあと、麻酔の効果が切れると痛みが出ることがあります。痛みが出てきた場合は、医師から処方された痛み止めを服用してください。

インプラント治療後の注意点は、以下のとおりです。

・手術後2週間は喫煙しない

・熱いものや辛いものなど、刺激の強い食べ物を避ける

・手術後3日間は飲酒や激しい運動を避ける

・浴槽には浸からずシャワーで入浴する

・医師から処方された抗生物質を指示どおりに服用する

特に、骨を再生する手術を受けた方は、頬に一時的にアザが現れることがあります。時間とともに自然に薄れるので、過度な心配は必要ありません。何か異常を感じた場合は、早めに歯科医師に相談してください。

インプラント治療後のメンテナンスの重要性

歯科医院で治療を受ける女性患者

インプラントは高度な技術で作られた人工歯ですが、メンテナンスを怠るとトラブルが起きる可能性があります。インプラントは人工物なので虫歯のリスクがありませんが、周囲に歯石が蓄積されるとインプラント周囲炎を引き起こす原因となります。

上述しましたが、インプラント周囲炎が進行すると、最終的にはインプラントの除去を余儀なくされるかもしれません。インプラントを長く使用するには、日常のブラッシングが欠かせません。定期的に歯科医院で検査・クリーニングを受けることで、プラークや歯石の蓄積を早期に発見し、適切なケアを受けることが可能です。

天然歯と同様に、インプラントも適切なケアが必要です。定期的に歯科医院を受診して、メンテナンスを受けましょう。

まとめ

緑の机に置かれたインプラント

インプラント治療は、入れ歯やブリッジと比べて治療工程が多く、治療期間が長いです。インプラントは、インプラント体・アバットメント・被せ物の3つから構成されており、それぞれ装着する際に処置が必要になります。

インプラント体を埋め込んだら、骨と結合するまでに数か月待機しなければなりません。結合が確認できたら、アバットメントを取り付けます。そのあと、型取りした被せ物を装着したら治療完了です。

インプラント治療は、治療が完了したら終わりではありません。インプラントには特有の感染症、インプラント周囲炎のリスクが伴います。インプラント周囲炎はインプラントの歯周病ともよばれており、症状は歯周病と似ています。歯周病菌によって顎の骨が溶かされると、インプラントが不安定になり、最悪の場合脱落するでしょう。

インプラント周囲炎を防ぐには、日々の丁寧な歯磨きと、歯科医院での定期的なメンテナンスが重要です。メンテナンスは3~6か月に1回が推奨されています。インプラント治療を無駄にしないためにも、治療後のメンテナンスをしっかりと受けましょう。

インプラント治療を検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。

奥歯をインプラントにするメリット・デメリット、注意点を解説!

2023年7月21日

こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。

机に置かれたインプラントの模型

奥歯をインプラントにすると、しっかりとした噛み心地が実現し、噛み合わせのバランスが整います。

しかし、治療後は「インプラント周囲炎」という感染症に注意しなければなりません。

今回は、奥歯をインプラントにするメリット・デメリット、注意点を解説します。

奥歯にはどのような役割がある?

奥歯を確認するために口を大きく開ける女性

奥歯は、食べ物を口に含んで噛む際に、欠かせない役割を担っています。食べ物を細かくすり潰す作業です。上下左右に存在する第一大臼歯から第三大臼歯までの計12本の歯が、奥歯として食べ物を細かくすり潰す役割を果たしています。

特に、第一大臼歯は、噛む力が歯の中で最も強いとされ、食べ物を噛む際に非常に重要な役割を果たしています。また、噛み合わせの高さは第一大臼歯によって決まるため、第一大臼歯が欠損すると噛み合わせ全体が崩れてしまいます。食べ物をきちんと噛むためには、第一大臼歯の存在が欠かせません。

12歳前後に生える第二大臼歯は、斜めに生える、第一大臼歯にぶつかるなど、正常に生えてこない割合が高い歯です。一般的に「親知らず」とよばれる第三大臼歯は、歯茎に埋まったまま生えてこない人や、最近では歯そのものがない人も存在します。

奥歯をインプラントにするメリット・デメリット

Merit  Demeritと書かれた札が机の上にある

奥歯をインプラントにする場合、痛みや違和感が少ないため今までどおりに食事が楽しめる、噛み合わせがよくなるなどのメリットがあるでしょう。

一方、インプラント周囲炎というインプラント特有の感染症になるリスクがあります。

奥歯をインプラントにするメリット

奥歯をインプラントにするメリットは、以下のとおりです。

ほかの歯を傷つけるリスクが低い

インプラントは、ほかの健康な歯にダメージを与えず、歯の機能を取り戻すことができます。

歯の機能を回復させるほかの方法として、ブリッジがあります。

しかし、ブリッジは器具を支えるために、両端の健康な歯を削らなければなりません。さらに、削られた歯は虫歯になりやすいです。最悪の場合、削った歯が抜けるほどの問題に発展することもあります。ブリッジ治療を受けたすべての方の歯が抜けるわけではありませんが、健康な歯を傷つけることは、口腔内の環境を整えるために避けたいと思う方が多いでしょう。

対して、インプラントは、周囲の健康な歯を傷つけることがないため、リスクを最小限に抑えて歯の機能を回復することが可能です。

顎の骨の吸収を防げる

インプラントは、顎の骨に直接埋め込んで固定されます。そのため、食べ物を噛む力はインプラントから顎の骨に直接伝わります。顎の骨に刺激が与えられることで骨の丈夫さを維持し、吸収(骨の量が減少する現象)を防ぐのです。

入れ歯やブリッジなどほかの治療法では、噛む力が直接顎の骨に伝わりません。顎の骨は適切な刺激を受けられず、徐々に吸収されて弱くなります。

審美性が高い

ブリッジや入れ歯を使用している場合、固定するための金具やバネが見えることから、人前で笑うことを控える方も少なくありません。

インプラントの場合、金属部分が見えにくいため、自然な見た目を保つことができます。周囲の目を気にせず笑うことができることは大きなメリットといえるでしょう。人工歯にはセラミックやジルコニアなど、審美性の高い素材を使用するため自然な歯の色を再現できます。ほかの天然の歯と変わらない見た目を実現することが可能です。

今までどおり食事を楽しめる

入れ歯は安定性が劣るため、しっかりと噛むことが難しくなります。

インプラントは、顎の骨に固定されているため、ずれることなく安定した噛み心地を実現します。強い力を加えても破損するリスクが低く、安心して食事を楽しめるでしょう。また、自然な噛む感覚を得られるため、食材本来の味や食感をより深く感じることが可能です。ブリッジや入れ歯でも感じられますが、インプラントと比べると満足度が低下するでしょう。

発音に影響を与えにくい

歯が欠損した場合、欠損したすき間から空気が漏れることで発音に影響を与えます。特に、イ段の発音が難しいと感じる方が多いです。入れ歯やブリッジの場合、会話中に義歯がずれる、義歯と歯茎の間にすき間が生じるなど、発音がスムーズに行えなくなることがあります。

インプラントは、顎の骨にしっかり固定されているため、基本的にずれることはありません。すき間ができないので、発音に影響を与えにくいのです。

痛みや違和感が少ない

インプラントは、直接顎の骨に固定されるため、器具と歯茎の間にすき間ができません。そのため、ずれにくく、痛みや違和感もほとんどないです。

一方、入れ歯やブリッジは、適合がよくない場合や食べ物などが挟まった場合、痛みや違和感をおぼえることがあります。器具がずれやすい場合や適合状況がよくない場合は、新たに作り直す必要があるでしょう。

インプラントの場合、一度治療が完了すれば、日常生活で痛みや違和感をおぼえることはほとんどありません。痛みを感じた場合、上部構造とインプラント体を結びつける部分(アバットメント)が緩んでいることが多いため、歯科医院ですぐに調整が可能です。

噛み合わせのバランスがよくなる

ブリッジや入れ歯の場合、高さの調整が自由にできないため、ぐらつくことがあります。歯がぐらついた状態が持続すると、噛み合う歯が破損する恐れがあり、治療の効果を損なう可能性があります。

インプラントの場合、治療時に精密に噛み合わせのバランスを調整可能です。噛み合わせが悪くなることはほとんどなく、インプラントがぐらつく事態も極めて稀です。また、定期的なメンテナンスを行うことで、噛み合わせがずれるリスクを下げられます。万が一、違和感やぐらつきがある場合も、すぐに歯科医師に相談できるでしょう。

奥歯をインプラントにするデメリット

奥歯をインプラントにするデメリットは、以下のとおりです。

費用が高額になる

インプラント治療は、原則自費診療となるため、医療費の3割負担は適用されません。

1本のインプラントにかかる費用はおおよそ300,000〜400,000円ですが、全額を自己負担しなければなりません。奥歯のインプラントの費用相場も同様で、インプラントを必要とする本数が増えれば治療費も増大します。

治療費を抑えるためにブリッジと併用するケースもありますが、最低でも1本分の費用はかかるでしょう。

治療費用の支払いを分割するローンを組むことも可能ですが、最終的には金利分を含めた全額を支払う必要があります。トータルの費用負担をできるだけ抑えたい場合、治療後に一括で支払うのがよいでしょう。

治療期間が長い

インプラントを骨に埋め込む手術後から骨とインプラントがしっかりと結合するまでは、最短でも3か月以上必要です。骨が不足していて骨造成が必要になるケースでは、治療期間は半年〜1年と、さらに長くなるでしょう。

インプラントの治療期間は、入れ歯やブリッジと比較すると非常に長いです。治療を受ける歯が奥歯でも前歯でも治療期間は変わりませんが、上顎か下顎かでは変わります。一般的に、上顎のほうが治療期間が長くなる傾向にあります。上顎の骨には空洞が存在し、骨が薄くなりやすいため治療が困難になることが原因です。

骨量が足りない場合は骨造成が必要になる

インプラント治療は、顎の骨に直接インプラント体を埋め込む治療法なので、十分な骨量と骨密度が必要です。顎の骨の厚みや深さ、密度が不足している場合、インプラント治療を行う前に骨造成とよばれる手術を行い、骨量を増やす必要があります。

骨造成の方法は患者さまの状態や要望により変わりますが、代表的な治療法には「サイナスリフト」「GBR法」「骨移植」などがあります。

ただし、骨造成治療を受けたあと、すぐにインプラント治療を開始できるわけではありません。治療後の経過を見守る時間が必要です。特に、奥歯は力がかかりやすく、顎の骨が不足しているとインプラント治療が困難になります。そのため、骨量不足と診断された場合は、骨造成治療を受けることが重要です。

インプラント周囲炎のリスクがある

インプラント周囲炎とは、何らかの原因で歯周病菌がインプラントと歯茎の間に侵入し、炎症を起こす病気です。奥歯のインプラントでも、インプラント周囲炎のリスクがあります。

インプラント周囲炎になると最悪の場合、インプラントが脱落するだけでなく、周囲の健康な歯にも影響を及ぼし、歯を失う可能性もあるでしょう。定期的なメンテナンスを受けることで、適切な処置を受けることができ、インプラント周囲炎の進行を防ぐことが可能です。

手術時は歯周病菌が患部に入り込まないよう最大限に配慮されますが、100%防ぐことはできないため、治療後には入念な口腔ケアと定期メンテナンスが必須といえます。

治療後も定期的なメンテナンスが必要

前述したように、インプラント治療後も定期的なメンテナンスが必要です。奥歯に限らず、すべてのインプラント治療においてメンテナンスは重要といえるでしょう。定期的にメンテナンスを受けないと、インプラント周囲炎などの予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

メンテナンスのためには時間を確保し、歯科医院に足を運ぶ必要があるので、面倒に感じる方もいます。メンテナンスを怠り、インプラントに異常が生じるケースも実際にあります。

インプラントは非常に高額ですが、適切なケアを行っていれば、10~15年以上と長持ちする人工歯です。費用や時間を無駄にしないためにも、3~6か月に1回は歯科医院を受診しましょう。

奥歯のインプラント治療を受けるときの注意点

机に置かれた!マークの木のブロック

インプラントは、入れ歯やブリッジとは異なり、外科手術が必要な治療法で、最新の設備と高度な技術が必要です。失敗を防ぐには歯科医院選びが重要といえます。

信頼できる歯科医師を探す

前述したように、インプラント治療は一般的な歯科治療とは異なり、外科手術を伴う高度な治療です。治療について丁寧に説明し、患者さまの質問にもきちんと答えてくれる歯科医師を選ぶことが重要といえるでしょう。

また、何を使ってどのように治療を行うのか、事前説明を丁寧に行ってくれることも大切です。治療に関する情報が不明瞭な歯科医師の治療を受けることは、避けてください。

治療の成功には歯科医師の知識と経験も重要です。治療の実績が多いほど、さまざまな症例に対応する能力があると考えられます。そのため、歯科医師の治療実績を確認しましょう。

年間でどのくらいの治療を行っているか、どのような治療を行ったかなどの情報をホームページに掲載している歯科医院も多いです。治療を受ける前に、情報をしっかりと確認し、信頼できる歯科医師を見つけてください。

設備や環境が整っているか確認する

インプラント治療を行う前には、顎の骨の中にある神経や血管の位置を正確に把握することが大切です。

口腔内の状況を正確に把握するには、CTスキャンなどの高度な検査設備が必要です。顎の骨には多くの神経や血管が走っており、損傷すると大きな問題を引き起こす可能性があるため、CTによる詳細な検査が重要といえるでしょう。

また、衛生管理も重要な要素です。インプラントの手術は、衛生管理が不十分な状況下では細菌感染のリスクが高まります。衛生環境が十分に確保された施設で治療を受けることが望ましいでしょう。

健康管理を徹底する

インプラント治療は、手術の性質上、合併症や偶発症を引き起こし、骨との結合や治癒過程を妨げるリスクが存在します。手術前に可能な限りリスク要因を取り除き、治療の安全性を確保するために健康管理を行いましょう。全身疾患である糖尿病や心疾患、骨粗鬆症、貧血などは、特に注意してください。

また、喫煙は、インプラントの治療成果に大きな影響を及ぼします。喫煙は、インプラントと骨の結合を妨げ、インプラント周囲炎の原因となり得ます。喫煙は治療成功率を大きく低下させるので、インプラント治療を受ける前に医師と相談し、計画的に禁煙しましょう。

まとめ

インプラントの模型を持って説明する人

奥歯をインプラントにするメリットは、噛み心地がよく痛みや不快感が少ないことが挙げられます。奥歯は噛み合わせにも影響を与える箇所です。インプラントを顎の骨にしっかりと固定することで、噛み合わせのバランスもよくなるでしょう。

インプラント治療を受ける際の注意点として、信頼できる歯科医院を選ぶことが挙げられます。事前にホームページなどで設備や環境、医師の経歴などを確認しましょう。

インプラントを検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。

インプラント治療のデメリットと注意点!治療を受けられない人とは?

2023年7月7日

こんにちは。鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」です。

インプラントの模型を使って患者に説明する

インプラント治療の主なデメリットとして、費用が高額であることや、治療期間が長いことが挙げられます。治療後は、インプラント周囲炎という感染症のリスクがあることも忘れてはいけません。

今回は、インプラント治療のデメリットや注意点、治療を受けられない人を解説します。

インプラント治療とは

顎に手を当てて考える白い服の女性

インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法です。

歯を失った部分にインプラントを設置するので、自然な見た目と噛み心地を再現でき、食事や話すなどの日常的な動作を自然に行うことができるようになります。

インプラントは、チタンやジルコニアなどの生体適合性の高い素材で作られます。顎の骨と結合しやすく、体内での拒絶反応を最小限に抑えることが可能です。

インプラント治療は、大きく2段階に分かれます。まず、顎の骨にインプラント体を埋め込む手術が行われ、数か月間インプラント体と顎の骨が結合するのを待ちます。結合を確認したあと、人工歯を取り付ける手術が行われるのです。

インプラント治療のメリット・デメリット

黄色い背景に置かれたMERITとDEMERITの札

インプラント治療は自然な見た目と噛み心地を実現できる一方で、費用が高額であることや治療期間が長いことが主なデメリットとして挙げられます。

インプラント治療のメリット

インプラント治療のメリットは、以下のとおりです。

自然な見た目が手に入る

インプラント治療は、見た目が自然で美しいメリットがあります。

入れ歯やブリッジで失った歯を補うと、色味が不自然になる、笑ったときに金具が見えるなどのデメリットがありますが、インプラント治療では、人工歯にセラミックやジルコニアなどの材料が使われることが多いです。天然の歯とほとんど変わらない、自然で美しい歯を手に入れることができます。

噛み心地がよい

入れ歯の場合、安定性が劣るため、違和感をおぼえる方や食べ物が入れ歯に挟まって不快感をおぼえる方がいます。違和感や不快感が原因で、しっかりと噛めないという悩みを抱える人も少なくありません。

インプラント治療では、人工歯根を顎の骨に直接埋め込むので、高い安定性を実現します。違和感や不快感が少ないため、自然な歯と同じような感覚で噛むことが可能です。

インプラント体の材料として多く用いられるチタンは、骨と結合しやすく耐久性に優れています。インプラントが骨にしっかりと固定されるため、強く噛む力にも耐えられるのです。

ほかの歯を傷つけるリスクが低い

ブリッジや入れ歯では、失った歯を補うために周囲の健康な歯を削って土台を作る必要があります。健康な歯に負担をかけることに抵抗を感じる人も多いでしょう。

インプラント治療では、ほかの健康な歯に影響を与えることなく治療を受けられます。周囲の健康な歯を保護しつつ、安定した噛み心地と自然な見た目を得られるのです。

骨が瘦せることを防止できる

歯を失った部分の顎の骨には、噛む際の刺激が伝わりません。そのため、骨が次第に痩せて、萎縮します。骨が痩せるのは、特に入れ歯治療を行った場合に多いです。

インプラント治療では、歯を失った部分の顎の骨に直接インプラント体を埋め込むので、咀嚼時の刺激が骨に伝わります。天然の歯が存在したときと同様の力が骨に伝わるため、骨が痩せることを防げるのです。

インプラント治療のデメリット

インプラント治療のデメリットは、以下のとおりです。

費用が高額になる

一般的に、インプラント治療は保険が適用されないため自費治療となります。保険適用内のほかの歯科治療と比較すると、治療費が高額になるでしょう。インプラント治療の費用相場は、1本あたり300,000〜400,000円程度です。

また、インプラント治療は人工歯を装着すれば終わるわけではありません。長期的にインプラントを維持するためには、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスでは、インプラント周囲の組織の健康状態を確認し、口腔内のクリーニングなどを行います。

治療後の通院の際にかかる費用は、治療費とは別で必要です。初期治療費だけでなく、継続的な治療費も考慮しなければなりません。

治療期間が長い

通常の歯科治療と比較して、インプラント治療は多くの時間と通院回数を必要とします。カウンセリングや手術、経過観察など、少なくとも5回以上の通院が必要でしょう。

治療期間は口腔内の状態によって異なりますが、平均的に6か月程度かかるとされています。インプラント治療の成功率を高めるには、埋入したインプラント体を顎の骨としっかり結合させなければなりません。インプラント体と顎の骨が結合するまでには、少なくとも3か月程度の時間が必要といわれています。

身体への負担が大きい

インプラント治療は、歯茎を切開して顎の骨に穴をあける外科手術が必要です。麻酔によって手術時の痛みは軽減されますが、手術の負担がないわけではありません。

持病を抱えている人や薬を服用している人、妊娠中の人は、手術や術後の回復過程に影響を及ぼす可能性があります。インプラント治療は、入れ歯などの歯科治療と違い、誰でも受けられるわけではないのです。持病や服用中の薬などは、治療前に必ず歯科医師に申告しましょう。

治療後もメンテナンスが必要である

インプラントが正しく機能し続けるには、治療終了後も定期的に歯科医師によるチェックやメンテナンスを受ける必要があります。インプラントの定着状態、人工歯の状態、噛み合わせの具合などを確認し、必要に応じて調整や処置を行うでしょう。

治療後の通院は、3~6か月に1回の頻度で受けることが推奨されています。インプラントだけでなく、全体的な口腔の健康を維持するためにも、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けましょう。

インプラント治療のリスク

机の上にRISKの木の文字を並べる手元

インプラント治療には、上顎洞にインプラントが落ちたり神経を傷つけたりすることで、痺れや麻痺が生じるなどのリスクがあります。手術に関するリスクは、事前のCTでしっかりと位置関係を確認することで防ぐことが可能です。

上顎洞へのインプラント体の落下

上顎のインプラント治療において起こりうるリスクです。

上顎洞は、口腔の上部に存在する空洞のことを指します。上顎は特に骨が薄い方が多く、インプラント体が上顎洞へ落ちるリスクがあるのです。

CTスキャンを用いて骨の厚みや骨質を詳細に理解し、安全に埋入できる位置を確定することで、インプラント体が上顎洞へ落下するリスクを大幅に低減できるでしょう。

口元の麻痺や痺れ

神経損傷は、下顎のインプラント治療において起こりうるリスクです。

下顎には、大きな神経がある下顎管が通っています。インプラントを埋め込む際に神経に触れると、唇や舌、歯茎などに一時的な麻痺や痺れを引き起こす可能性があります。

神経損傷のリスクを減らすには、CTスキャンを用いて下顎管の正確な位置を把握することが重要です。

インプラントの脱落

インプラントの脱落は、顎の骨とインプラントの結合が不十分な場合や感染症が起きた場合に発生します。

喫煙習慣のある患者さまや口腔内の清掃が不十分な患者さまは、感染リスクが高く、インプラントの脱落の一因となります。また、歯科医院での手術の際に滅菌処理などの衛生管理が不十分な場合、手術時の感染リスクが高まり、インプラントが抜け落ちるリスクが高まるでしょう。

治療前に禁煙し、口腔ケアの指導を受けることで、インプラントが脱落するリスクを低減できます。衛生管理を徹底している歯科医院を選ぶことも重要です。

金属アレルギーの発症

インプラント治療には、金属アレルギーのリスクが伴います。

インプラントの人工歯根に使用されるチタンは、人工関節などでも広く用いられている素材です。チタンは、生体親和性が高く、一般的にはアレルギー反応を起こしにくいとされています。

しかし、近年の研究ではチタンが金属アレルギーの原因となる可能性が指摘されています。インプラントによる金属アレルギーを予防するには、事前にチタンに対するアレルギーがないか、パッチテストを受けるとよいでしょう。

インプラント周囲炎の発症

インプラント治療後は、インプラントの歯周病といわれるインプラント周囲炎を発症するリスクがあります。人工歯根の周りの顎の骨が溶ける病気で、進行するとインプラントの除去が必要です。

インプラント周囲炎を経験する患者さまは、治療前から歯周病を抱えている可能性が高いです。歯周病は、日々の口腔ケアが不適切なことが原因で発症することが多いので、口腔ケアの方法を見直しましょう。インプラント治療を受ける場合は、適切な歯磨きと3~6か月に一度の歯科検診を受けることが重要です。

インプラント治療を受けられない人

体の前でばつ印を作る女性

インプラント治療は、歯根膜が失われるため感染症にかかりやすくなります。口腔ケアが適切に行えない人や定期的に通院できない人は、治療を控えたほうがよいでしょう。

強い歯ぎしりや食いしばりがある人

歯ぎしりや食いしばりは、インプラントに過度の負担をかけます。人工歯の破損やインプラントの脱落につながるかもしれません。

禁煙できない人

喫煙は、口腔内の血流を悪化させ治癒能力を低下させます。インプラントが顎の骨に結合するのを妨げ、インプラントの失敗につながる可能性があります。

歯磨きやメンテナンスなどを適切に行えない人

インプラントは、定期的なメンテナンスが必要です。歯磨きやクリーニングを怠ると、インプラント周囲炎のリスクが高まり、インプラントが脱落する可能性があるのです。

重度の糖尿病がある人

糖尿病は、身体の治癒能力を低下させ、感染症のリスクを高めます。インプラントが骨に適切に結合するのを妨げ、インプラント治療の成功率を低下させるおそれがあるでしょう。

骨粗鬆症の人

骨粗鬆症は、骨の質と密度が低下する病気です。骨量が不十分な場合、インプラントをしっかりと固定することが難しい可能性があります。

インプラント治療を受ける際の注意点

机の上に置かれた!マークが書かれた木のブロック

インプラント治療を受ける際の注意点は、以下のとおりです。

・手術前日は十分な睡眠をとる

・鎮静法で手術を受ける場合、帰宅時に車両の運転を避ける

・手術当日は強いうがいをしない

・抗生物質は指示どおりに飲み切る

・上顎の手術後は強く鼻をかまない

・喫煙を控える

・手術後は飲酒や激しい運動、入浴を避ける

・手術部位を舌や指で触らない

・食事の際に治療を行った部分で噛まない

・インプラント治療後は定期的にメンテナンスを受ける

・帰宅後に異常を感じた場合は、すぐに歯科医院に連絡する

上記を守ることで、インプラント治療のリスクを最小限に抑えることができるでしょう。

まとめ

インプラントを入れた歯を見せて笑う女性の口元

インプラント治療の主なデメリットは、費用が高額であり、治療期間が長いことです。また、インプラント治療後は、歯根膜が失われるため感染症にかかりやすいです。

治療後は歯磨きを丁寧に行いましょう。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやフロスを使って、歯と歯の間もきれいに清掃してください。さらに、歯科医院でクリーニングを受けることも重要です。歯科医院で実施されるクリーニングは、専用の器具を使って通常の歯磨きでは落とせない汚れも除去します。クリーニングだけでなく、インプラントや口腔内の状態もチェックしてくれるので、異常があった際も早期発見・治療が可能です。

インプラントは、適切に管理すれば10~15年以上と非常に長持ちする人工歯です。デメリットやリスクを理解し、治療後の定期的に通院が可能な人は、検討してみてはいかがでしょうか。

インプラント治療を検討されている方は、鳥取市東町にある歯医者「山根歯科医院」にお気軽にご相談ください。